AX

 ―INFO―

  • スポンサードリンク

この装丁がすごい!~漫画装丁大賞~2011 【ベスト100+α】

このエントリーをはてなブックマークに追加 カテゴリ:この装丁がすごい!  »2011年12月30日 更新

201120102009

WEBの片隅で装丁愛を叫ぶ年末企画、
この装丁がすごい!~漫画装丁大賞~2011、ベスト100+αの発表です。

自分が見て楽しめるように何とかまとめた記事ですが、
コミックのカバーとか装丁が好きな方にもこの「楽しい」が何とか伝われ、と投げた玉数300+α。
紹介された作品、されてないけど外せない作品に思いをはせつつ、
2011年のコミック装丁を振り返るお供にしてもらえれば幸いです。

    【100位以降 200/300

●画像をクリックするとamazonに飛びます。
 作品の内容の方が気になった方はそちらをご参照ください。
●画像下にマークが付いている作品は、
 画像の上にポインタを乗せると別画像に切り替わります。

□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■

【第1位】 おんさのひびき 3巻 / 伊図透

おんさのひびき1


あどけなくも、そのままではいられない。傷ついて、笑って、成長する少年時代の情景。

1巻から3巻まで、水彩絵の具を広げたようなカバー下に、キャライラストの描かれたトレーシングペーパー状のカバーをかけて色を重ね合わせるデザインを採用している。3巻では、カバー下の青と黄緑の抽象的な模様が、寝そべる少女と重なることによって柔らかな空と緑の大地として溶け込む、その趣深い表現に感動を覚えた。ごく小さく添えられたタイトル・作者名や、緑の絵の具のような巻数表記もカバーを完成させている重要な要素だが、あまりにも自然に配置されているため、逆にコメントに困ったりする。

3巻で完結となっているが、描きたい続きがまだありそうでもあり、4巻が出て欲しいと作品的にも装丁的にも切実に願っている。

出版:双葉社
装丁:名和田耕平デザイン事務所

□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■

【第2位】 花もて語れ 2・3巻 / 片山ユキヲ

花もて語れ2_3

引っ込み思案の新社会人主人公が朗読と共に成長していく作品。

2巻は、大きな月夜が照らす、文学作品の中のような幻想的な景色の中で単行本の境界に寄りかかるような構図で本を読むイラスト。本は宙を舞い、鳥へと姿を変えていっている。

3巻は日本家屋の庭で朗読する現実の景色。非常に薄い色合いの着色が、明るい日差しを伝える。

どちらも情景を美しいものとして伝える空気を持っており、甲乙付けがたい。
2巻では月、3巻では青いアジサイの花と、表紙右に配置されたアイテムは、表紙に華を添えると共に背表紙の狭いエリアの配色バランスも取っていて、イラストのない背表紙からも、表紙の美しさが伝わってくる。

出版:小学館
装丁:ベイブリッジスタジオ 黒木香

□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■

【第3位】 鉄道少女漫画 / 中村明日美子

鉄道少女漫画

鉄道をモチーフに描かれたオムニパス。

先頭車両が停車している駅のホームの一角に、各エピソードの登場人物たちの日常が収まったイラスト。特徴的なのが、タイトルや作者名が、駅名標(ホーム内に設置された駅名表示ボード)デザインになっていること。目から鱗のデザインというべきか、なんとも鉄道を扱う作品にぴったり。仮に前例があったとしても、駅名標を雑味無くタイトル枠に落とし込んで、無駄なく自然に作品の内容を伝えているこのデザインは優秀。沿線に馴染がある人は一目で小田急線を舞台にした少女的な作品とわかると思われる。

目次や本編の合間のページなどカバー以外にも鉄道を演出する細やかなデザインが効いていて、楽園コミックス系の豪華さが最大限に生かされている。特に列車の種類と停車駅を示した図をモチーフにした奥付が気に入っており、単体で取り上げて「奥付賞」として紹介しようかと思ったりもしていた。

出版:白泉社
装丁:simazima 平谷美佐子

□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■

【第4位】 やまちち 1・2巻 / 吉沢緑時

やまちち表


自分の検索数を上げたいマイナー妖怪・やまちちと、唯一やまちちの姿が見える少女の、
心の触れ合いと下ネタと下ネタと下ネタを描いた作品。

1巻の表紙は、少女がやまちちに囚われる構図を、3つのパロディ画風で描きわけて横に並べている。パロディの元ネタとなる作者は多分、左から順に楳図かずお氏、美水かがみ氏、赤塚不二夫氏。3つの絵はすべて、やまちちの色もキャラの色も服の柄もばらばらで、これが黒い背景に載せられてよくわからないけれども何ともすごい。そしてよく分からないなりに、やまちちという化け物が出てきて女の子が翻弄されるっぽい内容は伝わってくる。カバー裏には、作者本来の画風の同構図のイラストが載せられている。

2巻は一転して、白カバーにディフォルメキャラを載せたポップな表紙になっているが、こちらにも色々盛り込んである。キャラの上にはピンクと青で色分けした時事ネタ・下ネタコント、キャラの下には、何故あえてここを選んだのかわからない、作中のテンションの高いシーンをカラー再現している。縦に添えたタイトルを中心にして、色々な要素を左右対称に配置して、よくわからないけれども何ともまとまりが良く、おしゃれ。

全2巻完結で、よく分からないけどおそらくすごかったであろう3巻を紹介できないのは残念だけれど、シンプルなキャラのトリミング複数配置が効果的な白と黒の背表紙は、本棚に入れて収まりが良いので満足している。

出版:秋田書店
装丁:芦田慎太郎

□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■

【第5位】 クレムリン 3巻 / カレー沢薫

クレムリン3

昨年この企画を発表した直後に2巻の書影が判明して、「毛沢東」をモチーフにしたというそのデザインに吹出した。そして、大きく取り上げる作品が早めに決まると楽でいいなと思っているうちに3巻を手にとって、作者の言う「ポップでキュートなガーリー路線」の表紙にまた吹出した。小口はもちろん赤。

カバー以外にも装丁というか、一話毎に挟まれるこの作品の1・2巻の宣伝が入ったあらすじや作者のシュールなコラムなど、本全体に作品が愛されている匂いを感じられる。作品の絵柄や内容などによって、選択できるデザインはある程度限られるが、このデザインが似合う作品にはめったにお目にかかれないと思われる。唯一無二の持ち味を持った作品と遊びにめっぽう強いデザイナーのベストマッチと思える。

出版:講談社
装丁:L.S.D. シマダヒデアキ

□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■

【第6位】 ストレニュアス・ライフ / 丸山薫

ストレニュアス・ライフ


ちょこっと不思議な世界で生きる人々のさまざまなお仕事ぶりを、24の連作短編として収めた作品。

そのカバーは、キャラを取り囲むようにして作中のモノローグやタイトルに使われている単語解説などがきっちりと載せられ、図鑑の1ページのようにまとまっている。解説的な文章を表紙に散りばめてしまう構成はかなり大胆だが、それがデザインとして違和感なくおさまり、粒ぞろいのエピソードで賑わう作中の雰囲気もさりげなく伝えていて面白い。*

…という感じでウルトラジャンプに装丁記事第1回として載せてもらった作品。何かの機会に作者のブログにたどり着き、その出るであろう単行本を購入予定リストに入れつつ多分2年以上。記事連載のお声がかかったタイミングで発売されたそれは、見て楽しいイラストの魅力とコードデザインスタジオらしいデザイン的魅力が詰まった実に解説しがいのある作品だったので、大変助かった…という非常に個人的理由で感謝もしている作品。この記事で少なくとも2人のデザイナーさんがコミックを買ったというタレコミがあったりなかったり。

出版:エンターブレイン
装丁:コードデザインスタジオ

□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■

【第7位】 看護助手のナナちゃん 1巻 / 野村知紗

看護助手のナナちゃん

作者の実体験を元に生まれた、看護助手のナナちゃんと患者との出来事と思ったことが綴られた物語。

細かくくすみの入った白地に、緑・黄色・茶色と3色のハンコ印状のイラストが円を描くように形成された表紙。このハンコ印は作者が上京時代に彫ったハンコを用いており、1個1個が手作り感にあふれている。また、ハンコ印らしい印のかすれにも味があり、手触りのいい表面のすべすべな質感も手伝って、温かみのあるカバーに仕上がっている。ボールペンで手描きしたようなタイトルもこのデザインにマッチしていて、このタイトルが配置された背表紙は、本棚に収まったビッグコミックスのなかでも一際目立つ。

また、表紙をめくってすぐ目に入ってくる導入的な語りや、黒以外で印刷された本編、一工夫で定型感をなくしてある奥付など、作品の魅力を引き出そうとする気配りが随所に見られ、装丁に優しさを感じることができた。

出版:小学館
装丁:ベイブリッジスタジオ 黒木香

□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■

【第8位】 寒くなると肩を寄せて / 鈴木健也

寒くなると肩を寄せて


短編集。

魔女が日本のどこかで一人暮らし短編をモチーフにしたイラストに、各エピソードのイメージを内包するような情動的なタイトルを載せている。ゴミや脱ぎ散らかし、レンタルビデオが散乱する部屋で、コタツに入るジャージの悪魔。汚い部屋も緑を多分に盛り込んだ色選びと味のある線でイラスト的には綺麗で、そして何となく暖かな落ち着きがある。

出版:エンターブレイン
装丁:BALCOLONY.

□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■

【第9位】 明日の夜は千の眼を持つ / 上野顕太郎

明日の夜は千の眼を持つ


「わたくし上野顕太郎、上野顕太郎でございます」という台詞でも聞こえてきそうな、選挙ポスター風の表紙。政治家のような身なりの自画像の横には、作品タイトルよりも大きな作者名が強く主張している。作品タイトルや作者名の振り仮名など、控えめに添えられた赤色部分が、モノクロ調で落ち着きあるイラストにささやかなアクセントを加えている。背表紙部分には虹やだるまが収まっていて、こちらはもっと目立つ。また、カバー全体で見てみるとイラストは1枚絵になっており、広げると選挙ポスターがシュールなジャパンイラストに変化する。

選挙風の演出は表紙だけでなく、画像右下「所信表明」のように本全体をまとめるネタとして使用されており、本の繋ぎにはすべて選挙に絡められた形で異様に力がこもっている。まさに、すごい装丁。

出版:エンターブレイン
装丁:セキネシンイチ制作室

□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■

【第10位】 少女公団アパートメント 1巻 / ms

少女公団アパートメント


団地に集まった少女4人のゆるふわ日常4コマ。

上7分の4くらいのイラストエリアと下7分の3くらいの単色黄緑エリア。イラストエリアには、光が漏れ出したような白と緑のまぶしい背景に、仲のよさと自然な楽しさの出た主役4人。単色エリアには、スペースを十分に余らせて白抜きでちょこんと必要な文字情報を載せてあり、英字タイトルについた「*」(アスタリスク)や巻数表記の「①」などエリアの分割とイラストの雰囲気、控えめなタイトルによって、表紙が記念写真のように目に映り可愛い。また、黄緑と暖色の多い色彩によって陽だまりのような暖かさも感じられる。

導入部分も凝っていて、まずカラーの中表紙に描かれてるのが、キャラではなく団地の扉の絵(画像右上)。そして、主人公が団地引っ越してくる導入のカラー漫画、目次(画像右下)、そこから本編が始まる。文字を横に使った絵のない背表紙も特徴的。

出版:芳文社
装丁:里見英樹

□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■

【第11位】 25時のバカンス / 市川春子

25時のバカンス

『虫と歌』に続き刊行された作品集で、もちろん装丁は作者自らが行っている。

月に照らされた夜の波打ち際を斜めにとらえたイラストで、右上半分の水エリアには横になり波を体に受ける女性、左下半分の砂浜エリアには貝殻やヒトデなど海のアイテムや砂の城と、その伸びる影を描いてある。青の色調が美しいイラストになっているが、この表紙のさらに大きな特徴は無色のPP加工。カバー表面には凹凸で、楕円を形成する形で美しい模様が浮き出ており、この模様が表紙の上で幻のようにゆらめき、その雰囲気を一段も二段も上に引き上げている。模様は画像右上のカバー下に描かれた模様と同一で、こちらではっきりと形を確認できる。

背表紙も、『虫と歌』とフォーマットが統一されており、並べて様になる。

出版:講談社
装丁:市川春子

□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■

【第12位】 アイアムアヒーロー 6・7巻 / 花沢健吾

アイアムアヒーロー6_7


6巻は横使い。黒とシルバーの背景の上で目立つ、非常にリアルに描き込まれたゾンビ(ZQN)一向。手前の頭のへこんだゾンビを筆頭に、顔や上半身だけを乗せて、奇妙なインパクトを狙っている。英語表記は小さく入れているものの、肝心の日本語タイトルは裏表紙からまたがって配置されており、表紙には「ムア」と「-6」しか載っていない不親切なデザインだが、逆にこれも表紙のインパクトに貢献している。このタイトルの一部は裏でバーコードの下に隠れていたりするので、本を横にして広げて見てもらうよりも、普通に縦で見せた時のインパクトをより重視している気もする。

また、7巻は雰囲気が変わって、一見すると普通にキャラが着替えている構図。しかし、すぐにきみの悪い違和感が襲ってくる、絶妙な表紙になっている。直接的な恐怖の6巻、間接的な恐怖の7巻と、印象は違えどどちらも強烈。選べず、というか手にとって即効で紹介を決めた6巻に7巻の紹介も加える格好となった。

出版:小学館
装丁:井上則人デザイン事務所

□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■

【第13位】 ゆり子には内緒 / D・キッサン

ゆり子には内緒


2冊目の短編集で、顔の見えない表紙再び。
前巻は暗い色調の不安な美しさを持っていたが、今回は「内緒」の入ったタイトルを指に乗せた女性がいたずらっぽく、鮮やかな着物と合わさって明るくミステリアスな印象。そのイラストは体を横向きに、女性の口元から肩までが見える格好で、見切れた部分が袖や裏表紙に繋がって横方向に形成さているので、もちろんカバー全体としては顔まで入ったワイドイラストになっているが、表紙だけ見ても、縦(普通)に配置するよりも見えない部分が頭で補完されて大きく感じられ、非常にキャラの存在感が際だっている。

顔を出さないというある種の個性を消したカバーデザインは、短編集やオムニパスの一つの答えという気がする。個性を消しつつ個性的で、良い表紙だと思う。

出版:一迅社
装丁:NARTI;S 新上ヒロシ

□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■

【第14位】 ふらり。 / 谷口ジロー

ふらり。裏


隠居した男が江戸の町を「ふらり。」と歩く、歴史上の誰かのストーリー。

トレーシングペーパーを使ったカバーには歩く主人公の白黒絵と、昔風な表現の雲。カバー下にはカラフルなグラデーションをかけた江戸の町並み。ハッキリ見えるキャラに対して、江戸の町は靄がかかったように幻想的に写りこみ、これがスケールの大きな「歩き」を表現しているようにも見える。文字はタイトルと作者名のみの、美しい和の装丁。

出版:講談社
装丁:hive 久持正士

□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■

【第15位】 I【アイ】 1巻 / いがらしみきお

アイ

東北の地で神様を探すという、少年2人の長い旅路の物語。

質感のある和紙のような紙を使ったカバーは、導入部にある「真っ黒な青空が広がっていた。」の一文を表すかのよう。そこに銀箔押しで、文字情報は短いタイトル、作者名、巻数表記と必要最低限のものを小さく配置。何もないからこそ、そこに何かを見てしまう、そんな奥深さを感じる“余白”のデザインは、美しくもコミック作品にはめずらしく、大胆で挑戦的。「読んでみろ!」という強い自信すら感じられ、「いがらしみきお」であるからこそ成立できる、貴重なデザイン。*

出版:小学館
装丁:VOLARE 関善之

□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■

【第16位】 竜の学校は山の上 / 九井諒子

竜の学校は山の上


RPG、西洋ファンタジー、ファンタジーのある日常に不思議昔話。あらゆるファンタジーの詰まった作品集。

世界観が想像できる主婦のケンタウロスを大きく、さらに龍や中世の城やコンビ二、裏表紙には勇者や魔物、羽の生えた女子など、さまざまなファンタジーのイラストを1枚にまとめている。タイトルは「めだかの学校は…」みたいな感じで語感が面白く長いタイトルを大きく載せている。手にとって作品の雰囲気や方向性が感じられ、それはあまり外れたものにはならないのではないかと思える。

出版:イースト・プレス
装丁:NARTI;S 新上ヒロシ

□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■

【第17位】 睡沌気候 / コマツシンヤ

睡沌気候

児童書のような安心感を持った、しかし子供に読ませるには贅沢なファンタジーを内包した作品集。

白枠⇒水色背景、⇒作者イラスト⇒白枠⇒作者イラストの構成。細かい解釈をし辛いけれども、このイラストと水色・金色(黄土色)、紺色の組み合わせに、個人的に猛烈に空想の心と懐かしさがこみ上げてくる、とても気になるカバーになっている。作者本人が装丁をしていて、画像右の中表紙や目次、めくったとき意外な黒い見返しなど、本全体で心地良い世界を形成している。

出版:青林工藝舎
装丁:コマツシンヤ

□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■

【第18位】数学ガール ゲーデルの不完全性定理 1巻 / 茉崎ミユキ

数学ガール


同名小説のコミカライズで、少女3人+少年1人が「不完全性定理」の真実に迫る。

複数のキャラが頭を中心に向けて円を組む印象的な構図を、テーブルで円を囲み問題を解く3人を下から見上げるような形で自然に実現したデザイン。タイトルや巻数表記は、向こうから主人公が直接描いているかのようで面白い。タイトルに対してイラストの明度を下げたり、数式を書いた半透明なペーパーを散らしたりして、上手く表紙に見えない壁を意識させ、奇抜なアイディアは違和感を感じさせること無く、綺麗にまとめている。

背表紙から裏表紙にかけては方眼紙状の背景になっていて、裏表紙にはミニキャラと一緒に数学クイズが置いてあり、あらすじより面白みがある。

出版:メディアファクトリー
装丁:ベイブリッジスタジオ 黒木香

□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■

【第19位】Sunny 1巻 / 松本大洋

sunny.jpg

様々な事情を持つ子供たちが、親と離れて暮らす施設「星の子学園」で力強く生きる日常を叙情的に描いた作品。

遠くを見据えるような白髪の少年のアップと、はっきりと載せられた流れるような英字タイトル、文字間のスペースを広くしっかりと名乗りを上げる作者名。ただ巻数を示すためだけに添えられたかのような右上の巻数表記。必須の文字情報以外に装飾もないが、作者のシンプルなイラストとそれらで表紙は十分に満たされている。ちなみに、タイトルは日産の自動車「サニー1200」からきており、裏表紙にそのイラストが描かれているが、これを少し背表紙にかけることで背表紙に個性を出している。

内部の装丁にも力が入っており、カラーページも多数収録されている。また、各話のサブタイトルには大阪弁の質問と回答という形が取られており、各話が始まるときには必ずサブタイトルが入った黒いページが挟まれている。

出版:小学館
装丁:セキネシンイチ制作室

□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■

【第20位】 スピカ / 羽海野チカ

スピカ

初期短編集。

「ピ」の丸部分が面白いタイトルロゴをU字で囲むように、各編のキャラが配置された表紙。世界観もバラバラなキャラに、エピソードにちなんだアイテムも描かれていているが、余裕を持った洗練されたレイアウトによって、ごった煮とは違ったまとまりを感じさせる。また、街灯と黄褐色の背景によって、本が暖かい夜で包まれているようで何とも雰囲気が良い。

出版:白泉社
装丁:名和田耕平デザイン事務所

□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■

【第21位】 土星マンション 7巻 / 岩岡ヒサエ

土星マンション7


ストーリー補正はもちろん込みで、でもおそらくこの巻を最初に見ても買ってしまう気がする、いい空だ…という最終巻。

出版:小学館
装丁:葛西恵

□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■

【第22位】 プリンシパル 1・2巻 / いくえみ綾

プリンシパル

北海道に引っ越してきた少女と、近づくとハブられるという特別な二人との恋模様。

紙にキャラの写真の切抜きを貼り付け、タイトルは余白にボールペンで書きこんだようなデザイン。手描き風のコメントや装飾が、表紙を飾ることで新鮮でお洒落なものとして目に映る。きちんと入れておく必要がある「MARGARET COMICS Cookie」のタグも、テープで貼り付けているのが面白い。1巻の下地は黄色いノートで2巻は灰色の紙。2巻では切り取られた写真のキャラの周りのちょっとした余白には実際の写真を切り取ったかのごとく背景が描かれていて、1巻から良い変化が付けられている。カバー袖の作品紹介部分まで、切り貼りしたような演出がされていて、フォーマット色が強い少女漫画のカバーの意外な部分も遊べることを知った。

出版:集英社
装丁:PLUSTUS++ 柴田尚吾

□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■

【第23位】 よるくも 1巻 / 漆原みち

よるくも

殺し屋と飯屋の看板娘。住む領域が違う二人の出会いと悲劇の物語。

無味乾燥な背景と冷たい主人公の地味な横顔。カバーはボール紙のような灰色で、イラストの色調は紺。タイトルも作者名も巻数表記も小さく、キャラの印刷部分の一部を抜くように灰色で構成されている。派手さがまったくなくあまりにも静かなカバーであるが、黒を使ったときとはまた違う、無感情が故の何も無さ、冷たさが上手く出ていて、作品を的確に捉えているデザインと思える。

出版:小学館
装丁:葛西恵

□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■

【第24位】 ブロードウェイ・オブ・ザ・デッド 女ンビ ―童貞SOS―

1巻 / すぎむらしんいち
 

女ンビ


敵はゾンビ、そして女ンビ。設定はおバカでも中身は本気なサバイバルホラー。

大作っぽいイラスト、仰々しいアオリ、差し込まれるホラーシーン。B級ホラー映画のビデオパッケージを全力でパロッたデザイン。裏表紙も勿論ビデオパッケージの裏側をパロっており、それらしく見せるために高密度のネタが仕込まれている。中は中で、画像右上のビデオテープ風中表紙、画像右下のチャプター表示風の目次、また映画ポスター風のカラーページなどパロディ要素が盛りだくさん。巻末に入った作者の他作品紹介までCM風になっていたり。とにかく全てがノリノリな1冊だった。

出版:講談社
装丁:ネクストドアデザイン 森谷寿子

□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■

【第25位】 ねこのひたいであそぶ 1巻 / なんにゃか

ねこのひたいであそぶ


仲良し女子中学生4人が、行動範囲内であらゆる遊びを尽くす4コマ。

くっきりした色使いのイラストと、子供らしい奔放さのあるタイトル。ディフォルメ調のキャラと裏路地感溢れる風景にわくわくする、「楽しい」が入った表紙。目次ページ(画像右下)はほとんど、各キャラの家と町内のメインスポットを紹介した地図で占められている。

出版:芳文社
装丁:BALCOLONY.

□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■

【第26位】 遠野モノがたり / 小坂俊史

遠野モノがたり

東京都中野区⇒岩手県遠野市。主人公の引越しに伴い舞台も変わった、前作『中央モノローグ線』から続く全編モノローグ4コマ作品。

クリーム色のカバーに黒と濃い水色で印刷された、3色構成のカバー。抑えた色とのどかな冬景色に佇む主人公。表紙上部中央の黒い枠内に収められた、2色を交互に割り振ったタイトルと作者名。前作のデザインを踏襲しているが、使用するカラー一色をオレンジから水色に変えただけで冬景色を彩るイラストにマッチして、どこか懐かしくて落ち着ける日本の風情を感じられるカバーに仕上がっている。もちろん、前作との統一感はバッチリで、一緒に本棚に納めたときの感じもすこぶる良い。

次回作として、毎回ひとつのテーマを年代別に描く『モノローグジェネレーション』が連載中ということなので、こちらが単行本化されるのを楽しみにしている。

出版:芳文社
装丁:名和田耕平デザイン事務所

□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■

【第27位】 C SCENE / 武富智

C SCENE

作者3冊目の短編集で、『A SCENE』、『B SCENE』に続いて刊行された『C SCENE』。

背景は白。左端に一列、各エピソードのキャラ達を右を向くように配置。そして空いた空間に、ある種の巻数的意味合いを持つ「C」を大きくしてタイトルを配置している。キャラの色調は文字と同じ緑色で統一されていて、キャラの列には統一感がある。

また、カバー裏の右端にも対を成すようにキャラを配置しており、左右同じ段のキャラが同一エピソードのキャラになっていて、「写真を撮られる⇔撮る」、「ヴァイオリンを奏でる⇔聞く」等と意思を通わせた面白いデザインになっている。
ちなみに、『A SCENE』、『B SCENE』2冊に対して今回色調が変わっている。これは『C SCENE』と同じ色調の『D SCENE』が出る伏線かもしれない、というか収まりのためにきっと出るに違いない。

出版:集英社
装丁:GENI A LOIDE 小林満

□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■

【第28位】 ふたりずむ / 古居すぐり

ふたりずむ

姉が妹を大好きな、双子日常4コマ。

シーソーに乗った双子、椅子の上の二つのカバン、2本のペットボトル、2羽のスズメ。何もない箇所(地面)が多く、イラストの密度を右上に偏らせた、空間を効果的に設計したイラストと、大変大人びたタイトルフォント。ここで挙げている時点でイラストがいいと思っているのはもちろんのこと、さらに色合いがすこぶる良いと感じた表紙。表紙イラストは背表紙にもかかっており、こちらも非常に良い。おそらく暖かみのある(青成分の少ない?)灰色が他の要素を絶妙に綺麗に見せているというか、アマゾンの書影と比べると言いたい事が少し伝わるかもしれないが、ここら辺を上手く説明できるようになりたい。

出版:一迅社
装丁:バナナグローブスタジオ 相川友希

□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■

【第29位】 うみべの女の子 1巻 / 浅野いにお

うみべの女の子

うみべのまち、十四歳の青春。

細かいヒシ状の凹凸でさらさらした手触りのカバー。白地に緑の多い水彩のような模様を重ねて、そこに水に足を浸すように白線の素足がのせてある。ほどんどキャラが主張しないこの美しい表紙。キャラをカバーに描くことが少ない浅野氏のこだわりは、いつも安定してレベルが高い。

出版:大田出版
装丁:NARTI;S 新上ヒロシ

□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■

【第30位】 境界線上のリンボ 2巻 / 鳥取砂丘

境界線上のリンボ2


2巻にて完結。このファンタジー感がドストライクなカバーは、やっぱり今年も紹介しておきたい。1巻は街、そして2巻は駅。ビルのような列車がそびえたつように並ぶ純然たる空想世界だが、ディテールが細かく描かれた、行く人くる人の流れさえ直に感じられるそれは、間違いなく駅。大きな建物の大きな出入り口から空が見える部分がまたリアル。2冊の中に、世界を構築できた作品だな~と外を見て、内を読んでそう思えた。

出版:芳文社
装丁:BALCOLONY. 染谷洋平

□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■

STEEL BALL RUN スティール・ボール・ラン 24【第31位】 STEEL BALL RUN 24巻 / 荒木飛呂彦

ロケットペンダントの写真のようにスポット状に配置された、冒険者達の顔。新たに描き下ろされたロゴ。中央には、作品を象徴する「鉄球と馬と無限」のエンブレム。作品の時代に存在したかようなレトロなアメリンカポスター風のたたずまいを持ったカバーイラスト。
これまでのものとガラッと雰囲気の変わったこの表紙は、先生に自由に描いてもらい、出来上がったイラストをそのまま表紙にしたとのこと。「そこにシビれる!あこがれる!」とでも言うほかない、プレミア感溢れる最終巻のデザイン。

出版:集英社
装丁:-

□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■

聖☆おにいさん 6【第32位】 聖☆おにいさん 6巻 / 中村光


雪の降る夜、イエスとブッダがお店のショーケースの前でケーキを選ぶ後ろ姿を遠景で収めたイラスト。英字表記のタイトルはお店の看板らしく配置し、巻数表記は開いた自動ドアの両側に、大きくもさりげなく。人気を確立し、キャラの個性も認知されているからこそ6巻でもこんなに冒険できるというデザイン。レジに"MORNING KC"を入れるレギュレーションのクリアーの仕方など、やる気があればそんなアイディアも通るんだと、色々うなってしまう。

出版:講談社
装丁:NARTI;S 新上ヒロシ

□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■

よつばと! 11【第33位】 よつばと! 11巻 / あずまきよひこ


とーちゃん、よつば、人形のジュラルミン、大中小と息の合った読書の時間の構図。洗練されすぎとでも言うべきか、中くらいの大きさにキャラを収めた日常の一コマ系の表紙で、面白しろさを盛り込みつつも、空気感がここまで自然すぎるものはそうそう出るものではない。新刊のあまりの陳列具合を見てみると、いまさらそういうことを言うのもなんだか恥ずかしいかもと妙なバランス感が働きつつも、やっぱり紹介しておきたい。

出版:アスキー・メディアワークス
装丁:里見英樹

□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■

ドロヘドロ 16【第34位】 ドロヘドロ 16巻 / 林田球



「○○が入っていないのはおかしい」という感想は非常に困るものの、コメントで名前が出てついに手にしてみて、なるほどすばらしいことを確認できた。各巻で背景部分にはそれぞれの雰囲気に合った凹凸が付けられており、16巻には、中華のカクカクした渦っぽいアレが仕込まれていて、これが手触りにも見た目にも強い影響を与えていて、所持しがいのある装丁だった。

出版:エンターブレイン
装丁:セキネシンイチ制作室

□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■

ぱにぽに 16【第35位】 ぱにぽに 16巻 / 氷川へきる



「ぱにぽに THE MOVIE」とでも呼ぶべき、
作品の長編展開に合わせられたスペクタクル感溢れるスペシャルな表紙。

黄色とオレンジで構成されたベタ背景の表紙フォーマットを
長寿作品として積み重ねてきたからこそ生み出せる、パターン崩しのパワー。

出版: スクウェア・エニックス
装丁:里見英樹

□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■

にんぽぽ123(1) (モーニングKC)【第36位】 にんぽぽ123 1巻 / 鈴木志保

宙に浮かぶネコに似た生き物と、それを見つめて手を広げる一人の女性。
女性のスカートが空のように広がり、周りには雲や玩具が浮かんでいる。
カバーには透ける紙が使用されており、カバー下のタンポポの黄色が
うっすらとカバーイラストに重なり、ほんのりと温かみが増している。
背景色を白にキャラとアイテムのみを乗せた装丁ながら、
そのカバーにはまぎれもない一つの世界を感じることができる。
表紙と対照的に、全面青空が広がる裏表紙も素敵。

出版:講談社
装丁:NARTI;S 橋本清香

□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■

ブラステッド 2【第37位】 ブラステッド 2巻 / 室井大資

傍観を決め込んでいた男が巻き込まれた無慈悲な暴力の世界、という感じの作品。
数々の殺伐としたイラストと台詞を散りばめて危うい世界観を表現したカバーには、黒い作品内容に似つかわしくないほどに明るい蛍光イエローが使われている。このイエローだけでも相当なインパクトがあるが、その中には白色が使われた「歯」のイラストがあって、その存在感と狂気感が表紙の吸引力をさらに押し上げている。

出版:エンターブレイン
装丁:コードデザインスタジオ

□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■

外天楼【第38位】 外天楼 / 石黒正数

奇妙な建物にまつわる幾つかの面白おかしい事件と、一つの真実を語ったSFミステリ。白背景とスタイリッシュなフォントを使ったタイトル等の文字情報。入り組むように並べられた、不思議な色選びで統一されたキャライラスト。カバー表面には手触りのいい粒粒が敷き詰められつつ、かざしたときに浮き出るようなPP加工のアクセントが加えられている。まず手にとった時点で感じられる垢抜けたデザイン。その懲りようはカバーのみに限らない。一通り読み終えて、余韻と共に装丁を味わってもまた、得られるのもがあるかも。

出版:講談社
装丁:5GAS 宮村和生

□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■

見かけの二重星【第39位】 見かけの二重星 / つばな

とある出来事により二人に分裂した女子校生、「二人の一人」の物語。

背景をごく薄いピンクに、タイトルも小さいフォントで添えるように配置することで、鏡の前と鏡の奥で別々に存在する二人を強調し、また見えないはずの鏡の「奥」を描いてイラストに奥行きを作っている。タイトルのフォントはシンプルながら、その置き方とイラストとのマッチで美しい。カバーの質感も良く、光にかざすと、鈍く光を反射して煌くようにいっそう美しく目に映る。

出版:講談社
装丁:水戸部功

□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■

玲瓏館健在なりや2【第40位】 玲瓏館健在なりや 2巻 / 冨明仁


カバーの地を白にして、その上に載せる建物の線画とタイトルロゴ等の文字情報を、すべて銀の箔押しで構成している。壁や柱をリアルに見せるために描き込まれるちょっとした点々など、細部までが銀づくし。キャラには全員白い衣装を着せて、作品の雰囲気も、装丁としての工夫もなんともゴージャス。

1巻の金箔に負けず、銀と白でさらに大きなインパクトを与えてきた。

出版:エンターブレイン
装丁:コードデザインスタジオ

□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■

七匹の侍1【第41位】 七匹の侍 1巻 / 鈴木マサカズ

七匹の外道を探し旅をする、女侍復讐の物語。

青い背景と、白黒の刀持ち主人公イラスト、角ばった赤い極太タイトル。隙間には、身の上を説明する主人公の口上や、時代設定に不釣合いな「KILL YOU」の文字が雰囲気を損ねることなく挿入されている。時代物っぽく、時代物のポスターのような販促物的なかっこよさが組み込まれたデザイン。目を引き、興味を引く。

出版:講談社
装丁:井上則人デザイン事務所 井上則人

□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■

とでんか 4【第42位】 とでんか 4巻 / 樹生ナト

毎回キャライラストを用いず、
取り扱う都市伝説などをピクトグラムで表現したイラストによって、
表紙を掲示物のように仕立てている本作品。
4巻は「トイレの花子さん」編ということで、
見慣れたトイレの男女マークのアレンジが、
本巻の内容を直感的に宣伝しつつ、
商品のカバーとしてのかっこよさを存分に主張している。

出版: 角川書店
装丁:寄藤文平

□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■

9速眼球アクティヴスリープ―中山敦支短編集 (ヤングジャンプコミックス)【第43位】 9速眼球アクティヴスリープ / 中山敦支

言葉の組み合わせが謎めいて語感が良く、不思議な魅力のあるこのタイトルは、作者のブログのタイトルをそのまま持ってきたもの(その由来については本作品のあとがきにてコメントあり)。タイトルを縦書きで大きく、単語ごとに分けるとちょうど右下が広くなり、そこに後ろ向きに横顔を控えめにのぞかせるキャラを配置。白い背景に黒字のタイトルが最大限に目立ち、個性的な作者イラストも、それと分かる大きさでタイトルから0.5歩ぐらい引いた程度に主張する、タイトルとキャラと余白の美しい組み方。正解は元々これだったと思えるくらいしっくりきている。
出版:集英社
装丁:VOLARE 関善之

□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■

ピコピコ少年TURBO【第44位】 ピコピコ少年TURBO / 押切蓮介

押切氏がゲームにまつわる少年時代の思い出をつづった、青春グラフィティー。

2冊目なので付けられた「TURBO」は『ストリートファイターII』のバージョン名から持ってきたもので、ロゴのその部分もそれっぽくデザインされている。装丁ランキングの前身企画で1作目を挙げて丸2年、再び紹介したくなるこのクオリティは相変わらずだな~としみじみしたり。もうちょっと脳みそを使った紹介文は、ウルトラジャンプ2号「今月のジャケ買い」に掲載予定。

出版:太田出版
装丁:DK 大橋一毅

□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■

逃げる男【第45位】 逃げる男 / オノ・ナツメ

鬱蒼と木の茂る深い森に佇む男のイラスト。
木の葉も描かずに裴景を黒く染め、
作者名とタイトルの緑色を除き、
グレースケールで統一されたカバー。
オノナツメの日本人離れした味のあるキャライラストも抑え目に、
読者を突き放して物語を奥にしまってしまうような距離感を感じさせる装丁。
闇が深いからこそ、深く潜ってみたくなる。

出版: 太田出版
装丁:note 芥陽子

□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■

吐息と稲妻【第46位】 吐息と稲妻 / 谷川史子

6つのエピソードを収めた短編集で、
表題作「吐息と稲妻」のイラストをカバーとして仕上げている。
木枯らしを連想させるような黄褐色の背景に、
コートを羽織って白い吐息を吐く青年を水彩画のように淡く載せた
冬の息吹を感じさせるイラスト。
顔部分を大胆に横断しながらも邪魔をしない、
ほっそりして個性的なロゴがとにかく良い。

出版:集英社
装丁:川谷康久

□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■

進撃の巨人4【第47位】 進撃の巨人 4巻 / 諫山創

1巻から3巻までは、巨人感を全面に出したグロさもや怖さもある
インパクト重視の表紙を採用してる。
そして、漫画の各賞受賞など知名度をぐんと上げたタイミングで、
4巻では雰囲気をガラッと変えて、黄昏の空をバックに
仲間を集合させた美しくカッコよく落ち着いたカバーに仕上げてきた。
いつもと変わらぬロゴも、構図と背景の色合いの関係で
良く目立ち、よりバッチリと決まって見える。

出版:講談社
装丁:Red Rooster 下山隆

□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■

テルマエ・ロマエ3【第48位】 テルマエ・ロマエ III巻 / ヤマザキマリ


彫刻+お風呂アイテムのこの装丁も3回目ながら、未だインパクトも衰えず今年も紹介したいと思えた3巻。今回の彫像のモチーフはヴァチカンのピオ ・ クレメンティーノ美術館にある『ラオコーン像』。荒々しい元ネタも、腕を頭に乗せてシャンプーハットとタオルを加えれば、行儀良い風呂好き像。また、巻数表記が大きい作品はいくつかあるが、この作品の大きなローマ数字の巻数表記の有効度はかなりのものだといまさらながら思う。

出版:エンターブレイン
装丁:セキネシンイチ制作室

□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■

ランドリオール17【第49位】 Landreaall 17巻 / おがきちか

エフェクトのかかったような抽象背景に、
キャラを大きめに載せるのが基本パターンである本作。
17巻では、金と白のひし形パターンを裴景に、
3人の男性キャラを全身が収まるように行儀良く配置している。

静かな構図と衣装の紺色と金白パターン背景が限りなくマッチした、
いつもと一味違う味付けのカバーが新鮮。

出版:一迅社
装丁:deconeco 小石川ふに

□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■

鉄楽レトラ【第50位】 鉄楽レトラ 1巻 / 佐原ミズ

男フラメンコに進むと思われる、胸を突く青春作品。

年頃の青年の姿との組み合わせで見間違いかとも思ってしまう、手に持った赤い女物の靴が白い背景に鮮明に映った表紙。大きく、黒・赤と交互に踊っているかのように組まれたタイトル。青年のイラストは裏まで続いているが、広げずとも背表紙にかかっている時点で、青年のイラストの広がりと力強さを感じることができる。

出版:小学館
装丁:名和田耕平デザイン事務所

□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■

月華美刃 3【第51位】 月華美刃 3巻 / 遠藤達哉

右に縦形のロゴを置き、左の枠にヒロインのイラストを載せる
整った和のデザインフォーマットを1巻から継続。

1巻のイラストは初巻っぽく、タイトルに含まれる「月」と「刃」を入れて
ヒロインの快活な面を表に出していたが、
3巻では趣向を変えてヒロインに和服を着せてしっとりと仕上げ、構図も冒険。
持っている琵琶がさりげなくエレキ仕様。

出版:集英社
装丁:Local support Department 角田正明

□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■

地上はポケットの中の庭【第52位】 地上はポケットの中の庭 / 田中相


民家の庭に王の庭。様々な「庭」を舞台にした短編集。

緑の背景に、花柄の衣装を着た女性。写実的な草花と白線で整えられたタイトルが、キャラの隙間を程よく埋めている。まず、濃い緑が目に入ってきて、そして眺めて要素のバランスよく収まったイラストに美しさを感じる。絵柄の良さや目立ち具合と絶妙のタイトルで、狙った層への訴求効果が期待できそうな表紙。

出版:講談社
装丁:本瀬智美

□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■

セラフィム 2億6661万3336の翼【第53位】 セラフィム 2億6661万3336の翼 / 今敏


押井守が原作・原案を担当していた、90年代未完作品の単行本化。
黒い淵、白い背景に囲まれるようにシンプルに貼られた、
羽を生やしうずくまる男のカット。
文字は全て飾りのないローマ字。

手向けに思えた。

出版:徳間書店
装丁:マッハ55号 上杉季明

□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■

チカちゃんは知りたがる【第54位】チカちゃんは知りたがる 1巻 / 竹内元紀

極端に大きく配置されたタイトル中の一文字「知」の字に、
逆さまでぶら下がる主人公チカちゃん。
アンバランスな大きさの1文字が印象を掻っ攫うデザインであるが、
巻数表記や作者名の視認性よく収まりの良い配置、
大きくないキャライラストの印象的な見せ方によって全体が調和しているため、
冒険しているのに冒険している感が小さい、というか
目を引きながらすんなり受け入れられてしまうほど自然に仕上がっている。

出版:竹書房
装丁:磯崎真也

□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■

寿司ガール 1 (BUNCH COMICS)【第55位】 寿司ガール 1巻 / 安田弘之

頭に寿司ネタを乗せた「寿司ガール」と、彼女に出会った女性達の、ちょっぴり変わった触れ合いのお話。表紙には、レーンの上で寿司に紛れて女の子が流れてくる…そんな奇妙で微笑ましい出会いの瞬間が閉じ込められている。背景は黄色とピンクの2色に、キャラと寿司とお皿はスポット的にカラフルに。鮮やかな色味を使った背景なのに、抑えた色数で不思議と落ち着いた引き立て役に回り、中央に小さく描かれたキャラが強く目立っている。この小さくても大きい彼女達の存在感は作品の世界そのもの。A5の広い表紙が“活きた”デザイン。*

出版:新潮社
装丁:NARTI;S 新上ヒロシ

□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■

ラプンツェルと5人の王子【第56位】 ラプンツェルと5人の王子 / 箱知子

6つの童話を元に編まれた、短編的味わいもあるドラマテッィクな一つの長い物語。

「ラプンツェル」を中心に、西洋的なフレームの中にレイアウトされた、「カエルの王子様」や「眠り姫」等のイラスト。枠を超えて植物で装飾されて美しくまとまったカバーは、表面のマット加工やそれ自体に濃淡のある紙のチョイスなどによって、格調高く仕上がっている。

出版:新書館
装丁:新書館デザイン室 岩崎ミカ

□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■

からくりサーカス 1 (少年サンデーコミックス〔スペシャル〕)【第57位】 からくりサーカス 新装版 1巻 / 藤田和日郎

大長編漫画の新装版。
海外のサーカスのポスターを連想させるフォーマットを構成して、
上半分に作者イラストを入れるデザインで統一していく模様。
そのタイトルが広く知れ渡っている今、ロゴも大きくローマ字で飾る。
カバーの質感も手触りのよいものになり、
作者渾身の一枚絵が載せられた王道の少年漫画らしい装丁の新書版と
好対照的に大人っぽい仕上がりになっている。

出版:小学館
装丁:ベイブリッジスタジオ 吉村勲

□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■

仏像に恋して【第58位】 仏像に恋して / 真船きょうこ


仏像エッセイコミック。

青い空の下、横になったリアルな大仏と、その手前で同じく横になったディフォルメ作者キャラ。構図の面白さもさることながら、発色がすばらしいと強く思ったカバー。また『ストII』ネタになるが、表紙を見て「タイガー」だよなと思いつつ本編を読んだら、「タイガー」ネタが出てきて見事に一本釣りされた気分になった。

出版:新人物往来社
装丁:NARTI;S 新上ヒロシ

□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■

ネコあね。【第59位】 ネコあね。2巻 / 奈良一平

物語の門出として、キャラを記念写真のようにきちっと収めて
顔見せを済ませた1巻から一転、2巻のカバーイラストは
居間で暑い夏を乗り切るゆるゆるな日常の一コマ的なものに。
昭和的な畳部屋の風景とねこみみの姉貴のミスマッチが、
塗りの淡いタッチで絶妙に調和している。
背表紙に載せられたキャラは表紙のものを切り出したものだが、
扇風機までセットにしたその切り出し方が面白い。

出版:講談社
装丁:名和田耕平デザイン事務所

□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■

土竜(モグラ)の唄 26【第60位】 土竜の唄 26巻 / 高橋のぼる



毎度毎度、あちらの方のような出で立ちで表紙を飾るモグラ(潜入捜査官)。
26巻でも白竜にキリンさんの柄まで入ったスーツを着こなして、
満面の笑みで親指を突き立てて「グッド」のポーズを決める。
その格好がけばけばしいほど、現実で引いてしまいそうであればあるほど
表紙として映えるのだから面白い。

出版:小学館
装丁:ベイブリッジスタジオ 田中陽介

□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■

ボクと魔女の時間 1【第61位】 ボクと魔女の時間 1巻 / アラカワシン

魔女によって人外の体にされてしまった少年の、日常SFバトル。

「魔女」の何かたくらんでいそうな表情がキャチーな表紙。赤と黒のレギンスが目立つおおよそ魔女らしくないその格好と、ドットの入った灰色のメタルっぽい背景。少年マンガとしてはだいぶ落ち着いたフォントのタイトルのちょっとした魔女っぽい加工と、抱えたドクロで少し魔女っぽさを演出している。子供っぽくない少年マンガデザイン。

出版:集英社
装丁:ビーワークス 横濱匠

□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■

医龍25【第62位】 医龍 25巻 / 乃木坂太郎

左に「医龍」の特大ロゴ、右の縦長長方形のイラスト枠に
主人公(+サブキャラ)を収めるのが基本フォーマット。
ラストはイラスト枠に敵も味方も一同に介した集合写真。
しかしそこに主人公の姿は…。

普通に縦だと収まらないので、イラストは横向き。
これまでのフォーマットを踏襲しつつ、一目でわかる最終巻。

出版:小学館
装丁:ベイブリッジスタジオ 辻本有博

□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■

預言者ピッピ 2【第63位】 預言者ピッピ 2巻 / 地下沢中也



網を持って虫取りする無邪気な少年が描かれたイラストエリアと、白地に可愛いフォントで「預言者」と若干不吉で不釣合いな文字が並ぶタイトルエリア。地味でも派手でもなく、余計な装飾感はなく、かと言ってさりげなくまぎれさせているわけでもない。普通にタイトルがイラストを引き立てているが、この普通は中々できない。

出版:イースト・プレス
装丁:鈴木成一デザイン事務所

□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■

金の靴銀の魚【第64位】 金の靴 銀の魚 / 市川ラク

短編集。表題作の「金の靴 銀の魚」のイメージでカバーを構築している。
灰色(銀)の線で描かれた女性の横顔に、
透ける形でリアルな金魚の絵が乗せられ、さらにその上に
金箔押しの小さなタイトル文字を文字間隔を広げて添える。
全体としての色使いは抑え目に、
金魚と小さい金の文字とのピンポイントの色づけで
大人っぽく静かながらに、目に留まるデザインを実現している。

出版:エンターブレイン
装丁:セキネシンイチ制作室

□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■

14歳の恋 1【第65位】 14歳の恋 1巻 / 水谷フーカ

教室の机に座り、お互いちょっと違う方向に体を向かせながらも
意識しあう男子と女子、そんな構図のイラスト。
イラストを右半分・左半分に分けたときにキャラの向き、
机の位置、窓枠などがシンメトリーっぽくなっていて落ち着いている。
窓の外で雲と一緒に載せられた白いタイトルや作者名も静かに美しい。

それにしても窓が大きい。

出版:白泉社
装丁:名和田耕平デザイン事務所

□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■

空声【第66位】 空声 / こがわみさき

少年少女の物語のオムニバス形式の短編集。白い枠で囲まれた、グラデーションのかかった淡い背景。同じく淡い色で塗られれたキャライラスト部分にはスケッチのような荒い色むらが付加されていて、カバー雰囲気は柔らかく統一されている。カバー上端からぶら下がるつり革など、キャラとアイテムの配置もそれぞれが主張し、そして全体では調和している。

カバー裏の美しさも、あらすじを載せた非全面イラスト系の中でかなりのもの。

出版:アスキー・メディアワークス
装丁:里見英樹

□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■

四月は君の嘘1【第67位】 四月は君の嘘 1巻 / 新川直司

ボーイミーツガールから始まる音楽少年再起の物語。
爽やかな少年少女のアップイラスト、水色の枠、魅力的な響きを持った作品名を掲げる品の良いロゴ。正直、ネット上の書影を見たときにはあまりピンときていなかったが、単体でも魅力的な背表紙と合わせたときの3次元的美しさや、細かい模様が効果を発揮する水色枠部分など、手にとってその印象が180度変わった。裏表紙や袖、目次やコラム的ページの文字組みなど、総じて出しゃばらずに、作品に合わせて非常に丁寧に作られている。

出版:講談社
装丁:朝倉健司

□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■

りびんぐでっど! 1【第68位】 りびんぐでっど!  1巻 / さと

ゾンビ、と言うよりデュラハンを思い起こさせる、
可愛らしい首を手に持たせたショッキングなイラスト。
大きなロゴを体に乗せ、囲んだ首をさらに強調している。
怖いことを言う吹出し。巻数表記を飾る血だまり。
最大限にポップに飾りつつ、それでも残る違和感が気持ちよい。

何気に、体を後ろ向きにして背中に首と組み合わせたその発想がすばらしい。

出版:秋田書店
装丁:NARTI;S 新上ヒロシ

□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■

朝霧の巫女 7 (ヤングキングコミックス)【第69位】 朝霧の巫女 7巻 / 宇河弘樹



まったく同じ視点の風景(作中の神社の鳥居前)を背景として、
キャラや季節、時間や天候を変えてそれぞれ違った顔を見せる各巻の表紙。
紅く染まった三日月、剣を突き立てる二人、骸の山。
物語も終盤に差し掛かった7巻のカバーは、
禍々しくも美しい。

出版:少年画報社
装丁:宇河弘樹

□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■

ふーふ―電撃4コマコレクション【第70位】 ふーふ / 祥人

オンラインゲームのなかで「夫婦」となった女の子二人、その日常の4コマ。
手を繋ぐ二人の全身像を平面で収めて等価に目立たせた上で、
二人の関係を示すタイトルを真ん中に収まりよく配置している。
二人の背後のシルエットは、ゲーム上での二人のキャラのもの。
背景にはティーマットのような柄を敷き、甘いお菓子を散りばめた
メルヘンな味付けをしているが、余白の白が良いコントラストとなって、
メルヘンな風味をややオシャレな方向に引き締めている。

出版:アスキー・メディアワークス
装丁:虻川貴子

□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■

くるみのき! 1【第71位】 くるみのき! 1巻 / 青木俊直

表紙の少女、“くるみ”が主人公のスーツアクトレスコメディということで、
「着ぐるみ」⇒「くるみのき!」という感じ。
着ぐるみの頭をもった主人公が地べたに座ったシーンが
見下ろし気味に描かれたイラストによって、白いカバーは
しっかりとした地面に。
これに、書き文字のような暖かさを持ったカラフルなタイトルロゴが合わさって、
シンプルで可愛らしい白背景カバーに仕上がっている。

出版:新潮社
装丁:VOLARE 関善之

□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■

惡の華4【第72位】 惡の華 4巻 / 押見修造

キャラがカバー全体をまたがって、背表紙にキャラの目がくるアイディアはそのままに、本編の新展開にあわせるように印象を変えてきた4巻。
背景は黒、キャラは紫色で、カバーの表面には手触りのよいつぶつぶ(バニラスパイダーと同等?)を広げつつ、目の瞳孔だけはツルツルと光っていて、背表紙からの視線も強化され、印象的な吹出しを廃止しつつもインパクトは1~3巻に引けをとらない。
ちなみに表面の加工が結構はがれやすいので、取り扱いに注意。

出版:講談社
装丁:hive 久持正士,土橋聖子

□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■

しずかの山(2) (イブニングKC)【第73位】 しずかの山 2巻 / 松本剛


山岳漫画。
油絵のような塗りのイラスト。
カバーの表面はキャンバスのようにでこぼこと加工されている。
横顔が大きくクローズアップされた構図だが、
その表情と姿勢、汚れの表現だけで
山を一歩一歩踏みしめて歩く、その力強い足音が聞こえてくる。

出版:講談社
装丁:bueno

□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■

倭トトは神様である!【第74位】 倭トトは神様である! / 大宮祝詞

ちっちゃくて可愛くて、おおよそ神様らしくない神様である
主人公のドアップが描かれた表紙。

その作品タイトルは、文字通り主人公の"顔に書いてある"ので、
ロゴだけれどもイラストと一体化している印象も受ける。
作者名もあまり主張しないよう配置されていて、
とにかくまず顔がガツンと目に入ってきて面白く目立つ。

出版:一迅社
装丁:KOMEWORKS木緒なち

□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■

リトルポップ (マーガレットコミックス)【第75位】 リトルポップ / アルコ

短編集。可愛らしくちょこんと飛び跳ねる少女のイラストを、明るい色彩で漫画らしさを失わない程度に淡い水彩画のように着色。タイトルロゴも、イラストと一体感のあるアナログな質感のものをイラストと角度を合わせた上でカラフルに配置し、白い背景にささやかな彩りを添える。
作者名ははっきりと黒字、さらに少女の上にも黒字の英字タイトル表記を載せて、全体を商品っぽく整える。表題作のタイトルイメージにぴったりかつ、短編集として他の作品も許容する奥ゆかしさも備える、まさしくリトルポップなカバー。

出版:集英社
装丁:川谷康久

□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■

屋上姫1【第76位】 屋上姫 1巻 / TOBI

屋上に佇むのその姿と高嶺の花的その存在から「屋上姫」と呼ばれる女生徒会長と、彼女に一目ぼれした新入生との物語。ということで、1巻にはこれしかないという具合の青空背景。ヒロインを鉄柵にかけさせて、自然と見上げた先に存在するという雰囲気を出した青空の使い方が秀逸。
また、(赤色の混じらない)青空、鉄柵、銀髪ヒロイン+白黒の制服と、色合い的にかなり抑えられたイラストに、ピンクのすっきりしたロゴが絶妙に華を添えている。

出版:ソフトバンククリエイティブ
装丁:BALCOLONY. 染谷洋平

□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■

ヒナまつり【第77位】 ヒナまつり 1巻 / 大武政夫

カチコミに行くかのごとく拳銃を持って気合を入れたヤクザと、
「絶品だぞ、一口くらいはやる」と言わんばかりにいくら丼を構える少女。

集中線をびっしり描き込むと何でも迫力が出るというテクニックを
プロが駆使したこの破壊力。タイトルもロゴというより題字。
「何故か笑ってしまったAA」に通じるシュールな面白さがやばいと個人的に思っている。

出版:エンターブレイン
装丁:林健一

□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■

ばれてるよ!ジャンボリーヌ1【第78位】 ばれてるよ!ジャンボリーヌ
1巻 / かんばまゆこ 


トレードマークであると同時に突っ込みどころである大きな緑の頭。
だいたいどういう漫画であることが一目瞭然なわかりやすさ。
頭の大きさをことさら強調するピンクの背景は、「もさもさ」という文字の集合。
カバー全体に小ネタとデザイン的なこだわりがやけに敷き詰められているが、
細かく言及するには文字数が足りない。是非手と目でご確認を。

出版:小学館
装丁:NARTI;S 新上ヒロシ

□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■

へうげもの 12 へうげもの 13【第79位】へうげもの 12-13巻
/ 山田芳裕 

温泉に浸かっていてキャラの首しか写っていないいささかひょうげすぎの12巻、白と銀の色チョイスに右上に三角のスペースのカットが洗練されすぎな13巻。
どちらもある程度単行本が出たからこそ出せた代物と思う。

出版:講談社
装丁:L.S.D. シマダヒデアキ

□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■

鬼灯の冷徹(1) (モーニングKC)【第80位】 鬼灯の冷徹 1巻 / 江口夏実

表紙に描かれたドSな鬼、閻魔大王第一補佐官・
鬼灯を主人公とした地獄日常ギャグ。
背景しだいではちょっと怖く感じるかもしれない程度に
キリッと描かれた主人公を、黄褐色、クリーム系の背景と
地獄と桃源郷を混ぜたような彫刻風のフレームで飾っている。
賑やかでどこか落ち着く地獄、
そういう中身が表れた良い現代的な和のデザイン。

出版:講談社
装丁:井上則人デザイン事務所 村松のぞみ

□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■

骸シャンデリア 2【第81位】 骸シャンデリア 2巻 / 厘のミキ

篭に閉じ込められた人への剣刺し、玉に手を乗せたトラ、トランプを咥えたカラス、無造作に転がったシャレコウベ、割れた窓ガラス。マジックやサーカスをモチーフにしたと思われる、危うさを漂わせる暗いイラスト。

要素が多く、細かく描き込まれていて魅せる。背景をピンク色にして、カニバリズムのモチーフを明るく味付けした1巻も捨てがたいが、インパクト的にはやけに気合の入ったトラが圧勝。

出版:講談社
装丁:imagejack 團夢見

□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■

原作さん【第82位】 原作さん / 一條マサヒデ 藤本たみこ



漫画原作者で、絵を描かない一條マサヒデが、自分で絵を描いた日常漫画。
その1シーン1シーンが文字通り切り貼りされている、というデザインのカバー。
貼り合わせを演出するテープの質感がまたリアルで、
貼り合わせのずれがタイトルにまで及んでしまっていたりと、
手の込んだ安っぽさがにくい。

出版:双葉社
装丁名和田耕平デザイン事務所

□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■

May探偵プリコロの帰還【第83位】 May探偵プリコロの帰還 / 魔夜峰央



等身が低くディフォルメ色が強いキャラを中心に、
オッサン達の横顔を周囲に散りばめながらも、
コントラスト高めの独特の配色センスで耽美な雰囲気さえまとったイラストを、
赤と黒の文芸的な趣きのあるフレームに収めている。
格調の感じられる仕上がり。

出版:東京創元社
装丁:VOLARE 関善之

□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■

光の大社員3【第84位】 光の大社員 3巻 / ÖYSTER


毎回表紙で火花を散らす2人の玩具メーカー社員。
カラフルな積み木は白い背景に乗せると、とことん映える。
また二人の積み方の違いから一目で個性がわかってしまう構図が面白い。
ライバルの顔を表紙の外に見切れさせてしまうの大胆なアイディアも盛り込まれ、
このデザインはついつい見入ってしまう。

出版:双葉社
装丁:名和田耕平デザイン事務所

□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■

ノケモノと花嫁 THE MANGA 第二巻【第85位】 ノケモノと花嫁 2巻 /中村明日美子




クマのぬいぐるみに身を包んだ謎多き「中の人」。
2巻の表紙ではその中の人が、痛々しい切れ目からお目見えしている。
背景色は緑がかった黒で、1巻と2巻がロゴの位置は同じに
白(女)、黒(男)と綺麗な対の表紙になっている。

出版:インデックス・コミュニケーションズ
装丁:simazima 平谷美佐子

□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■

うたたね姫【第86位】 うたたね姫 / 宮田紘次

少し不思議寄りの短編集。
表紙の少女は、夢うつつの中で素敵な幻を旅する表題作の主人公。青々と茂る芝生に寝そべる少女をメインとして、小人の兵士をちまっと添えて、タイトルはそういう世界観に合うものをこれまた控えめに添えて、一見すると普通な感じに上品に非日常を匂わせている(繋がる裏表紙はもっと賑やか)。また、背表紙の境界は、表紙にまで広げて綴じ代らしく本を挟むことで、表紙を引き締めている。

出版:エンターブレイン
装丁:BALCOLONY. 染谷洋平

□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■

今日のあすかショー2【第87位】 今日のあすかショー 2巻 / モリタイシ

天然女子中学生「京野あすか」の日常、ということで「きょうのあすか」「ショー」。
2巻まで、主人公一人載せ系となっているこのカバーのデザインの特徴は、ボーダー。1巻が水色で2巻が赤いこのボーダーは、PP加工で浮き出ている。このツヤツヤしたボーダーがあるのと無いのとは大違いで、特に2巻はポップなキャラの衣装と合わさった赤ボーダーが絶妙。これは、確実に手を取らないと伝わらない系の装丁。

出版:小学館
装丁:チトラーチ 安齋未来

□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■

狼の口3【第88位】狼の口 ヴォルフスムント 3巻 / 久慈光久


1巻は顔も出さぬ騎兵、2巻は重要人物ときて、3巻は再び名も無き系という感じに、圧制に苦しむ山の民側の同盟軍、その素性も知れぬ3人が描かれている。長く続く重苦しいストーリー展開が、ようやく好転していく…のか?という感じの表紙になった。立ち膝、中腰、直立と武器を構える3人が中世的なフレームに収まって、色数もぐっと抑えられていながら足りなさはまったくなく、相変わらず渋くかっこいい。

出版:エンターブレイン
装丁:林健一

□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■

岳 15【第89位】 岳 15巻 / 石塚真一



登山服でドーナツを頬張る主人公に集まる動物達。あまりにも懐かれすぎでうらやましい、ある種のファンタジーな表紙。単行本も2桁になって、山風景+主人公の構図から、昨年のどでかくタイトルを表記した12巻など、段々冒険していき面白い表紙バリーションが増えてきており、今回も自然っぽさを背景を用いず動物によって表現している。以降も楽しみ。

出版:小学館
装丁:VOLARE 関善之

□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■

ぼくラはミンナ生きテイル! 1巻【第90位】 ぼくラはミンナ生きテイル! 1巻 / Tiv




幻想的な夕暮れ(または朝焼け)の背景をバックに二人の少女。
地面が描かれていないながら、しっかりと大地の存在を感じられる安定感ある構図。
作者名の、主人公の口から出ているように見える置き方が面白い。

出版:一迅社
装丁:BALCOLONY. 染谷洋平

□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■

女の穴【第91位】 女の穴 / ふみふみこ

見た感じに「女」の短編。
黄色と赤紫色で構成された奇抜なカラーリングで大変目立つカバー。「の」の部分にキャラの頭を被せ、配置的にキャラの視線も合わせて目に入ってくる特大タイトル。「CAUTION」や「KEEP OUT」がカバーに用いられる場合、作品がミステリーかエロを扱っていることが多く、この作品の場合はもちろん後者だが、「女の穴」を隠すように載せて、そこに作者名を載せた前衛アートっぽいものはそんなにないと思う。

出版:徳間書店
装丁:ストロングスタイル

□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■

アオイホノオ 7【第92位】 アオイホノオ 7巻 / 島本和彦




暗い色合いの遠景に主人公1人またはキャラを少なめに配置した、いつも寂しい感じのフォーマット。7巻は踏切前の列車待ち風景で、目の前で列車が通り過ぎている状況を、地面に写る車内から漏れた光で再現していて、中々叙情的。間接表現ってすばらしい。

出版:小学館
装丁:ベイブリッジスタジオ 黒木香

□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■

大正ガールズ エクスプレス 1【第93位】 大正ガールズ エクスプレス 1巻 / 日下直子

凸凹コンビが、女学院の校内新聞作りを足掛りに夢を追い求める大正ロマンコメディ。
時代を駆け抜けるように進む二人の少女の振り向きざまのイラストを、色数の限定や黄色っぽい肌色の使用によってレトロな雰囲気が出るよう着色しつつも、白い背景やすっきりと整ったレイアウトなど洗練された美の要素も合わせて組み込まれており、レトロでモダンな表紙が実現されている。裏表紙のシュールなイラストは、購入するときの一つの指針になりえると思う。

出版:講談社
装丁:hive 土橋聖子

□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■

くすりのマジョラム 2【第94位】 くすりのマジョラム 2巻 / 鈴城芹

魔女っ娘(26)薬剤師4コマ。
大勢のキャラが表紙を賑わす全員集合系。斜めにキャラを配置することで、見下ろしを使わずに無理なく大人数を1枚に収めている。足場がない謎空間でありながら、大体は目に映る大きさと奥行きが比例した、同一空間にキャラを収めた構図と思われ、独特の浮遊感と一体感があり、大変楽しげ。加えて色分けされた背景を確認できる余裕ある空間使いと星のアクセントで、賑やかさとポップさのバランスもちょうどよい。

出版:芳文社
装丁:名和田耕平デザイン事務所

□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■

ミラクルチロル44キロ【第95位】 ミラクルチロル44キロ 1巻 / 伊東フミ

立ち膝をついた女子高生のカバンからあふれ出す、無数のチロルチョコ。
クリーム色や茶色など、薄く抑えられた色合いのキャラと背景により、
一目でわかるように描き込まれたチロルチョコ(メーカー公認)と
丸みを帯びたキュートなロゴの色が映える。

キャラの絵柄は線が細くすっきりとしたアニメタッチだが、
その色の合わせ方に、コミックらしさとは一味違った上品さを感じる。

出版:新書館
装丁:-

□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■

さすらいアフロ田中 4【第96位】さすらいアフロ田中 4巻 / のりつけ雅春



巨大な筆を振り回すアフロ田中。
シンプルな緑の単色背景が、舞い散る半紙や
田中のポーズを強調し、躍動感をはっきりとカバーに閉じ込めている。

半紙には、もちろん小ネタがびっしり。

出版:小学館
装丁:装丁:VOLARE 関善之 青山功

□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■

ほぼ日常【第97位】 ほぼ日常 腐女子書店員の4コマ / 木成あけび




現役書店員である著者による書店員系4コマ作品。
ぼかし入った実写背景と、
リアルなポップのイラストとパンダ(作者)イラストが
よく馴染んで、そして本当のポップのようにそれ自身を宣伝している。

出版:エンターブレイン
装丁:BRiDGE 木村慎二郎

□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■

神さまの言うとおり1【第98位】 神さまの言うとおり 1巻 / 藤村緋ニ

いつもの教室が「だるまさんがころんだ」のひと言から血みどろの戦場に変わる、謎多きサバイバルサスペンス。その表紙を飾るのが、物語に登場するダルマ。黒い背景とかすれたロゴ、そして濁った目のダルマ。見ていて不安を煽られると同時に、妙なスタイリッシュさも感じさせる。
コミックス化の第1巻なのに、あえて人物を見せず、中身を語らない“攻め”の姿勢。思わず本を手に取らせてしまう大きなインパクトもあって、今後の展開が予測不能なこの作品にはぴったりと思える。*

出版:講談社
装丁:smack

□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■

とろける鉄工所【第99位】 とろける鉄工所 6巻 / 野村宗弘



初のおっさんオンリー表紙(裏には女性キャラあり)が何だか良いなという6巻。皺だけ加えた"若い老人"感もなく、ディフォルメが上手いことを再確認したり。タイトルやスカイツリーだけでなく、メガネやカメラのレンズ、服のジッパーやリベット、変な雲などPP加工に妙なこだわりを感じられて、改めて鑑賞してみると色々面白い。

出版:講談社
装丁:NARTI;S 新上ヒロシ

□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■

侵略!イカ娘 10【第100位】 侵略!イカ娘 10巻 / 安部真弘







イカちゃんかわいい。

出版:秋田書店
装丁:須田幸子



□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■



ここまでがランキング発表。
名和田さんとか、名和田さんとか、名和田さんとか、フェローズとか
色々偏っていた気もしますが、まあ気にしない、と去年と同じコメントでも成り立つかなと思いつつ、
実はもっと色々偏りまくっていたりしますが、まあこんな感じでした。


最後に、カバー下や見返しなど別なところに注目した作品を別枠で21作品紹介していきます。



□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■

【見返し賞】 ジゼル・アラン 2巻 / 笠井スイ

ジゼル・アラン2

あの綺麗な柄の見返し(昨年の記事参考)が仕込まれている、と当然のことのように思いながら表紙をめくってみると、そこにはあの綺麗な柄ではない、別の綺麗な見返しが仕込まれていた。別におかしいことではないが、凝った見返しが仕込まれるレーベルや作品自体が少数派であるため、美しく完成された見返しを、次巻でさらっと変えてしまうその拘りは、やはりすばらしいと思える。さらにはその柄が前巻よりも好みだったりするわけで、【見返し賞】の作品が昨年と同じになってしまうな、と困ったり困らなかったりしているところ、こちらに負けず劣らず見返しにこだわる作品にめぐり合った…(【見返し大賞】に続く)

出版:エンターブレイン
装丁:note 芥陽子

□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■

【見返し大賞】 月夜のとらつぐみ / 笠井スイ

月夜のとらつぐみ

短編集。

木の葉の落ちた木の枝にトラツグミの少女が腰をかけた、幻想的な夜を収めた表紙。これをめくると、表紙とイラストの繋がった袖と雰囲気を合わせた、寂しい夜の見開きが広がっている。カバーのイメージに合った暗めの短編を挟みつつ、最後はすっきり明るく読み終われるエピソード。そしてその見開きは光挿す豊かな森が広がり、裏表紙に優しく続いていく。

幻想的に入って、暖かく終われる、出入り口の考えられたカバーと見返し。長編で見返しにこだわった作者×デザイナータッグの短編集の見返しなら、この出来上がりはある種の必然か。

出版:エンターブレイン
装丁:note 芥陽子

□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■

【カバー下賞】 ディアティア / かずまこを

ディアティア

全1巻の初々しい初恋物語。

PP加工の涙でイラストが滲んだカバー。こちらはこちらで表紙買いしたすばらしいものであったが、このカバーをはずすと色彩が白⇒青に変わる、その鮮やかな変化に目を奪われる。カバー下には一面、青空のイラストが描かれているのかと思い、裏側を確認すると…


ディアティア裏

水遊びをする二人の姿が目に飛び込んできて、表のイラストも青空そのものではなく、川の水面に青空が写ったものであったと知る。この印象の変化を狙ったイラスト配置による演出がなんとも趣き深い。

出版:白泉社
装丁:名和田耕平デザイン事務所

□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■

【横使い賞】 映画篇 1巻 / 遠藤佳世

映画篇

名作映画をモチーフに、映画をきっかけに生まれた人間ドラマを書いた小説のコミカライズ作品。

横長の景色と、上下の黒い帯。一目でこれは「映画」だと感じさせる、必然的な横使いのアイディア。

出版:小学館
装丁:SALDAS 荘司哲郎

□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■

【連結装丁賞】 サクラダリセット CAT, GHOST and
REVOLUTION SUNDAY 1・2巻 / 吉原雅彦 


サクラダリセット1サクラダリセット2

同名のライトノベルのコミカライズ作品。

繋げて面白いカバーの作品は今年もいくつかあって、その中でも気になったのがこちら。繋げて1つの大きな鳥居となる神社の階段の背景や、1作品1名で合わせた時に2名になるすっきりな連結カバーだが、その大きな特徴は赤い帯。小説版にも表紙には赤い帯がサブタイトルの表示に使われており、そのアイディアを踏襲しつつ、連結カバーとして、それを1本に繋げている。赤いラインがまっすぐ表紙を横断して繋げたときの一体感を増しつつ、それが小説版をリスペクトしたデザインとなる、工夫された連結カバーだった。

出版:角川書店
装丁:LALAHANDS 佐々木基

□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■

【アイディア賞】 百合男子 1巻 / 倉田嘘

百合男子

百合を愛する男子で百合男子、そのままの作品。

制服姿で凛々しくメガネポーズを決め、思慮深そうな主人公が手に持つ雑誌は、まさにこの作品の掲載元、『コミック百合姫』そのもの。一目でそれとわかるように鮮明に描かれたそれが、この上ないくらいに主人公の立ち位置を明確に表している。『はねつくをとめ』の羽子板や、『銭ドク』のお札など、細かく描かれたキーアイテムは目を引くのに有効なアイテムになる。アニメ等で最近よく見られるが、このアイテムが現実世界の特定商品となると、イメージが結びつきやすくなり、さらに印象深くなったりする。

出版:一迅社
装丁:BALCOLONY.

□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■

【表裏賞】 となりの関くん 1巻 / 森繁拓真

となりの関くん


ごく一般的な女生徒・横井さんが、となりの関くんの授業中の一人遊びに翻弄される作品。という作品内容が一目で伝わる表紙。裏表紙もまったく同じ構図で描かれていて、その一人遊びが表⇒裏で一つ完成する。このルールを踏まえた上で2巻がどうなるかというと、これまた…という感じで、1巻は大いなる前振りだったりもする。

出版:メデイアファクトリー
装丁:hive 久持正士,笠巻彩子

□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■

【表裏大賞】 脳内ポイズンベリー 1巻 / 水城 せとな

脳内ポイズンベリー


黒服に身を包みながら、年や性別がバラバラ5人が描かれた表紙。そしてドピンクの背景の右上には若干白い部分があるが、これは何なのだろうか…と裏表紙を見てみると、男女が向き合っていて、表紙のピンク色の部分は女性の髪(女性の頭の中)だったということが初めてわかる。

この作品は、主人公が問題に直面するたびに頭の中で脳内会議を繰り広げて、その会議を行う住人まで面白おかしく描いたラブ?コメであり、「脳内」と「現実」という作品の持つ2つの側面を、カバーの表と裏を使って上手に表してる。

出版:集英社
装丁:川谷康久

□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■

【カバートラップ賞】 罪と罰 1巻 / 漫F画太郎

罪と罰


表記が★ではなくFになっているものの、歴とした漫★画太郎作品。イラストレーターとして活躍するenomoto氏をによる美麗なキャライラストと、文学的香りと退廃感の漂う本の佇まい。雰囲気で勘違いしてしまった読者をあざ笑うかのごとく、P.52でババアの裸、P.80で階段、P.90で暴走トラック、そしてP.96でアシスタント風コピペキャラ(女バージョン)が登場する。まさに外道。

出版:新潮社
装丁:竹内亮輔

□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■

【コレジャナイ賞】ひきょたん!! 3巻 / 久遠まこと



同じ角川書店だからセーフと言わんばかりに、1巻『涼宮ハルヒの憂鬱』、2巻で『バカとテストと召喚獣』と表紙が一目瞭然緒のパロディとなっている本作品。そしてラスト3巻は、解説不要なくらいにわかりやすい『エヴァ』。『エヴァ』のコミック版は、本作品のデザイナーが同じく装丁を担当している作品であることからも本気度が伺える。

イラストがそれっぽくがんばっているが、さらにがんばっているのがタイトル。"新世紀エヴァンゲリン"と"ひきょたん!!"。"新世紀"の部分を作者名で補うにしても、文字数も足りないし字面も全然違うこの二つ。それっぽく見せようと思えば何とかなるもんだ、というかよくぞ何とかしてみせた。

出版:角川書店
装丁:BE-ENTO 鹿住忠広

□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■

【わけがわからないよ賞】 旅マユ(犬マユゲでいこう) / 石塚2祐子

旅マユ

どこへ行くのかゲームエッセイコミック。旅行雑誌のデザインをコミックの表紙に落とし込んだ『わびれもの』と同系統といえばそうかもしれないが、あちらはパロディでこちらは擬態。帯を外したら、ゲーム要素もマンガ要素も見当たらない。作者や関係者の写真まで掲載してそれっぽく見せた表紙に、一応リアルに福岡を紹介したページ、裏表紙には食べログで検索したら普通に出てくるリアル店舗。

もう一度言うと、これはゲームエッセイコミック。

出版:集英社
装丁:ビーワークス 近藤雅己

□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■

【メディアミックス賞】 魔法少女まどか☆マギカシリーズ

魔法少女まどか☆マギカ アンソロジーコミック (1) (まんがタイムKRコミックス フォワードシリーズ) 魔法少女かずみ☆マギカ ~The innocent malice~ (2) (まんがタイムKRコミックス フォワードシリーズ)

魔法少女おりこ☆マギカ (1) (まんがタイムKRコミックス フォワードシリーズ) 魔法少女おりこ☆マギカ (2) (まんがタイムKRコミックス フォワードシリーズ) 魔法少女かずみ☆マギカ ~The innocent malice~ (1) (まんがタイムKRコミックス フォワードシリーズ)

魔法少女まどか☆マギカ (1) (まんがタイムKRコミックス フォワードシリーズ)魔法少女まどか☆マギカ (2) (まんがタイムKRコミックス フォワードシリーズ)魔法少女まどか☆マギカ (3) (まんがタイムKRコミックス フォワードシリーズ)


『ひだまりスケッチ』作者の蒼樹うめ先生がデザインした見るからにほのぼのしそうなキャラクターと、血にまみれたストーリーとのギャップで大変話題になったアニメ作品『魔法少女まどか☆マギカ』。そのメディアミックス作品群。

1社主導で多面展開して、原作のコミカライズからスピンオフ、アンソロジーまできちんと、ロゴデザインや背表紙など装丁に統一感があるのは当たり前のようなことだけど、そういうところがしっかりしている作品はやっぱり強い。

出版:芳文社
装丁:Balcolony.

□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■

【帯賞】 ぱら★いぞ 1巻 / 道満晴明

ぱら★いぞ


とめどなく下ネタが溢れる4コマ作品。メインキャラをディフォルメで配置し、アミダ、その先には…。「ヘンタイ」もオシャレにデザインすることで「ヘン★タイ」に昇華されて何これおしゃれ?ファッション?感すら漂う、かもしれない、そんな素敵な装丁。そこに配置された帯はアミダを隠すように、利にかなってかっこ良いデザインも採用できそうなものの、そこに書かれたのは「このマン○がすごい!」。"この○○がすごい!"の汎用性は高く、しばし帯のキャッチでも見かけたり、この記事のタイトルもその使いやすさを生かした一例であるけれども、この活用はヒドイ(いい意味で、そして性的な意味で)。帯を外したら外したで、ポップに偽装しつつもこれまたヒドイ(いい意味(略)で)。

目の覚めるキャッチの入った帯や、大きくインパクトのある帯、イラストが変わるサービス満点な帯など素晴らしい帯はたくさんあれど、ここまで触れておきたいヒドイ(略)帯はダントツでこれだった。

ちなみに『このマンガがすごい!2011』には、「手に取らずにはいられないこの装丁がすごい!」という、本家で装丁特集を組んだら、そりゃタイトルがそうなるのはまあ必然だよなという記事が入っていて、『罪と罰』や『百合男子』でネタが被るのはまあ普通にありえると思いつつ、まさかこの作品までネタ被りして、突っ込むポイントが帯というところまで重なるとは…と少し驚いたりした。

出版:ワニマガジン社
装丁:里見英樹

□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■

【特殊装丁賞】 少年少女 / ねむようこ

少年少女


短編集。

その表紙は、金魚が登場する表題作の情景がモチーフになっている。カバー下には少年と少女、そしてカバーはトレーシングパーパーになっていて、透き通る水色部分と、金魚や蓮の葉のイラストによって、水面に写る少年少女を表現している。カバーを外さないと少年の顔が見えないアイディアが大胆。

なお、カバーを外してもそれ自体で成り立と思えるほどカバー下もしっかり組まれており、むしろカバーをつけているときのレトロな雰囲気が、カバーを外すとガラッと今風になってしまうところが面白い。

出版:小学館
装丁:ベイブリッジスタジオ 黒木香

□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■

【特殊装丁賞】 なにかもちがってますか 1巻 / 鬼頭莫宏

なにかもちがってますか


鬱ルートが普通に手ぐすねを引く、超能力系日常SF。

一見普通に主人公の顔にタイトルの枠をちょっと被せた表紙。しかし手にとって見ると、カバーには穴が開いて、カバー下に印刷されたタイトルが見えているということがわかる。主人公の空間をえぐる系統の能力(『七夕の国』とか、今だと『デストロイアンドレボリューション』みたいなやつ)を穴を開けて表現したかのようなデザイン。この穴のあるなしで、表紙の味は全然別物になる。

出版:講談社
装丁:Garowa Graphico

□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■

【特殊装丁大賞】 草子ブックガイド 1巻 / 玉川重機

草子ブックガイド


とある少女が本を通じ、人と出会い、その世界を広げていく読書案内記。

表紙のイラストは、沢山の本を枠のように配置して、その中央に主人公を寝そべらせた構図になっている。本や人物の部分がほんのりと虹のように色づき上品で、トレーシングペーパーの透き通りを利用したものだとわかるが、カバーを外すと、予想以上にカバー下が色鮮やかで驚く。カバー下には人物と本の部分に綺麗に重なるように思いっきり濃く鮮やなカラーを配置しながら、あえて表紙のトレーシングペーパーな厚めにして、薄く色づいた上品な状態を完成系としている。

この、カバーを外したときに視覚的な驚きを与える仕掛けは、作品の世界観にも合っていて、作品を読み終わった後で確認すると一際美しいものに見える。裏表紙にも同じく、カバー下から本の部分だけ色を透かしている。

出版:講談社
装丁:hive 土橋聖子

□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■

【ストーリー賞】 GUNSLINGER GIRL 13巻 / 相田裕

GUNSLINGER GIRL 13 (電撃コミックス)GUNSLINGER GIRL 1


いつか確実に訪れる悲劇を意識しつつ、それでも幸せを願いたい、そういう作品。ギリギリのバランスで成り立った「少女の殺し屋」達の日常が少しずつ修復不可能な傷を負っていき、そういう暗さにカバーが引っ張られつつ、ついに来てしまうのだろうか…という13巻。13巻、14巻と気合が入った表紙が逆にやばい。

出版:アスキー・メディアワークス
装丁:BEE-PEE 永田敏之

□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■

【ストーリー賞】 友達100人できるかな 5巻 / とよ田みのる

友達100人できるかな 5友達100人できるかな 1


友達100人できなかったら即地球滅亡、友達作りSF物語。

その巻で友達になるキャラを中心に配置して、鮮やかな色彩でキラキラと表紙を賑わせていたこれまでの表紙。そして最後の5巻は手を繋ぐ二人と白。読み終えて表紙を見返したら、他の巻と同じくらいにキラキラ、それ以上にまぶしい光の白色に見えた。読んだら伝わると思う。

出版:講談社
装丁:hive 土橋聖子

□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■

【ストーリー大賞】 宇宙兄弟 14巻 / 小山宙哉

宇宙兄弟(14) (モーニングKC) 宇宙兄弟(1) (モーニングKC)


宇宙飛行になった弟の背中を追いかけて、兄が再び夢を追いかける兄弟宇宙マンガ。

1巻で横に並んだ兄弟。このときはまだサラリーマンだった兄(1巻左)もいよいよ弟に近づき、同じ舞台に立てるまでもう少し、という14巻の表紙。13巻ぶりに共に並んだその姿は、同じく揃ったようで、まだまだ違う。現状をコミカルに表した構図にくすりとしつつ、同じ格好で並ぶ二人の勇姿も待つ、そんな14巻。

出版:講談社
装丁:セキネシンイチ制作室

□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■

【特別賞】 あの日からのマンガ / しりあがり寿

あの日からのマンガ

あの日「3月11日」からわずか3日後の3月14日から朝日新聞に載せられた4コマ『地球防災家のヒトビト』や、震災に関する強いメッセージを込めた作品が収録された作品集。表紙や画像右の袖のかかった見返し部分など、裏表紙まですべてのページに作品や何らかの書き物(記事や風刺画)が入っており、その全てに3月11日から始まった日時が印刷されている。

出版:エンターブレイン
装丁:cozfish 祖父江慎

□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■

【長期連載大賞】 ONE PIECE 61巻 / 尾田栄一郎

OP61.jpgOP1.jpg



少年単行本60巻越えの積み重ね。
ジャンプで常にトップを走る14年間の歴史。
仲間を増やして、苦楽を共に進んだ、その長い旅の道のり。

再び始まりの構図で描かれる、手に入れたものと変わらないもの。
その志は1巻から61巻、そしてその向こうへ、まっすぐ前を向いている。

出版:集英社
装丁:-

□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■

*ウルトラジャンプで掲載されたコラムを転載、または加工して掲載しています



ということでお送りしました、
良いコミックお気に入り装丁紹介企画「この装丁がすごい!~漫画装丁大賞~2011」


生まれては消えて、そしてま生まれて…時代の流れは過酷でも、
がんばる作家さんがいて、支えるデザイナーさんがいて、
そうやって出来上がった本ははやっぱり素晴らしいことを確認できた2011年。
見て触って読みたいコミックが沢山出るに決まってる、来年また逢いましょう。


【⇒2011年コミック装丁あれこれ 別角度で補足した2011年コミック装丁のお話】






【関連記事】
●この装丁がすごい!~漫画装丁大賞~2011 ベスト200/300
この装丁がすごい!~漫画装丁大賞~2010
この表紙がすごい!2009
コミックス装丁 デザイナーINDEX
関連記事


スポンサードリンク HR.jpg HR.jpg

2011年12月30日 | この装丁がすごい! | コメント 4件 | トラックバック 0件 | TOP

コメント

はじめまして

いつも次に買う漫画の参考にしつつ楽しく拝見させていただいております。

朝霧の巫女は三巻から宇河弘樹さんご本人がデザインされています。
一、二巻も増版分は三巻以降のデザインに合わせてデザインが変わってます。

2011年12月30日 / ちくわ #-URL【編集

16位、本の題名が間違ってますよ

2011年12月31日 / きりー #-URL【編集

とても参考になりました!
「乱と灰色の世界」というマンガもなかなかだと思います。

2012年01月11日 / せりな #4aVvrrisURL【編集

楽しい

最近本屋に行かずネットで買っちゃうので、知らない作家さんや1巻とか、よっぽど話題にならないと見ないまま棚に埋もれちゃって出会わないまま・・。こうやってあらためて見ると手にとって読んでみたいと思いますねー。ウインドゥショッピングみたいで楽しいですね。

2012年05月29日 / かねごん #-URL【編集

コメントの投稿



管理者にだけ見せる

トラックバック


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)