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【装丁】コズフィッシュ,とその周辺

このエントリーをはてなブックマークに追加 カテゴリ:デザイナー  »2010年04月11日 更新

デザイナーINDEX

■コズフィッシュ(cozfish)

●メンバー:祖父江慎(代表),吉岡秀典,佐藤亜沙美,福島よし恵,大津千秋,阿部聡
      柳谷志有(⇒nist),芥陽子(⇒note),木庭貴信⇒OCTAVE),佐々木暁(⇒HEADZ)
●仕事先 :角川書店,小学館,祥伝社,双葉社etc…
●レーベル:IKKI,FEEL,ACTION,etc…
●主な装丁:しりあがり寿作品,吉田戦車作品,喜国雅彦作品
●リンク :祖父江慎Wikipedia祖父江慎twitter
●記事作成:2010/04/12


◆祖父江慎

祖父江慎

 年間数十本の仕事を同時進行させる超多忙なデザイン事務所コズフィッシュ、その代表・祖父江慎氏。意図的な乱丁、斜めの裁断などブックデザインの既成概念にとらわれない発想で時に賛否両論を巻き起こしながら、3次元的ユーモア溢れる大胆な本を生み出し続ける天才肌の装丁家です。幅広いジャンルの本のデザインに携わっていますが、大学の漫画研究会繋がりでしりあがり寿作品や喜国雅彦作品の装丁を手がけるなど、コミックス分野にも強い関わりを持っています。

 『月刊IKKI』の雑誌名考案やデザインもこちらのお仕事。上図右端、佐々木倫子『月館の殺人』のように、IKKIコミックスについても祖父江氏、そしてコズフィッシュのデザイナーがその装丁を多数担当しています。


祖父江氏の特性が色濃く反映されているGOGOモンスター(上図左上)は、松本大洋の全編描き下ろし作品で、行本はBOX仕様になっています。表紙左下には「-8」というページ表記。箱から本を取り出した瞬間、物語は始まります。


GOGOモンスター

表紙裏にも、-7ページ、-6ページと漫画を配置。-1ページまで続く洒落たプロローグです。

[参考]:本の装丁のことなんかを祖父江さんに訊く。/ほぼ日刊イトイ新聞
   :ヘンなことばっかりやってます!祖父江慎+cozfish展 /ほぼ日刊イトイ新聞
   :GA info.:creator's file :祖父江慎


◆吉岡秀典

吉岡秀典

祖父江氏とのタッグで楳図かずおの『UMEZZ PERFECTION!』シリーズ装丁を手掛けているのが吉岡秀典氏。これらのシリーズには、単なる復刊に留まらせまいというコズフィッシュの拘り魂が溢れんばかりに注ぎ込まれています。作品ごとに、装丁に異なるテーマを設けているようで、デザインタイプはPERFECTIONシリーズ内でも作品によって様々、極端に違います。ちなみに漂流教室(上図の下段真ん中2冊)の造本テーマは「バイブル・・・分断された絆」だそうです。

[参考]:UMEZZ PERFECTION!/イキパラ
  

◆佐藤亜沙美

佐藤亜沙美

 小説や文芸書のデザインを祖父江氏とのタッグで多数手がけられているようです。コミックでは、いくえみ綾『いとしのニーナ』と江口寿史『キャラ者(新装版)』でそのお名前を確認しました。
 『いとしのニーナ』は、一見すると普通のバストアップですが、その視点・構図が妙に凝っています。『キャラ者』新装版は、イラストの印刷されたビニールをまとった、おしゃれで豪華な装丁。とったりつけたりしてその変化を眺めるだけで軽くニヤニヤできます。

[参考]:1年生デザイナーの1週間/MdN Design Interactive
     ―佐藤亜沙美氏の特集記事

◆阿部聡

阿部聡

 講談社ミステリーランドの装丁を手がけられていたデザイナーですが、お亡くなりになられています。赤ちゃんの写真が印象的なパッケージの、『俺の屍を越えてゆけ』にも携わっておられました。コミックスの装丁は少ないものの、その印象は白。吉野朔美『period』は、白背景+キャラのバストアップに白シャツを着せる、徹底的な白っぷり。そこにそえられた有色のローマ数字による巻数表示。シンプルで落ち着いたデザインの中に確かなインパクトが同居しています。

以下に取り上げるしりあがり寿『ア○ス』もやっぱり白。

ア○ス1

狂った中身に相応しい、文字通り穴の開いたブックカバー。
タイトルの○の部分も開いた穴で表されています。

ア○ス裏

深紅に染められたカバーの裏側。この作品には、見えるところ隅々に怪しいこだわりが潜んでいます。

[参考]:阿部聡さんの仕事
    ―阿部氏のデザインの軌跡がまとめられたリーフレット


■nist

●メンバー:柳谷志有
●仕事先 :小学館,角川書店,etc…
●主な装丁:ケロロ軍曹,ディエンビエンフー
●リンク :twitter

柳谷志有

 コズフィッシュでの経験を経て独立したデザイナー、1人目の紹介は柳谷志有氏。そのお仕事を適当に並べてみたら、モノクロームな感じになりました。西島大介『ディエンビエンフー』については、角川版のときからその装丁を担当。IKKI版の途中でクレジットをコズフィッシュからnistに変えながら、現在も装丁を続けています。

 また、柳谷氏の装丁作品で一般認知度が高そうな作品と言えば『ケロロ軍曹』。こちらも途中でクレジットをnistに変えながら装丁を継続中。ちなみに『ケロロ軍曹』は、18巻から連載10周年を区切りにしてカバーデザインをリニューアル。表紙のキャラクターがCGから吉崎描き下ろしのイラストに交代されました。よりアニメっぽく、幅広いターゲットへの訴求効果を狙った格好になっております。既刊の1~17巻についても新装版を刊行。

ケロロ軍曹


新たに描き起こされたキャライラストは、既刊のCGと同じ構図。背景のベースも白メインのさっぱりしたものに変更されましたが、キャラの背後のスポット的な背景に、旧版の時の色選びが引き継がれています。


■note

●メンバー:芥陽子
●仕事先 :祥伝社,etc…
●主な装丁:FEELコミックス
●リンク :twitter

芥陽子



 コズフィッシュでの経験を経て独立したデザイナー、2人目の紹介は芥陽子氏。コズフィッシュ時代からnoteを立ち上げた現在に至るまで、多数のFEELコミックスデザインを担当しているようです。手掛けられたいくつかのFEELコミックスの表紙には、女性のバストアップや全身画をドーンと載せるという共通項が…と一括りにしてみましたが、そのある種のシンプルなアイディアのデザインには、それぞれの作者の個性が色濃く反映されていて、どれも印象深いものとなっています。こいずみまり『ガーデンオブエデン』(上の図左下)なんかはハッタリ?効かせすぎです。

 図に挙げた作品の他にも、女性らしい細やかさの効いた美しい装丁が多い中、松田洋子『まほおつかいミミッチ』は明らかに面白系。

まほおつかいミミッチ表Y

てんとう虫コミックを真似たパロディ表紙。それにしても何か薄汚れてる、と思ったら…

まほおつかいみみっち裏Y

広告の裏紙なので、裏移りしていて汚かったのでした。このカバー裏のお遊びが、また無駄に凝っています。


まほおつかいミミッチY

さらにカバー下も薄汚れたわら半紙風。リアルな鉛筆よごれに、最初びっくりしました。
ちなみにしりあがり寿『真ヒゲのOL藪内笹子』にも、芥氏による同様のお遊びが仕込まれていたりします。


■OCTAVE

●メンバー:木庭貴信,松川祐子
●仕事先 :イーストプレス,講談社,太田出版,双葉社,etc…
●主な装丁:横山祐一作品
●リンク :木庭貴信twitter

木庭貴信


 コズフィッシュでの経験を経て独立したデザイナー3人目の紹介、木庭貴信氏。本や雑誌、映画パンフレットなど幅広く活動されている方のようで、現在オクターブとして松川祐子氏とのタッグでそのお仕事を確認しております。サブカルチャー系雑誌『QuickJapan』のデザインを手がけているように、関わっている作品にはサブカル色が強い印象で、これは氏が担当している漫画作品にも当てはまります。横山祐一+イーストプレスの3作品などはその最たる感じ。
 木庭氏の装丁で印象深かったのが衿沢世衣子『シンプルノットローファー』(こちらも松川氏との連名)。

シンプルノットローファー1

カバーを広げてみると、作中のヒロインたちが勢ぞろいします。ここで注目したいのが背表紙。背表紙にキャラを配置するのは一般的ですが、だいたい背表紙の狭いスペースに収めるために、キャラ絵は縮小されます。しかしこのカバーでは背表紙のキャラの縮尺は表紙のキャラと一緒、そして構図も一緒。カバー全体として1枚絵になりつつ、背表紙としてみて見ると背表紙にしか見えない、地味に面白い作り込みです。
 ちなみに出版社を変えて登場した衿沢氏の新作『ちづかマップ』についてもこちらでデザインを担当。しかもコミックのクレジットとしては珍しく、その名前が本編開始前に単独で掲載されており、ブックデザインへの強いリスペクトを感じました。

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