2011年の個別作品の装丁については十分に語りましたが、 別のネタでもうちょっと言及しておきたいことがちらほらありました。 本当は年末にベスト100に付ける予定だったものの、 余裕で間に合わなかったおまけですが、2012年になってちょこっと増えたネタを加えて まとめて記事にしてみましたのでご覧ください。*訂正と追記あり(2012/02/28)
★ 沢山紹介したデザイナー/デザイン事務所あれこれ2011年の個人的ベストとして紹介した作品は300+α。
基本的に、紹介している装丁の好きな2作品を同じデザイナーさんが担当していたら、
どこかしらその方のデザインに惹かれていてちょっと探してみると
さらにあれもこれもと出てくるのが自分の傾向で、
結果的に沢山紹介しているデザイナーさんはやっぱり面白いと感じているところになります。
というわけで、下記の表に紹介数の多かった10のデザイン事務所をまとめてみました。
事務所の規模はおそらくまちまちで、選定もここらへんの事務所の装丁作品は
「色々な事務所やデザイナーさんの作品を挙げておきたい」という妙なバランス感覚も
手伝って紹介数を抑えている感もあり、なにより好みで適当に選んでいるだけなので、
300+α内の該当数としてその細かい数に意味はありませんが、
リストアップされた事務所は「この作品とあの作品のデザイナーが同じなのか」とか
「あの出版社はどこどこデザインが多いのか」とか、色々楽しめるかもしれないので、
参考までにどうぞ。
デザイナー/デザイン事務所 紹介数 名和田耕平デザイン事務所 33 ベイブリッジスタジオ 25 NARTI;S 17 BALCOLONY. 16 VOLARE 13 hive 11 川谷デザイン 11 里見英樹 9 セキネシンイチ制作室 8 5GAS 8
さて、下記にリストの事務所/デザイナーさんの一部の、
2011年のあれこれをちょいちょい補足します。
●名和田耕平デザイン事務所 2011の総括でも断トツの物量で紹介してしまったこちら。飛ぶ鳥を落とす勢いで担当する作品も増えていっていて、twitterでちょこっと調査してみても、こちらのデザインに興味を持っている漫画好きが多数存在することが確認できます。事務所躍進の流れで、公式サイトの作品紹介ページがないことも手伝って、ウチのブログの事務所別紹介ページの中でもVOLAREと並んで日々の閲覧数が多かったりしています。そんなこちらの装丁の最近のものを並べて、また一つ、「名和田流」をかぎ分ける手がかりが集まったので、ここに補足しておきます。
上段はタイトル縦2列キャラ挟み込み、そして下段は中キャラ+数文字タイトル大フォント奔放配置。下段はこれから増えそうな予感がします。
楠目智宏氏(『こいあじ』、『うすあじ』2010年の作品)、望月綾子氏(『東京無印女子物語』)など、事務所所属のデザイナーさんの個人名義クレジットの作品も増えてきて、ますますその勢いに拍車がかかっていきそうです。
●ベイブリッジスタジオ 小学館の漫画作品を中心に、膨大な量の装丁のお仕事をしているビッグな事務所であるこちら。
紹介数は25作品だったのですが、その内訳として、なんと黒木香氏のものが12作品、
黒木氏以外には8名について各々1・2作品ずつ紹介していました。
これはもう個人の趣向以外の何物でもないというか、アンテナの範囲や好みが違う別の人が
選ぶだけでこの配分は全然別のものになると思われます。もっとプレーンな紹介記事として、
デザイン本
『アニメ・コミック・ライトノベル・ゲームのデザイナー集』 では
ベイブリッジ・スタジオの装丁作品が、一人1ページで11人、計11ページに渡り掲載されており、
各々の優れたお仕事ぶりを確認することができます。
ちなみに、2011年の黒木香氏のお仕事といえば、コミックの装丁以外にも、
こちらの作品のロゴで名前をお見かけしました。
【参考:
ベイブリッジスタジオブログ・あの花紹介記事 】
ちなみに、当ブログでデザイン事務所の記事を作成する上で、
そのあまりに膨大な量にこちらがラスボスになりそうと恐れていましたが、
コミックのクレジットには基本的に担当者名が入っており、
一人一人の情報量がとしてもリアルタイムで増加していることから
別に全員を1ページにまとめて血を吐く思いをしなくていい気がしてきました。
今年中に一人目標。
●BALCOLONY. 2011年は、『魔法少女まどか☆マギカ』のロゴ、BD・DVDパッケージ等で一段と認知された感のある、BALCOLONY.。こちらもコミックは、沢山紹介しましたが、「雑誌賞」と称して枠一個を設けて
紹介しようとしていたコミック雑誌がこちら。
雑誌的な情報を極力そぎ落とし、
“魅せる”ことに重点を置いた『コミック百合姫』。
2012年01月号(左)には、なんと「窓」がついていました。
表紙イラストの校舎の窓部分には透明シートが張られており、
表紙をめくると垣間見えていた教室の1枚絵が広がるというコダワリぶり。
単行本と同様に、雑誌も進化しています。
●VOLARE 2012年1月29日、関善之氏のトークショーで『鈴木先生』を中心にした装丁話を聞いて、
何故家にこんなにVOLAREデザインのコミックが多いのか、
その一端を理解できたような気がしないでもない今日この頃。
トークショーで紹介された装丁の記事を作ろうかと企んでいるため
補足で追加するネタがあまりなかったりするものの、
番外的な記事で是非言及していたいのがこちら。
輝く銀のカバーと、「パープル」の小口。
漫画作品の小説版ということで紹介する機会はありませんでしたが、
2011年に大きな反響のあったすごいマンガ系作品の装丁でした。
あと、『鈴木先生』の背表紙が各国の名言がアクセントになっていて並べて良いものだったため
完結したのを機に「背表紙賞」として紹介する予定だったものが、7巻だけ本の海に迷子中だったりして、
見つかったら追加したいと思っているところです。
●アニメ化作品の装丁 『神様ドォルズ』、『キルミーベイベー』ということで、前者はベイブリッジスタジオ・黒木香氏、
そして後者は里見英樹氏が装丁を手がけています。
こちらの2作品は、アニメ化されたということでまず一つ共通点がありますが、
さらにもう一つ、面白い共通点が存在します。
2つの作品のアニメOPをちょっと見てみてください。
(見てもらったことを前提に)おわかりいただけただろうか。
まず、『神様ドォルズ』はOPの演出や色使いから、コミックの装丁を想起させられるんですね。コミックの表紙のイラストにはパステル調の色やパターン的な模様があてがわれてたタイリッシュなデザインになっており、袖には同じイラストがキャライラストを堪能できる本来の塗りで収録されています。一方、アニメOPにはサーチライト風の区切りが画面を動的に分断し、分かれたエリアでキャラの塗りや服の模様が変わって行くエキセントリックな演出がされています。もしかしたらと思っていたら、やはりオープニングはコミックのデザインをイメージして作られたと
ベイブリッジスタジオのブログで語られていました 。
『キルミーベイベー』のほうは、アニメのOPのタイトル部分背景がコミック1巻と同じ緑+クリーム色の横2色分割になっていて、里見秀樹氏の装丁っぽい雰囲気が出ていました。
両方ともコミックのデザインの部分が映像作品のイメージに影響を与えていた、ということで装丁すごい!という2作品でした。里見氏担当の作品にアニメ化が多い事に、その装丁のクオリティは決して無関係ではないと思っています。
★ 注目のデザイナー/デザイン事務所沢山紹介した、定番的かもしれない事務所を紹介したので、
ここからはそれ以外の気になっている方面を挙げていってみます。
●simazima 平谷美佐子 『薔薇だって書けるよ』の装丁に強く惹かれて、1冊で紹介ページを作ってしまったこちら。
『鉄道少女漫画』、『花と星』、『ノケモノと花嫁2巻』がどちらの装丁かわからないまま気になって、
そして平谷氏が担当しているとわかってこちらの装丁が好きであることがわかりました。
『薔薇だって書けるよ』から『同級生代行』へと続き、さらに売野機子氏と共に『ロンリープラネット』で
講談社に進出。また楽園関係で繋がっていた、かもしれない水谷フーカ氏の
『ロンリーウルフ・ロンリーシープ』で芳文社にも進出。今年も期待できそうです。
●G×complex 久遠敦司 2011年に記事に載せたのが『イモリ201』『湘南レスキュー部』、『僕の後ろに魔女がいる』、そして紹介が2度目となる『さんかれあ』。主に、ヤンマガやシリウスなどの講談社の作品でお仕事を確認していますが、ご自身が所属する銀杏社の作品、『ハナムラさんじゅっさい』『Kさんドリル』等もいい感じにデザインされていたのでここに補足しておきます。
例えば、旧来のフォーマットが続くヤンマガKCの背表紙をレギュレーションを満たしたまま目立つようにデザインしている『イモリ201』など、表紙自体もさることながら細かいところが上手くて、最近、手に取ることが増えている気がしています。
●BRiDGE 木村慎二郎 少しの作品しか確認できていませんが、どれもこれも気を引いて、
面白い装丁が今後も普通に出そうです。
●imagejack 團夢見 『パンティ&ストッキングwithガーターベルト』タイトルロゴやBDソフトのパッケージなどアニメ系、
またゲーム系のデザインも行っているこちら。最近良く見かけるようになってきました。
★ 他方面系デザイナーの装丁紹介作品の中で、漫画以外のデザインがメインと思われる方々のデザインを集めてみたのがこちらです。
寄藤文平氏、水戸部功氏、鈴木成一氏。
コミック装丁の仕事量はさまざまですが、違った方法論を感じさせたり、
ちょっと文化が違う感じがして、沢山のコミックの中で引力が強かったりします。
コズフィッシュの祖父江慎氏に、コズフィッシュを経て独立したnoteの芥陽子氏。
コズフィッシュで検索した時にコミックの装丁しか紹介していないうちのブログの
検索順位が思いのほか高かったりして何だか悪いなと思いつつ、
引き続きマンガ関係のお仕事をがんばってくださいという思いで応援しています。
★ 自分で装丁を手がける作者『25時のバカンス』は市川春子氏、『睡沌氣候』はコマツシンヤ氏、『RECORD』は藤原カムイ氏(STUDIO2B名義)と、これらの作品はそれぞれ作者自らが装丁を行ってます。自分でやってしまう作品というだけあって、
凹凸のある特殊加工や独特の色合いなど、一際こだわりを感じられるこれらの作品。『RECORD』は、"装丁"としては地味な印象のある、新創刊のアース・スターコミックスの中で手触りの面白い表紙に目を惹く背表紙、ページ枠外の処理など本全体としての仕込み具合が突出していて、同レーベルはここまでやっていいのかという良い指標になりました。
ちなみに『この表紙がすごい!』として市川春子氏の『虫と歌』をチョイスしたときには
自分でいいな〜と思っていたくらいだったのですが、twitterで良い装丁作品に網を張っていると、
『25時のバカンス』は発売直後にその装丁の反響の大きさを確認することができました。
門口の狭い趣向のデータを集めるのに、twitterはかなり有効ですね(いまさらですが)。
★ 沢山紹介した作者2011年は、3種の作品が発売された野村宗弘氏。
妻の野村知紗氏の作品も合わせると4作品。
ある作品の装丁が好きな作者の
別の作品の装丁が好きな確率は個人的に高いので、
こう気に入ってしまうのは必然ではありますが
(押切蓮介作品とか中村明日美子作品とか
こんな感じに名前を出しまくっている気がします)、
出版社もデザイナーも見事にバラバラ、
紙選びにもそれぞれ個性が出ていて、楽しむことができた4作品でした。
★ 漫画賞と装丁年が明けて1ヶ月以上が過ぎ、年末年始恒例の各種漫画賞が出揃ってきました。
いくつかのランキング内容を見て、何となく思いました。
「装丁的にも好きな作品が結構多い!」
装丁記事で紹介した作品や、ブログで紹介しているデザイナーさんが担当している作品が
多いんですよね。賞に入るような人気作や、賞入りが期待できそうな意欲作には
装丁にもより力が入っているのではないかという気がしてきました。
飛躍になりますが、人気作品は装丁も良い可能性が高いのかもしれない、
というわけで、各種のランキングベスト10または上位作品になんとなく、
「この装丁がすごい!」(2011+2012)掲載の有無と、人気のデザイナーさんが掲載されている
ideaの装丁特集のまとめ本『
漫画・アニメ・ライトノベルのデザイン 』への掲載の有無を載せて
まとめてみました。ちなみに、「俺マン」はtwitterで優劣を決める目的などはなしに
各々が2011年のベストを挙げたツイートを有志が集計して出来上がった面白いランキングです。
【参考:
俺マン2011・ランキング編 】
【このマンガがすごい! 2012オトコ 編】 【このマンガがすごい! 2012オンナ 編】 【このマンガを読め!2012】 【俺マン2011】 【マンガ大賞2012 ノミネート作品】 こうして並べてまとめてみると、やはり「この装丁がすごい!」で紹介している作品が
そこそこ並んでいることや、デザイン本収録のデザイナーさんが装丁を担当されていることがわかります。
ここぞというときの表紙買い促進パワーがある気がしているhiveは、
『グラゼニ』『惡の華』『冒険エレキテ島』
『草子ブックガイド』『となりの関くん』と携わっている数が多かったりします。
そもそも個人の趣味で選んだ「この装」に入っていることが何の指標になるのかと
突っ込まれたら終わりではありますが、何だか○がいっぱいある表を乗っけて、
「人気作は装丁もいい可能性が高い」となんとなく誘導して締めたいと思います。
★ 雑誌掲載▲モーニング NO.10 2012.02.16『草子ブックガイド』宣伝ページより
ありがとうございました。『外天楼』に帯まで新調させた「俺マン」はすごいな〜、こっちも出版物に名前が載るくらいにもっとがんばろうか、と思っていた矢先に「俺マン」、「王様のブランチ」と並んでご紹介いただく…と目標達成をした感があるので、2012は同じくらいでがんばることにしました。集英社さん:了、そしてこれで講談社さん:了。今こちらを読まれている方に、小学館の紳士・淑女の方、秋田書店の紳士・淑女の方がおられましたらなにとぞよろしくお願いします。(あと、何となく愛が通じそうなエンターブレインさん、なんとなくお願いします)
★ レーベルあれこれ紹介作品のデザイナーさんが名和田さんなど壮絶に偏りったりすることもあれば、
当然レーベルですごく偏ったしていることももちろんあります。
見返しの豪華さ、凝った奥付は当たり前、本全体の構成に1冊1冊こだわるビーム・フェローズ系/エンターブレイン、豪華で上品な楽園系/白泉社、すっきりと力強いIKKI系/小学館、A5の大きさを生かしたバラエティ豊かな作品が並ぶきらら系/芳文社、個人的に装丁狂いの4強として認識するこの辺は自然と手にとって沢山紹介してしまいます。これらはある種の殿堂入りというか、記事を見れば偏ってるな〜というのはわかると思いますが、今年はここらに負けず劣らず気になったレーベルがあったのでいくつか紹介します。
まずはITANコミックス/講談社。
「世界のはじっこを描き出す新しいコミック誌」をコンセプトとする「想像系新雑誌」をキャッチフレーズに創刊(wiki)ということで、これだけ聞くと何のこっちゃで、さらに編集さんのtwitterで「装丁にこだわっている」的なツイートがあったことで個人的に期待するハードルが上がったりしていたわけですが、発売された単行本のそれを見て非常に納得。
『地上はポケットの中の庭(装丁:本瀬智美)』の緑のお洒落な装丁は、この作品の中身を求める層に訴求力があるというか、まずネットで出た小さな書影に非常に大きなインパクトがあって、このマンガがすごいへのランキングにも、入るべくして入った感がありました。
名和田耕平デザイン事務所(赤の世界)、zelas(昭和元禄落語心中,星河万山霊草紙)、imagejack(ロックウェル+ギャングスター,平安女子部!)、GENI A LOIDE(隠慎一郎の電気的青春)等を起用しており、いくつか買って読んで、メインターゲットの女性向けに品が良く、さらに女性モノも読みやすいものがあれば挑戦してみたい男性でも手に取らせて取り込む装丁だなと、これは本誌を読んだこともない自分の勝手な解釈ですが、今後も目が離せないほどの装丁のこだわりを感じた次第です。
次に@バンチ/新潮社。
週刊コミックバンチの休刊から連載陣を大きく入れ替えて生まれ変わった雑誌で、新たな単行本も続々と刊行されましたが、装丁面でも大きな変化を感じることができました。竹内亮輔(罪と罰,エリア51)、ARTEN(BTOOOM!,ザッドランナー)など馴染みのある実力派が引き続き活躍しつつ、さらにこちらのレーベルには目新しい多数のデザイン事務所が参入し、装丁を賑わせました。例えば、里見英樹氏は得意の上下2分割の応用にGOOGLEマップっぽい装飾を付けた『Naviko』、名和田耕平デザイン事務所は一目でわかる『ヒル』に『誰かカフカを守って』、NARTI;S 新上ヒロシ氏は、これまた背景の色使いと上部の白ラインでそれとわかる『寿司ガール』、VOLAREは得意の白の間を生かした『くるみのき!』などそれぞれのデザイナーがそれぞれの個性が色濃く出た装丁をし、また『女子攻兵』には岡崎直哉氏、『あねちゅう!』にはブレイド系でよく見かけるHandClapを起用するなど、個々の作品の装丁は、多数のデザイナーの手で個性的に仕上がっています。元々の他誌でのつながりも上手く作用していそうですが、ここまで月刊誌のコミックのデザインに複数の事務所が関わっているのは決して偶然ではなく、制作側のリニューアルへの意気込みは、装丁からも十分伝わってきました。
少年誌系では、少年チャンピオンコミックス/秋田書店も気になったレーベルの一つです。
担当が固まっていると感じるレーベルでも時折意外なところが担当しているというのはありますが、チャンピオンコミックスは、それが結構多かったりします。背表紙のフォーマットを統一していて気づきにくいものの、『オイ!!オバさん』:HIVE、『ましのの』:井上則人デザイン事務所、『りびんぐでっど!』:NARTI;S 新上ヒロシ氏、『囚人リク』:岩下倫子氏、2011より前まで範囲を広げると、『木曜日のフルッド』は石黒氏に引きずられて5GAS、『涅槃姫みどろ』はVOLAREなど、少なくとも秋田書店系ではなさそうな面白い面子が顔を出してたりします。
そんな今、注目したいのが今年発売される『空が灰色だから』の装丁です。週刊少年チャンピオンの連載作品で、単行本化前の話題の規模として、最近だと『進撃の巨人』『花のズボラ飯』以上、『テルマエ・ロマエ』や少しさかのぼって『夕凪の街』と同等くらいのものと感じられる本作。『このマンガがすごい!2012』がフライングで名前を出しても少し遅い感があるほど各所が「わしが育てた」を競い合うように名前を出していて、ある種の「最初からフラグが立っている」こちらを秋田書店がどう仕掛けてくるか、それがわかるかもしれない1つの要素が装丁。という感じに文章を練っている間に書影が出てきてしまいました。
空が灰色だから 1巻 / 阿部共実 一目見て感じたのがアグレッシブ。
そして、実際に手にとってみないとなんとも言えないタイプだったので、
できれば記事をアップした後で書影が出てきてくれたほうが
ありがたかったのですが、手にとって眺めてて、
どちらが担当しているのか確認できることを楽しみにしています
(チャンピオンコミックスなので載っていない可能性もありますが)。
また、『アオハル』『ミラクルジャンプ』『ガールズジャンプ』など、
続々と誕生した集英社の漫画雑誌も気になるところです。
集英社のコミックの装丁には王道のイメージがあって、全体的には堅さを感じる気もしますが、
後発のレーベルほど縛りやフォーマットが緩く、例えばSQコミックスはジャンプコミックス
に近くも、背表紙下の青いラインがなく、各単行本にサブタイトルを入れる慣習もなく、
より自由が通りやすくなっています。
さらには、雑誌デザインとして『アオハル』には里見英樹氏、『ミラクルジャンプ』にはhiveと、
集英社コミックスにあまり顔を出していない方が携わっており、レーベルが単行本化すれば
デザイナーがわりと固まっている気がする集英社コミックスの装丁にも新しい風が吹くこと思われます。
『ガールズジャンプ』に携わるGENI A LOIDEの小林満氏は集英社で活躍しつつ、
祥伝社の女性作品はさらに自由に面白くデザインされていることもあって、こちらも気になります。
短編集系の雑誌の場合は単行本の予定がどうなっているのかわからず気の遠い話になりそうですが、
今後の動向に期待します。
★ もうひとつの「この装丁がすごい!」最後は何の話題で締めようか、と取り上げたい話題が『このマンガがすごい!2012』の一記事。
なんと、偶然にも「この装丁がすごい!」というマル被りのタイトルで装丁に関する特集記事が
2ページに渡って組まれていました。
なんという偶然!
と言っておきながら、百合男子の項でもちょっと言及しましたが、
「このマンガがすごい」ではメインのランキングのほかに
「この○○がすごい!」という見出しで様々な枠で作品を紹介していて、
装丁を紹介するページを作るとしたら「この装丁がすごい!」となるのは必然。
詳しくは「手に取らずにはいられないこの装丁がすごい!」だったりして、
そもそも当ブログの記事のタイトルは確実に「このマンガがすごい」から…
と、実は言いたいことは他にあって、
有名商業ランキング本に装丁をメインに扱った記事が登場した、
ということが重要なポイントです。
アイデアでコミックの装丁を特集した号が出てきて、
デザイナー公式サイトが増えて、
コミックのデザイナーを網羅した本が発売されて、
そして今回ランキング本にも装丁記事が載って…と
調べればこの系統の事例は沢山あるのかもしれませんが、
コミックの装丁が注目されて、
より面白くなっていく流れを感じずにはいられません。
直近だと、ダ・ヴィンチ 2012年03月号では
これからくるマンガ紹介系の記事でブックデザイナー枠として、
関義之氏・新上ヒロシ氏・名和田耕平氏の3名が
それぞれの装丁作品と共にオススメ作品と、
「このマンガ装丁にやられた!」という1冊を紹介する
ページが設けられていました。
(「このマンガ装丁にやられた!」で3名が挙げていた計3冊は
年末の記事でも紹介していて、内2冊はトップ10以内とトップ20以内。
ちょっと嬉しいもんですね)
2010年の装丁まとめでは「「ipad」の発売に「Jコミ」の立ち上げなど
時代の移り変わりを感じる今日この頃…」
なんて感じで記事を締めて、最近だとKindleの話題が目立っていたりして、
電子書籍の流れはありつつも、そういうのとは関係なく、
装丁が面白く進化していっている時期が今なんじゃないかと思えます。
講談社のある少女コミックがレーベルも、乳歯から永久歯に生え変わるように
本屋さんで見る背表紙が徐々に固定フォーマットから脱却して綺麗になっていったりして、
そんなところをウォッチしながら、2012年も装丁記事をぼちぼちやっていきます。
【訂正と追記】 他のデザイン事務所装丁作品として紹介してしまいましたが、『ぶんぶくかまのめし』は
フリーランスのデザイナー・芳賀沼なおこ氏がさんが手がけた作品でした。
ここに訂正してお詫び申し上げます。
【※】ぶんぶくかまのめし 1巻 / 田丸さと 指人形のようにディフォルメの効いた可愛らしい登場人物と、
ミニチュア状の背景が白の余白部分に引き立てられて、
綺麗な箱庭を感じさせる装丁でした。
出版:竹書房
装丁:芳賀沼なおこ
2012年02月18日 |
特集
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