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【装丁】ベイブリッジ・スタジオ 黒木香

このエントリーをはてなブックマークに追加 カテゴリ:デザイナー  »2012年04月22日 更新

デザイナーINDEX

■黒木香

●所属:ベイブリッジ・スタジオ
●仕事先 :小学館,他多数
●レーベル:ビッグコミックス系,フラワー系,サンデーGX系,他多数
●リンク :会社サイト会社ブログ黒木香twitter
●記事作成:2012/04/22


花もて語れ1_4

情熱を持って朗読に挑む熱き青春漫画、『花もて語れ』(小学館)。大きな満月のしたで、雨上がりの縁側で・・・。そのカバーは、日常の一コマだったり、時には心象イメージだったり、毎回趣向を凝らした広いイラストで包まれています。そこに小さく可愛くも決して埋もれないロゴが気持ちよく朗読の物語を告げるこの装丁は、手触りの良さも手伝って、ストーリーへの没入の手助けをしています。そんなこちらの作品の装丁を担当しているのが、ベイブリッジ・スタジオの黒木香氏です。

まず、ベイブリッジ・スタジオは小学館のコミック装丁について大きなシェアを持ち、複数人体制で多くのデザインを生み出している層の厚いデザイン事務所です。その中でも黒木氏は上記『花もて語れ』など心のアンテナをちょくちょく刺激する装丁をしてくるデザイナーさんということがあって、どういうところに惹かれているのだろうと思っていたのでした。コミック以外のお仕事では、例えばアニメ『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』のロゴ担当として、その名前を確認しています。

ここで『花もて語れ』の装丁に話を戻すと、表紙が美しいのはもちろんのこと、背表紙単体の見栄えもよいところとして挙げられます。イラストは全ての巻で背表紙を横断して載せられていますが、背表紙だけ見たときに、例えば2巻なら満月の黄色、3巻ならアジサイの水色など、ちょうど背表紙付近の良い位置にちょうど色彩に華を加える何かが存在していて、カバーが全面風景になっている作品のなかでも、とりわけ本棚にいれたときに美しさが認識できるように感じています。


ということで以下、ベイブリッジ・スタジオ黒木香氏のデザインについてまとめてみました。

いとしのタンバリン 1 (ビッグ コミックス)神様のカルテ 1 (ビッグコミックス)神様のカルテ 2 (ビッグ コミックス)くさかんむり 1 (ビッグ コミックス)くさかんむり 2 (ビッグ コミックス)
お聞くさん (ビッグコミックス)キックのお姉さん 2 (ビッグ コミックス)
ノ・ゾ・キ・ア・ナ 10 (ビッグ コミックス)ヒメゴト~十九歳の制服~ 3 (ビッグ コミックス)ヒメゴト~十九歳の制服~ 2 (ビッグ コミックス)淀川ベルトコンベア・ガール 3 (ビッグ コミックス)
黒×羊~12人の優しい殺し屋~ 7 (ビッグ コミックス)黒×羊~12人の優しい殺し屋~ 5 (ビッグ コミックス)DOG LAW (ビッグコミックススペシャル)銭ドク 1 (ビッグ コミックス)邪眼は月輪に飛ぶ (ビッグコミックス)

最初に紹介するのが、小学館の青年誌作品。多数のビッグコミックス○○系作品や、ヤングサンデー作品、携帯マンガ『モバMAN』の単行本作品など、幅広くその装丁を担当しています。イラストを挟み込んだり、キャラの隙間を縫うように大胆に挿入された視認性が良い大きなロゴが目立つ作品が多く集まりました。


山本耳かき店 (ビッグコミックススペシャル)深夜食堂 8 (ビッグ コミックス〔スペシャル〕)スカイウォーカー神様物語 (ビッグコミックススペシャル)
しろくまカフェ (フラワーコミックススペシャル)しろくまカフェいちご味! (フラワーコミックススペシャル)しろくまカフェマンゴー味! (flowers コミックス〔スペシャル〕)しろくまカフェ メロン味! (フラワーズコミックススペシャル)
佐武と市捕物控 1 (ビッグコミックススペシャル)佐武と市捕物控 2 (ビッグコミックススペシャル)佐武と市捕物控 3 (ビッグコミックススペシャル)佐武と市捕物控 4 (ビッグコミックススペシャル)

小学館A5版サイズのコミック郡。2重の枠の中に料理を載せた渋い装丁の『深夜食堂』は、かっこいい、かわいい表紙が並ぶ本屋でも独特の存在感で埋もれません。また、カバーに空けた穴の下のタイトルや青空、落書き模様が白いカバーを飾る『スカイウォーカー』、すべてが箔押しで構成された印刷部分が光の加減で七色に煌く『神様物語』。少ない色数でシンプルに強い動物感を出した絵本のような味わいも感じられる『シロクマカフェ』、こちらも動物部分に凹凸がつけられ立体感が付加されているなど、一回り大きいコミックに見合ったプラスアルファの加工がされていることも多く、実際に手に見るとその面白さを確認できます。


そんな黒木氏のお仕事の中で特にその量が目立つのが、フラワー系の少女漫画。
黒木氏の少女漫画装丁をロゴのタイプで分類していくと、全体の装丁の傾向も見えてくるかもしれない、
ということで以下に集めたのがロゴの大きな作品郡です。

その目、口ほどに。 (フラワーコミックス)新婚(仮)中 (フラワーコミックス)聖餐-カタルシス- (フラワーコミックス)彼女が彼におちる理由 (Cheeseフラワーコミックス)執事は四六時中も愛をささやく (フラワーコミックス)
プリンと水平線 (フラワーコミックス)スイートボーイにご用心 (Betsucomiフラワーコミックス)どうせもう逃げられない 1 (フラワーコミックス)水恋 (フラワーコミックス)嘘つきくすりゆび (少コミフラワーコミックス)
双花の檻 (フラワーコミックス)ヨモギもちヤケた? VOL.1 (ちゅちゅコミックス)1/3ロマンチカ (フラワーコミックス)片恋ドロップス (Betsucomiフラワーコミックス)少女の時間 (Cheeseフラワーコミックス)

このぐらいの大きさのロゴの作品からは、黒木氏の装丁に見られる特徴の1つが特に強く感じられます。その特徴とは、「奔放」。文字数が多いタイトルの場合、1文字1文字の大きさが違う、文字の流れが波打っている、タイトルが分断されるなど、とにかく自由奔放な文字配置が目立ちます。「に。」の部分だけ遠く離れた『その目、口ほどに。』、離れた文字組みがカバーのふわっとした雰囲気を出している『プリンと水平線』、タイトルが作者名で二分された『嘘つきくすりゆび』などは、かなり個性が出ています。タイトルが長く、1巻限りで続編の考慮が必要ない場合には、この個性が強く表に出る場合が多い印象です。


花と野獣 (フラワーコミックス)読経しちゃうぞ! (フラワーコミックス)シュガー・キス (Betsucomiフラワーコミックス)とりあえず地球が滅びる前に 1 (フラワーコミックス)真夜中だけは好きでいて 1 (フラワーコミックス)
椿ちゃんの悩みごと (Betsucomiフラワーコミックス)恋はいつも食べかけ (Betsucomiフラワーコミックス)だから恋とよばないで 1 (フラワーコミックス)センセイの彼女 (フラワーコミックス)初恋の悪戯 (フラワーコミックス)
オス♂メス♀キッス 追試っす! (フラワーコミックス)キス/はぐ 1 (フラワーコミックス)わらってヒミコさん 1 (ちゅちゅコミックス)港町猫町 2 (フラワーコミックス)港町猫町 (フラワーコミックスアルファ)

こちらはロゴの大きさが中~小のタイプ。中段の作品は文字数がほどほどのタイトルで、学園が舞台になっていたり、タイトルに普遍的な「恋」系のタイトルが付いているときには「女の子の書き文字」らしいタイトルがデザインされています。下段には、「女の子の書き文字」が少しロゴっぽく成形された作品郡。冒頭で紹介した『花もて語れ』のロゴも、この流れに通じるものを感じられます。


ランウェイの恋人 1 (フラワーコミックス)ランウェイの恋人 2 (フラワーコミックス)ランウェイの恋人 3 (フラワーコミックス)8月の悪戯 (フラワーコミックス)秘めやかな倒錯 (フラワーコミックス)
キミと、世界が終わるまで (少コミフラワーコミックス)恋の実力 愛の才能 (フラワーコミックス)少年バタフライ (フラワーコミックス)伯爵様は欲情する (フラワーコミックス)愚か者の恋 (フラワーコミックス)
青の微熱 1 (フラワーコミックス)禁欲の昼と甘美な夜 (フラワーコミックス)午前零時にくちづけを (フラワーコミックスアルファ)月と湖さよならでも愛してる (フラワーコミックス)

可読性の高いフォントを整然と並べた作品、言い換えるとロゴというより文字を配置しているタイプ、そして下段右3作品はタイトルに枠を用いたタイプになっています。


世界制服 1 (サンデーGXコミックス)世界制服 2 (サンデーGXコミックス)聖モエスの方舟 1 (サンデーGXコミックス)山形スクリーム 1 (サンデーGXコミックス)マンけん。1 (サンデーGXコミックス)

個別にも取り上げますが、サンデーGX作品も多く担当されています。


ぷりぷりふたごシスターズ 1 (ジェッツコミックス)かむかむバニラ! ① (フレックスコミックス)つくもつく 1 (IDコミックス 4コマKINGSぱれっとコミックス)荒野の恋(1) (KCデラックス)
王子はただいま出稼ぎ中 第1巻 (あすかコミックスDX)王子はただいま出稼ぎ中 第2巻 (あすかコミックスDX)シバラク (1) (角川コミックス・エース 283-1)シバラク (2) (角川コミックス・エース 283-2)

小学館以外でのお仕事、その1。『かむかむバニラ』(ほるぷ出版)の「かむかむ」「バニラ」と分けたロゴの組み方や『王子はただいま出稼ぎ中』(角川出版)は「出」と「稼ぎ中」の間に手が入っているところなど、レーベルの色に合わせつつも、言われてみればなんとなくわかる特性が出ている感じです。


レンアイマンガ (まんがタイムKRコミックス つぼみシリーズ)キャンディ (1) (まんがタイムKRコミックス つぼみシリーズ)ひみつのレシピ (1) (まんがタイムKRコミックス つぼみシリーズ)
くらいもり、しろいみち (まんがタイムKRコミックス つぼみシリーズ)水色エーテルパイをあげましょ、あなたにパイをね (IDコミックス 百合姫コミックス)

小学館以外でのお仕事、その2。芳文社のまんがタイムKRコミックスつぼみシリーズ、そして一迅社百合姫コミックスと、こちらはすべて百合作品。上記2つのレーベルは共にA5版で刊行され、その装丁に強いこだわりが見られるのですが、現在そこには黒木氏の装丁も増えてきているようです。漫画のペン入れを構図に盛り込んだメタ的な表紙の『レンアイマンガ』、黒と白の対称性が美しい『くらいもり、しろいみち』などは、1アイディアが強く光っています。また、紹介した少女漫画のロゴを眺めてもらうと、『キャンディ』や『ひみつのレシピ』、『水色エーテル』からは、ロゴに黒木氏らしさを感じてもらえるかもしれません。



さて、ここで好みの話をすると、カバーで良いと思うものには
大まかに作者のイラストが好きな場合とデザインが好きな場合、その両方とありますが、
黒木氏の装丁では、イラストの持ち味を生かしたデザインのフォーマットが良いなという場合が多く、
とりわけ、続刊作品に一定の統一感を持たせつつ飽きの来ない変化を持たせるのが上手で、
特定の長編作品の装丁が良かった場合に、その続刊への期待値が一段高かったりしています。


ということで、ここからは続刊作品をピックアップしていきます。


大谷アキラ『ツール』1~8巻、小学館。

ツール! 1 (少年サンデーコミックス)ツール! 2 (少年サンデーコミックス)ツール! 3 (少年サンデーコミックス)ツール! 4 (少年サンデーコミックス)
ツール! 5 (少年サンデーコミックス)ツール! 6 (少年サンデーコミックス)ツール! 7 (少年サンデーコミックス)ツール!(8) (少年サンデーコミックス)

少年サンデー連載の、自転車ロードレース系作品。
空間の奥に傾いたような平面ロゴが、各巻毎に構図も基調もガラッと変わる表紙に載せられていますが、その配置がこれまたキャラの上だったり足元だったり、その角度もまちまちで、空間に奥行きを付ける場合もあればイラストから浮き出る場合もあるなど、それぞれ別の効果を生み出しています。

新書版の少年コミックでは他にも『アサギロ』(ゲッサン)等の担当を確認しています。


杉山美和子『花にけだもの』1~4巻、絹田村子『さんすくみ』1~3巻、
相原実貴『5時から9時まで』1~4巻、小学館。

花にけだもの 1 (フラワーコミックス)花にけだもの 2 (フラワーコミックス)花にけだもの 3 (フラワーコミックス)花にけだもの 4 (フラワーコミックス)
さんすくみ 1 (フラワーコミックスアルファ)さんすくみ 2 (フラワーコミックス)さんすくみ 3 (フラワーコミックス)


『花にけだもの』は、奥行きを強く感じさせる構図の空間に、主人公の小ささを強調する2キャラ配置、そこにちまっと可愛いタイトルを載せるという構成で統一されたデザイン。
宗教コメディ『さんすくみ』は、3巻までにメインの宮司の息子、住職の息子、牧師の息子の3人が一人ずつ描かれ、それぞれの仕事場を背景にすらっと直立に立たせたイラストを、共通位置で固定したタイトルと枠で整えるというデザインになっていて、優男3人がさまになっています。
『5時から9時まで』は、「5→9」という略称ロゴが大きく、すの隙間に「From five to nine」という英文表記が配置され、さらに小さい日本語表記が巻数と共に添えられるという定位置タイトル構成となっていて、これがとにかくよく目立ちます。イラストの背景部分は2色が割り振られており、その1色にクリーム色が割り当てられられるところで各巻が共通しています。


西炯子『娚の一生』全3巻、小学館。『姉の結婚』1・2巻、小学館。『恋と軍艦』1・2巻、講談社。

娚の一生

姉の結婚 1 (フラワーコミックス)姉の結婚 2 (フラワーコミックス)恋と軍艦(1) (講談社コミックスなかよし)恋と軍艦(2) (講談社コミックスなかよし)

黒木氏が担当していることが多い西炯子作品、そのいくつかを抜粋しています。最近だと色数を抑えた着色の装丁が目立っておりますが、その中でも線画が着色された表紙が3冊で繋がるという『娚の一生』が印象的です。


芦原妃名子『Piece』1~7巻、小学館。

Piece 1 (フラワーコミックス)Piece 2 (フラワーコミックス)Piece 3 (フラワーコミックス)Piece 4 (フラワーコミックス)
Piece  5 (フラワーコミックス)Piece 6 (フラワーコミックス)Piece 7 (フラワーコミックス)

『ベツコミ』連載作品。
少女漫画らしく繊細に描かれた明るい色調のバストアップ・キャライラストを、強く引き立てる黒い背景系のフォーマットで、表紙に散らばるパズルのピースがミステリアスな雰囲気を演出しています。各巻のタイトルロゴの大きさと位置は同じくして統一感を生み出しつつ、タイトルの色分けで各巻を大きく特徴付け、さらに作者名と巻数表記の配置も毎回変えられてささやかに加わえられる新鮮味。左上のフラワー系コミックスの共通タグにはタイトルロゴと同じ色が割り当てられていて、このような掲載必須のフォーマットを表紙を飾り立てる要素として上手に機能させていることを確認できます。


ここからは、サンデーGXの3作品を紹介します。
まずは尹仁完・金宣希『WESTWOOD VIBRATO』1~3巻、小学館。

WESTWOOD VIBRATO 1 (サンデーGXコミックス)WESTWOOD VIBRATO 2 (サンデーGXコミックス)WESTWOOD VIBRATO 3 (サンデーGXコミックス)

楽器修復を扱った音楽作品。
五線があしらわれたタイトルと古めかしい佇まいで五線譜ノートや楽譜帳のような印象を受ける枠。その枠の中に描き込まれた景色は、その構成で窓から眺めているように美しく目に映ります。フォーマット色が強い部類の表紙なのですが、景色・主人公・マスコットのペンギンの配置の変化で巻毎の個性も強くでていて、なんとも様になっています。


やまむらはじめ『神様ドォルズ』1~9巻、小学館。





伝奇系アクション作品で、「案山子」と呼ばれる無機質なフォルムの兵器とキャラがセットで各巻に描かれています。巻によっては木の葉や空などの背景効果が加えられるものの、基本的には背景は無色で、キャラの髪と服、「案山子」の部分にデジタルなパステル調の色があてられています。このピンポイントにくっきりと着色されたパステル色と、白色と、中央に黒く配置されたロゴのバランスが絶妙な表紙は、非常にスタイリッシュです。一方、カバーの袖には同じイラストがキャライラストを堪能できる本来の塗りで収録されていて、表紙として、イラストとして、方向の違う2種類の仕上がりを確認できます。(これは結構貴重かもしれません)

本作品は2011年にアニメ化されており、そのOPにはサーチライト風の区切りが画面を動的に分断し、分かれたエリアでキャラの塗りや服の模様が変わって行くエキセントリックな演出が取り入れられています。単行本所有者ならOPと上記デザインの共通項についてピンこられるかもしれませんが、OPが本のデザインをイメージして作られていたことが、ベイブリッジスタジオのブログで語られています


犬上すくね『恋愛ディストーション』1~5巻、小学館。

恋愛ディストーション

少年画報社で刊行されていた作品のサンデーGXレーベルでの新装+再スタート作品。
こちらもパステル系の配色になっていますが、先に紹介した『神様ドォルズ』と大きく違うのが背景に色がつき、各巻のカラーリングの違いがより鮮明に出ていること、そして奔放なロゴ配置にあります。少女漫画の項で触れた、1冊完結本によく用いられる奔放な文字配置が本作では1巻毎に行われていて、ロゴの暴れ具合が非常に強いアクセントを生んでいます。

さらに、見てお分かりの通り、というか自分がなかなか気づいていませんでしたが、『娚の一生』と同様に1巻から5巻まで表紙がすべて横に繋がります。以下続刊、ということでまだまだ伸びます。


島本和彦『アオイホノオ』1~7巻、小学館。

アオイホノオ 4 (少年サンデーコミックススペシャル)アオイホノオ 1 (ヤングサンデーコミックス)アオイホノオ 2 (少年サンデーコミックススペシャル)アオイホノオ 3 (少年サンデーコミックススペシャル)
アオイホノオ 5 (少年サンデーコミックススペシャル)アオイホノオ 6 (ゲッサン少年サンデーコミックス〔スペシャル〕)アオイホノオ 7 (ゲッサン少年サンデーコミックス〔スペシャル〕)

こちらはヤングサンデー発で、現在ゲッサンで連載されている、プロデビュー前の作者をモチーフとした、自伝色の強い作品です。
引いた視点でキャラのいる風景イラストには、タイトルの「アオ」と重ねてか、過去を描いているからか、青色が乗せられ、そしてくすんでいます。さらに白く色落ちした本の端、また控えめで儚げなタイトルフォントが合わさって、カバーには哀愁が漂っています。


浅野いにお『ソラニン』全2巻、『世界の終わりと夜明け前』、『おやすみプンプン』1~8巻。

浅野いにお

おやすみプンプン 1 (ヤングサンデーコミックス)おやすみプンプン 2 (ヤングサンデーコミックス)おやすみプンプン 3 (ヤングサンデーコミックス)おやすみプンプン 4 (ヤングサンデーコミックス)
おやすみプンプン 5 (ヤングサンデーコミックス)おやすみプンプン 6 (ヤングサンデーコミックス)おやすみプンプン 7 (ヤングサンデーコミックス)おやすみプンプン 8 (ヤングサンデーコミックス)

好みで人間を大きく配置したがらないと思われる浅野氏の小学館の作品も幾つかデザインしています。実写とイラストの組み合わせ+連結カバーの『ソラニン』、実写風景のみでカバーを包み、品の良い小説のような面持ちを持つ『世界の終わりと夜明け前』。落書き状のキャラクターをエンボス加工で浮かび上がらせた『おやすみプンプン』、こちらは巻が進むごとに「遊び」が大きくなっているところに注目です。


瀬川はじめ『東京ESP』1~5巻、角川書店。

東京ESP (1) (角川コミックス・エース 160-14)東京ESP (2) (角川コミックス・エース 160-16)東京ESP (3) (角川コミックス・エース 160-17)
東京ESP (4) (角川コミックス・エース 160-18)東京ESP (5) (角川コミックス・エース 160-19)

上下二色分割背景に分類できる、街のシルエット的白黒背景。背景の形とロゴを完全に固定しながら、大きな巻数表記の色が変わるのと、仮想的な地面の場所を限定せずに描かれるキャラのポージングによって続刊に変化が生まれ、飽きがきません。こちらも4巻から変化にバリエーションが付いてきています。



最後に、年末の装丁ベスト記事で取り上げている5作品を、
改めてまとめました。

斉木久美子『花宵道中』全5巻、小学館。

花宵道中1_5

巻ごとに背景色を黒・白と繰り返す本作。
艶やかな花魁達を花が飾り立てる美しい表紙と共に、黒・白のコントラストと金の箔押しでそろえてまた美しい背表紙が印象的で過去紹介しましたが、全5巻で完結し、黒・白・黒・白・黒と奇数で黒が挟み込む形でかっちりまとまりました。


ねむようこ『少年少女』、小学館。

少年少女

金魚が登場する表題作の情景をモチーフにした表紙。カバー下には少年と少女、そしてカバーはトレーシングパーパーになっていて、透き通る水色部分と、金魚や蓮の葉のイラストによって、水面に写る少年少女を表現しています。カバーを外さないと少年の顔が見えないアイディアが大胆です。


茉崎ミユキ『数学ガール ゲーデルの不完全性定理』1巻、 メディアファクトリー。

数学ガール

複数のキャラが頭を中心に向けて円を組む印象的な構図を、テーブルで円を囲み問題を解く3人を下から見上げるような形で自然に実現したデザインとなっています。黒木氏のデザインとして改めて眺めてみると、「数」と「学」の文字の離れ具合にそのらしさを強く感じることができます。


野村知紗『看護助手のナナちゃん』1巻、小学館。

看護助手のナナちゃん

ハンコ印状の作者イラストが円を組むようにあしらわれた表紙。ロゴはちまっとしていて、「奔放」さはイラストの組み方に向けられています。さらに続く2巻を合わせると、その「奔放」が浮き彫りになります。ロゴのタイプは、『花もて語れ』と同じ項でくくれるかもしれません。


ラストは朔ユキ蔵『セルフ』4巻、小学館。

セルフ

この上なく開放的な表紙で幕を閉じた「自慰」ストーリー作品。
真っ白な背景には、躍動するキャラ達が、そして虹色のロゴが共に躍動するかのごとくそこに存在します。
やはりキーワードは「奔放」であると再確認した次第です。


以上、ベイブリッジ・スタジオ 黒木香氏の装丁でした。

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2012年04月22日 | デザイナー | コメント 0件 | トラックバック 0件 | TOP

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