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【装丁】名和田耕平デザイン事務所

このエントリーをはてなブックマークに追加 カテゴリ:デザイナー  »2010年07月13日 更新

デザイナーINDEX

■名和田耕平デザイン事務所

●メンバー:名和田耕平/代表(5名)
●仕事先 :白泉社、講談社、双葉社、祥伝社、一迅社、スクエニ、宙出版、ソフトバンク
●主な装丁:こうの史代作品、シギサワカヤ作品
●リンク :公式サイトブログ過去の求人情報
●記事作成:2010/02/03 リニューアル:2010/07/13 追加:2011/04/16

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2009年に表紙の気になった「星が原あおまんじゅうの森」「中央モノローグ線」、2009年のマイベスト「この世界の片隅に」、2008年のマイベスト「まつのべっ!」、装丁が良くなったため改めて買った「愛人・特別愛蔵版」等、コミックの装丁元を調べた始めたときに思い入れが深い数々の作品が行き着いたのが名和田耕平デザイン事務所。青年誌系、4コマ系、BL系のコミック装丁にマンガ雑誌デザインと、コミック関係のお仕事に特化しています。

サイトを見てみると女性向け漫画、4コマ漫画の実績が多いですが、青年誌系についてもアフタヌーンやアクションなどあらゆる出版社、レベールに顔を出して幅広く手がけていて、思わぬところで名前を目にすることも。ネットで「気がつけば名和田デザイン作品が手元に集まっていた」などという意見を見かけるこちらのデザインですが、クレジットを確認したときの「ああやっぱり」、そういう感覚がどこからくるか少しでも迫れるよう、いくつかのタイプにわけでデザインを紹介してみます。

まず上に集めてみたのが大バストアップ系。腰から上のバストアップ絵から、頭が画面がらはみ出すぐらいのキャラズーム絵が、文字を挿入する背景も無いぐらいに面積を占めるものを、表紙としたものを多数確認しています。このタイプのデザインでは下3列目真ん中、『アキバシュート』のように、ロゴが映像作品のタイトル画面で使われるようながっちりとしたものになっていることは少なく、左上『モテキ』や右下『罪と罰』のように細めのロゴが多く採用されている印象がります。この細めで大きなロゴが、キャラに大胆にかぶせている表紙があれば、名和田デザインである確率が高いかもしれません。


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こちらに集めたのは、キャラを全身がちょうど収まる程度、またはそれに近い大きさで配置し、ロゴをキャラの体を横断するように載せたタイプのデザイン。ロゴをかっちり水平に、というルールはなく、むしろキャラのポージングに合わせて角度を調節し、上手く調和を取ると同時に表紙に良いアクセントを生んでいます。また、異なる巻でロゴの構成すら調節しているという例が図右の『となりの怪物くん』2冊、そして『好きっていいなよ』2冊。これらの作品ではロゴの構成が完全に固定しておらず、キャラの配置に応じてその都度文字同士の位置関係や角度を調節。白背景+キャラの全身絵というフォーマットで単行本全体の統一感を出しつつ、こういった細やかな調節が1冊1冊に個性を与えております。


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白装丁+ロゴによる隙間埋めタイプ。若干偏って開けられた無地空間を埋めるようなロゴ配置多し。また、白装丁の多いよつばスタジオのものと比べると、比較的女性向けな作品が多い、ロゴに角度がつけられている、作品が「あずまんが」ぽくない、そういう感じで区別できる、ような気もします。


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単色 or 簡易背景+ロゴによる隙間埋めタイプ。縦左右配置が集まりました。


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ロゴの広範囲配置系。シンプルな背景に、時に大胆にキャラにかぶせながらロゴを広く大きく載せるこのタイプ。タイトルがまず始めに作品の雰囲気を大きく語ります。


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極小文字配置系。ロゴというより情報と言ったほうが正しいくらい簡潔で小さい文字により、タイトルや作者名がイラストに添えられるこのタイプ。文字が小さいと寂しかったり漫画っぽくなくなったりするかというとそんなことはなく、しっとりと品がある仕上がりになります。個人的に、こちらのデザイン事務所の色が最も出ていると感じるのがこれらのタイプ。そしてこれらのシンプルな特徴は背表紙にも反映されるため、名和田デザインの中で、最も認識が容易な種のデザインだと思っています。


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描き込み背景系。景色の中にいるキャラというより、キャラのいる景色、そんな風に感じるこのタイプ。キャラの配置の仕方は背景ありきでデザインされているためで単色背景のものとは違ってくるのものの、文字の入れ方には他のタイプのものと特徴が共通しているものも多く(極小やシンプル系)、おなじみの匂いを感じられたりすることも。


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単一色調系。全部赤にしたり全部青にしたりと、単色背景の色をキャラの塗りにまで合わせたこのタイプ。キャラ絵はアップ率高し。これに白または黒の非ロゴチックなタイトルがちりばめられている場合は高確率でこちら。極小文字配置系と同じくらい判別しやすいタイプになっています。さらに厳密に分けるとこれらのタイプは塗りで2パターンに分けられる気もしますが、そこは割愛。


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枠(看板)を作り、そこにタイトルを入れる系統。単純に、枠があるスッキリとしたデザインというだけで名和田デザインである可能性は高いですが、ここでは表紙の右側に注目。表紙の枠が背表紙に掛かっていて背表紙内でも枠の中にタイトルが入っている構成や、表紙の枠と同じものが背表紙に構成され、その枠がちょこっと表紙側にはみ出していたら、名和田デザインである可能性がさらに高まります。


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ちりばめ系。白色やクリーム色といった無地の背景に、キャラや物を隙間を開けて配置していくタイプです。ディフォルメキャラ系や、エッセイ系の作品にも相性が良い様子。カバーの端では、あえてキャラを見切れさせたりする傾向が見られます。


という感じにまとめてみた名和田装丁。
いくつか個別作品をピックアップしてみます。
まずは大庭賢哉『トモネン』。
事務所公式サイトの装丁紹介で最初に位置づけられている作品です。

トモネン

トトロあたりの初期・宮崎駿の雰囲気を感じさせるこの短編、
その装丁は児童書や絵本のようなやわらかさを持った窓装丁。
カバーをかけたときの、スポット的なキャラの着色が目を引く構成、
そして外してみろといわんばかりのカバーの下には、
作者のカラーを堪能できるロゴのない1枚絵。
デザインも中身もほっこりとした作品に仕上がっております。


次に紹介するのは、こうの史代氏のいくつかある名和田デザイン作品の中の一つ、
『街角花だより』。上のデザイン分類に当てはめると「極小文字配置系」になりますが、
注目のポイントはその背景。

街角花だより

白い背景には薄っすらと花の模様が浮かび上がっていますが、
カバーを外してみるとその意味がわかります。
この作品は街の花屋を舞台に描かれており、カバーの裏側はその花屋の包み紙になっている、
という仕掛けなのでした。
カバーの紙は薄く、裏にはっきり印刷された花柄は表では絶妙な色合いでやわらかく浮かび、
表紙は控えめに飾られています。

そして同系統の工夫が施されているのが、天堂キリン『恋愛アナグラム』。

恋愛アナグラム

こちらではカバー裏に青空が仕込まれているため、
表紙は薄っすらと青に包み込まれています。
本が青空そのものをを内包しているようなこの仕掛け、
見た目以上に味わい深い何かがあります。
ちなみに、『街角花だより』もこちらも、
仕掛けの都合上カバー下が真っ白という点も共通しております。


お次は小坂俊史『中央モノローグ線』。

中央モノローグ線1

8人の女性達がそれぞれの中央線暮らしをモノローグで語るこの漫画、
そのカバーの色使いはクリーム色の紙に
オレンジと焦げ茶を印刷した3色仕様となっております。
表紙手前、主人公の女性だけが優遇されて、
そのスカートがトーン的な色使いで別色みたいになっているのが乙なポイント。
この主人公と合わせて、表紙の裏表には6人の登場人物が紛れています。
物語を語る人物は計8人いたはずですが、残り2人は…。

中央モノローグ線2

袖に一人いました。
ちなみに表紙をめくると小坂氏のカラーイラストが目に飛び込んできますが、
表紙とのギャップでやけに鮮やかな色使いに感じます。

中央モノローグ線3

本編の前には目次、ではなく主人公達と、主人公達が住む沿線の紹介。

中央モノローグ線4

奥付には、堂々と「名和田耕平デザイン事務所」のクレジット。
そして袖にはもう一人、これで8人。
変わった色構成が目を引く独特のカバーデザインですが、
例えば背表紙だけ見てみるとこちらのデザインそのものといった印象。
背表紙だけで判断した方がわかりやすい場合もあったりします。


ラストは、作品の装丁と、それに関する素材のお話。

空

田中ユタカ『愛人(アイレン)特別愛蔵版』上下巻、そして戸田誠二『ストーリー』。どちらも空の写真を背景に取り込んだ美しい装丁であることは共通していますが、もう1つこれらの作品には共通項が存在します。これらの作品には背景写真の提供元がクレジットされていますが、どちらもその提供元がamanaimages(ストックフォト・写真素材のサイト)になっているのでした。なので、クレジット情報からサイト内を探してみると、元の写真が見つかったりします。

●愛人(上)⇒空と雲と飛行機
●愛人(下)⇒夕焼け空と雲
●ストーリー⇒上野のビルと青空 台東区 東京都

元の写真と出来上がった装丁を見比べてみると、どういう風に味付けされたか垣間見ることができてちょっと興味深いかもしれません。

とまあ色々紹介してきた名和田デザイン。今回分けた分類以外でも細くて特徴のあるロゴで共通していたり、1文字2文字色を変えて浮かせるパターンがあったりと、細かい見分け方は沢山あると思いますので、そういうところを見つけて判別率を上げてみるのも面白いかもしれません。


以上、名和田耕平デザイン事務所でした。

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2010年07月13日 | デザイナー | コメント 3件 | トラックバック 0件 | TOP

コメント

ありがとうございます

「海獣の子供」の装幀者さんを検索していて、このページにたどりつきました。名和田さんデザインのコミックは多いなとは思っていましたが、こんなにあったとは!と驚きました。見やすくまとめてあっておもしろかったです。ありがとうございました。

2010年08月18日 / utabon #-URL【編集

>utabonさん

記事を楽しんでいただけたようで、
こちらこそありがとうございます。
まとめてみると、本当にその数は多く、
かつ着実に仕事先を広げてるな~と感じました。

2010年08月19日 / KT. #-URL【編集

ありがとうございます

漫画の表紙デザインについて調べていました。シンプルにまとめてあり、とても見やすかったです。
そして、自分の好きだと思っていたデザインの漫画が多いことに驚きました。名和田デザインさんは少人数でたくさん手掛けているのに1つ1つのレイアウトが素敵ですね。

2012年03月17日 / mizu #-URL【編集

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