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◎回螺 | 安倍 吉俊

このエントリーをはてなブックマークに追加 カテゴリ:コミック感想  »2009年04月25日 更新


「serial experiments lain」や「灰羽連盟」のキャラクターデザインを手がけている
イラストレーター安倍吉俊が送る、『記憶と意識』をテーマにしたダークなSF作品。

本作は「古街」「樹葬」「廃域」「白雨」の4つの物語で構成され、
内「白雨」意外の3作はオールカラー。
描き込まれた絵にはイラストレーターとしての実力が遺憾なく発揮されており、
一コマ一コマが美しいイラストのような雰囲気を持っていると同時に、
その美しいイラストが暗い物語を綴る漫画の道具としても上手く機能しています。

ギャグの中に少し鬱成分の入った前作「ニアアンダーセブン」とは打って変わって、
本作品にはギャグもなく、ただひたすらに重く陰鬱。
帯には「暗黒漫画四部作」と銘打たれており、自分で「暗黒」と言ってしまって
たいしたことなかったら恥ずかしい等と無用な心配をしていましたが、
連休明けの月曜日を1000年繰り返させられてもお釣りがでるほど確かに暗黒でした。


「樹葬」は月刊エースネクストの休刊の巻き添えを食らって連載の止まってしまった作品で、
滅び行く世界を逃げるように旅する少女の物語。
そのプロローグとなる「古街」と合わせて40ページ。
「白雨」は42ページの短編で、殺しあう2人の少女の物語。
そんなわけで136ページの長編「廃域」がこの本のメインとなっています。

「廃域」は怪物の徘徊する謎の閉鎖空間を彷徨う4人+2人の物語。
謎が謎を呼ぶ展開あり、迫力の戦闘シーンあり、衝撃の結末ありと、陰鬱で抑圧されたような
雰囲気が続くながらエピソードが一番上手くまとまっており、最も読み応えがあります。


この本で特にすばらしいと思うのがその世界観。
後書きにて本作の世界の成り立ちについてある程度ネタばらしがされていて、
その内容が暗黒な世界に深みと広がりを与える大変興味深いものとなっており、
漫画本編と補完しあって、未完の物語を抱えながらも
それは本1冊で1つの世界を作り上げているかのようです。

2625円というこの本の値段は、その世界1個の値段。
高いか安いかはあなた次第、とまとめてみます。

▼作者による回螺プロモムービー▼


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2009年04月25日 | コミック感想 | コメント 0件 | トラックバック 0件 | TOP

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