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徹底比較!海外進出漫画の表紙デザイン アメリカ/ヨーロッパ編

このエントリーをはてなブックマークに追加 カテゴリ:特集  »2014年03月23日 更新

【はじめに】
 映画に小説・ドラマと私たちは日本の作品だけでなく、海外から生まれた作品も一緒に楽しんでいる、というのは改めて言う機会がないほど当たり前すぎるお話ですが、逆もまたしかりで、日本から生まれた作品もまた海外に届けられ、楽しまれています。とりわけ、漫画やアニメが海外に進出して大きな市場を開拓しているということも、クールジャパンというちょっと怪しいワードと共によく知られていることと思います、多分。なぜ唐突にそんなことを言い始めたかというと、先日デザインの大きく変わった日本発の翻訳漫画を見て、興味を持ったからなんですね。海外に作品が出るということは、そこに翻訳が入って、デザインもその国に合わせられる。日本の漫画の単行本が海外に出たら、そのデザインはどう変わるのか、もしくは変わらないのか、調べてみたら面白そうではないでしょうか。

そんなわけで、今回はAMAZON先生を使って翻訳版の出ている漫画を探し出し、デザインの変化の観点から分類を行ってみました。対象は探しやすい英語版とヨーロッパ版。以下、45の作品の表紙について、
日本版と海外版の比較をお楽しみください。

【目次】


変化の小さい表紙


JP.pngドラゴンボール [完全版]【JPN】
Dragon Ball [3-in-1 Edition]【USA】
Dragon Ball [Perfect]【ESP】


ドラゴンボール 完全版 (1)   ジャンプコミックスDragon Ball (3-in-1 Edition), Vol. 1: Includes vols. 1, 2 & 3Dragon Ball 1

 まずは、元の表紙と海外版の表紙のデザインがあまり変わっていない作品を見ていきます。最初なので、最も分かりやすい作品ということで並べてみたのが、全世界で3億5000万部以上の発行部数を誇る鳥山明『ドラゴンボール』、その完全版。タイトルに英語・ローマ字が使われている場合、英語圏やヨーロッパの翻訳版でもそのまま使われることが多く、イラスト部分が変わらなければ印象はさほど変わりません。日本の漫画にはカバーが付けられるのに対し、海外の漫画は、そのほとんどがペーパーバックと呼ばれるカバーのない形態で販売されているため、手に取ると違いが分かりやすいと思われますが、表紙だけ見るとこのように印象が大きく違わないものがあります。

 違う部分は、ローマ字表記になった作者名や巻数の配置が分かりやすいところですが、他にも、中央の英語版はイラストを小さくしていますが、これは元のデザインでイラストの重なっていたタイトルをよりはっきり見せているものと考えられます。

ドラゴンボール 完全版 (1)   ジャンプコミックスDragon Ball (3-in-1 Edition), Vol. 1: Includes vols. 1, 2 & 3



JP.pngSunny【JPN】
Sunny【USA】[H]


Sunny 第1集 (IKKI COMIX)Sunny, Vol. 1

 松本大洋『Sunny』。大きく描いた顔と滑らかに繋がったタイトル、丸の中に入った巻数。元のデザインと比較して英語版のタイトルは若干下にずらしているものの、細かい要素の位置まで元にあった場所の近くに配置して、雰囲気を可能な限り近づけています。タイトルの下に作者名を置くことも踏襲していますが、ローマ字表記となった作者名の「O」の文字が中身の詰まった「●」のような形になっていて、この「●」とタイトルの「y」の丸まった部分に重なるように作者名の配置が調節されています。翻訳版独自の拘りが見え隠れしていて面白いところです。

Sunny 第1集 (IKKI COMIX)Sunny, Vol. 1

 ちなみに、こちらの英語版はハードカバー仕様。今回紹介する作品の中にほとんど該当はありませんが、ハードカバー本にはタイトルの横に[H]の表記を入れておきました。



JP.pngバクマン。【JPN】
Bakuman.【USA】


バクマン。 モノクロ版 2 (ジャンプコミックスDIGITAL)Bakuman., Vol. 2

 小畑健、大場つぐみ『バクマン』。元のデザインでは原稿用紙を再現するかのように白枠を作り、クセの強いジャンプのロゴもこの原稿用紙の印刷かのごとく水色で白枠内に配置されて目立たないのがポイントですが、英語版ではこの枠自体がなく、イラストエリアが少し広くなっているようです。代わりに、タイトルロゴが左から右に進むにつれ下書きから完成に進んでいく、オリジナリティが加わっています。また、タイトル下のタイトル日本語読み、ジャンプコミックス好例のサブタイトルはなし。右下、左下の作者クレジットは大きさの対称性を少しくずしながらもしっかり継承されています。概ね一緒、といった印象です。

バクマン。 モノクロ版 2 (ジャンプコミックスDIGITAL)Bakuman., Vol. 2




JP.png 魔法少女まどか☆マギカ【JPN】
Puella Magi Madoka Magica【USA】


魔法少女まどか☆マギカ (1) (まんがタイムKRコミックス フォワードシリーズ)Puella Magi Madoka Magica, Vol. 1

 ハノカゲ、Magica Quartet 『魔法少女まどか☆マギカ』。タイトルが英語でない場合はどうかと言うと、色の構成やまるっこさなどロゴの雰囲気を引き継げば、見覚えのあるロゴでなくなっても、タイトルの占める面積が変わっても雰囲気はそれほど変わっていない印象を受けました。と言うより、翻訳版としてデザインを丁寧に継承して、雰囲気を変えていないんですね。

魔法少女まどか☆マギカ 1巻Puella Magi Madoka Magica, Vol. 1

 元のデザインでは「魔法少女」の下にあった装飾用の英字タイトル、この造形が英語版のロゴにしっかり引き継がれています。



JP.png 魔法少女かずみ☆マギカ The innocent malice【JPN】
Puella Magi Kazumi Magica: The Innocent Malice【USA】


魔法少女かずみ☆マギカ ~The innocent malice~ (2) (まんがタイムKRコミックス フォワードシリーズ)Puella Magi Kazumi Magica, Vol. 2: The Innocent Malice

 平松正樹、天杉貴志、Magica Quartet 『魔法少女かずみ☆マギカ』。派生させたスピンオフのシリーズ作品についても、翻訳版でそのデザインの足並みを揃えています。



JP.png ジゼル・アラン【JPN】
Giséle Alain【FRA】
Giséle Alain【ITA】


ジゼル・アラン (1) (ビームコミックス)Gisele Alain t.1Gisele Alain

 笠井スイ『ジゼル・アラン』。ラベルのような枠の中にタイトル、作者名、巻数が入っているデザインは、仏語版、伊語版でしっかり継承されています。情報を入れるエリアがはっきりしていて分かりやすいため、このタイプのデザインは継承されやすいのかもしれません。仏語版、伊語版とほぼ同じことをやっているように見えますが、仏語版はラベルも文字も全体的に小さめ。また、上下の枠線がなくて、日本語版で見えなかったところが少し見えています。対して伊語版は、ラベルの大きさが日本語版とほぼ同じで、イタリア語表記のタイトルの下に小さく日本語が載っている、日本版と逆の構成をとっているのが面白いところです。

ジゼル・アラン (1) (ビームコミックス)Gisèle Alain




JP.pngひだまりスケッチ【JPN】
Sunshine Sketch【USA】


ひだまりスケッチ (6) (まんがタイムKRコミックス)Sunshine Sketch, Vol. 6

 蒼樹うめ『ひだまりスケッチ』。ラベルタイプと同じように、枠に特徴を持った小さなロゴも継承されやすそうに思われます。

ひだまりスケッチ (6) (まんがタイムKRコミックス)Sunshine Sketch, Vol. 6

 日本語が英語になって文字数が増えた分、ロゴの枠も横に伸びています。



JP.pngよつばと!【JPN】
Yotsuba&!【USA】
Yotsuba&【FRA】


よつばと! 12 (電撃コミックス)Yotsuba&!, Vol. 12Yotsuba t.12

 あずまきよひこ『よつばと!』。英語版は「と」が「&」になり、さらに元の「!」付きで、仏語版は「!」なし。どちらもビックリマーク形のロゴデザインをローマ字でアレンジしています。英語版は元のデザインに合わせて作者名も縦書き。一方、仏版の作者名は横書き。こちらはフランスの出版社マークと合わせていると思われます。

よつばと! 12 (電撃コミックス)Yotsuba&!, Vol. 12Yotsuba t.12

 タイトルの文字にも個性が出ています。ローマ字を一直線に並べた英語版からは可能な限り元のデザインに近づけようとする意志を感じられ好感が持てますが、仏語版のように文字を左右に散らす、枠をはみ出させるなど独自のアレンジを加えつつ、見た目よりポップな雰囲気を近づける、そのような選択もあります。



JP.png とらドラ!【JPN】
Toradora!【USA】
TORADORA!【GER】


とらドラ!(1) (電撃コミックス)Toradora! 1Toradora! 01

 絶叫,竹宮 ゆゆこ,ヤス『とらドラ!』。1文字1文字が丸で囲まれている日本版。一方、海外版のタイトルは日本語タイトルのローマ字読みになっているため、ローマ字1音分を丸1個に入れることで、ロゴデザインを近づけることができます。ビックリマークのデザインはそのまま。同じ方法でデザインを近づけた英語版と独語版ですが、日本版の日本語作者名を消して装飾的に配置されたローマ字の小さい作者名を流用した独語版に対し、英語版は流用なしで独自に起こし、ローマ字の小さい作者名を消して空いた空間を調節するためか、キャラの大きさを変えてバランスを整えたりと丁寧な仕事が好印象です。

とらドラ!(1) (電撃コミックス)Toradora! 1




JP.png 君に届け【JPN】
kimi ni todoke: From Me to You【USA】
SAWAKO【FRA】


君に届けKimi ni Todoke: From Me to You, Vol. 1Sawako Vol.1

 椎名軽穂『君に届け』。英語版はローマ字読み+英語の副題で『kimi ni todoke: From Me to You』。こちらも元のデザインは1文字1文字が丸で囲まれていますが、漢字が入っているため、英語版で文字の丸囲みをするには文字数が多すぎるため、そのタイトルは横書きの独自デザインなっています。一方、仏語版のタイトルは主人公の名前をとった『SAWAKO』。文字数が日本版と近く、デザインを文字の丸囲みで合わせています。どちらも日本版と同様にロゴ周りがキラキラしている部分は共通。そこは愛ですね。

似せるタイトルデザイン/変えるタイトルデザイン



JP.png七つの大罪【JPN】
The Seven Deadly Sins【USA】


七つの大罪(1) (少年マガジンコミックス)The Seven Deadly Sins 1

 鈴木央『七つの大罪』。剣のように文字が跳ね、羅針盤のマークが冒険を予感させる直球のタイトルロゴ。『七つの大罪』から『The Seven Deadly Sins』と文字数が大きく変わるものの、英語版のロゴも羅針盤のマークと共にその雰囲気をしっかりと受け継いでます。これは受け継ぎすぎだろうと思い、気になって調べたら、元のデザインを手がけたデザイナーさんが、海外版ロゴも作っているとがわかりました。

参考:hive『七つの大罪』海外版ロゴ

七つの大罪(1) (少年マガジンコミックス)The Seven Deadly Sins 1




JP.png暗殺教室【JPN】
Assassination classroom【FRA】


暗殺教室 3 (ジャンプコミックス)Assassination classroom, tome 3

 松井優征『暗殺教室』。物騒な「殺」の1文字のフォントと色を変えてアクセントを加えた漢字四文字のタイトルロゴ。これを英語に直しただけで『Assassination classroom』と文字数は5倍を超えてしまうわけで、アルアベット単位では1文字で「殺」に対応させることもできません。そこで独自のアレンジが加えられたのが「O」の文字。「O」の文字をスナイパーライフルの照準らしい形にして、上手く雰囲気を引き継いでいます。

暗殺教室 3 (ジャンプコミックス)Assassination classroom, tome 3




JP.png セントールの悩み【JPN】
A Centaur's Life【USA】


セントールの悩み 2 (リュウコミックス)

 村山 慶『セントールの悩み』。英語版のタイトルは『A Centaur's Life』。日本版でタイトルに添えられている蹄鉄は、英語版では「U」の文字に使われています。収まるべきところに収まった感が半端なくて気持ち良いですね。

セントールの悩み 2 (リュウコミックス)

 ちなみに日本版での英語表記は『Centaur's Worries』。こういうところが変わることもあるようです。



JP.png もっけ【JPN】
MOKKE【FRA】


もっけ(5) (アフタヌーンKC (402))Mokke T05

 熊倉隆敏『もっけ』。仏語版は読みを引き継いでそのまま『MOKKE』。日本版のタイトルの配色や、文字の始点や終点を丸めたデザインが踏襲されています。そして陰陽マークは「0」の文字へ。こちもまた、収まるべきところに収まっています。

もっけ(5) (アフタヌーンKC (402))Mokke T05

タイトルと共に、作者名のデザインを合わせられています。



JP.pngブラッドラッド【JPN】
Blood Lad【USA】
Blood Lad【FRA】
Blood Lad【GER】
Blood Lad【ESP】


ブラッドラッド (1) (角川コミックス・エース 280-1)Blood Lad, Vol. 1Blood lad t.1

Blood Lad 01Blood Lad 1

 小玉有起『ブラッドラッド』。見事に各国版が見つかったので並べてみました。日本版を下敷きにしながら、それぞれロゴに面白いほど個性を出しています。独語版のみタイトルロゴは小文字。特に良いと思ったのが仏語版と独語版で、アレンジの方向が大きく違いながら、どちらも日本版の匂いを感じさせるのが興味深いところです。

Blood Lad, Vol. 1Blood lad t.1

 英語版と仏語版はとても似ていますが、仏語版のLとAの絡みやロゴをまとめる下線、日本版ロゴを使った装飾など、同じようなロゴでも少し加工が違うと中々雰囲気が違って来るのがよくわかります。



JP.png青の祓魔師【JPN】
Blue Exorcist【USA】
Blue Exorcist【GER】


青の祓魔師 リマスター版 1 (ジャンプコミックスDIGITAL)Blue Exorcist, Vol. 1Blue Exorcist 01

 加藤和恵『青の祓魔師』。縦書き日本語タイトルの1例で、翻訳版はローマ字の横書きを垂直に配置しています。ロゴデザインとしては、『BLUE』を青色にすること、他の文字の周りに淡く青色を付けることを踏襲。

Blue Exorcist, Vol. 1

Blue Exorcist 01

英語版、独語版共に同じ方がデザインされたか、どちらかがどちらかを参考にしていると思えるほど似ていますが、例えば「E」の幅、「O」の内部、「R」の伸ばし具合など、ちょこちょこ変わっているところが結構気になります。



JP.png ばらかもん【JPN】
BARAKAMOn【FRA】


ばらかもん1巻Barakamon Vol.1

 ヨシノサツキ『ばらかもん』。こちらも縦書きの日本語タイトルになりますが、書道家を主人公にした作品ということで、ロゴというか題字をデザイン書道作家・大谷美游さんが書かれています。この必然性を持ったデザインを再現するかのごとく、仏語版のタイトルもばっちり毛筆。横書きローマ字を重ねて、元のデザインに可能な限り近づけています。

ばらかもん 1 (ガンガンコミックスONLINE)Barakamon Vol.1

「BAKARAMOn」、と最後の文字だけが小文字になって
その形はまるで「ん」のよう。これが愛です、たぶん。



JP.pngあまんちゅ!【JPN】
Amanchu!【FRA】
Amanchu!【ITA】


あまんちゅ!(2) (BLADE COMICS)Amanchu t.2Amanchu! vol. 2

 天野こずえ『あまんちゅ!』。さらにこちらも毛筆系の縦書きロゴ。仏語版、伊語版で縦書きにあわせなかった場合、合わせた場合を比較することができます。仏語版はロゴを横書きにしただけでなく左側の英語表記エリアを削除しています。これはロゴを横書きにしたので素直な英語表記が必要なくなったからかもしれません。



JP.png 私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!【JPN】
No Matter How I Look at It,
It's You Guys' Fault I'm Not Popular!【USA】


私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!(2) (ガンガンコミックスONLINE)

 谷川ニコ『私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!』。そして英語版は『No Matter How I Look at It,It's You Guys' Fault I'm Not Popular!』。『月刊MdN 2014年4月号』の「漫画のタイトルデザイン」で、「マンガの台詞かのように長いタイトルであるため、タイトル文字は主人公が喋っているイメージで作り起こされた」という説明を読んだばかりですが、台詞かのように長いタイトル、喋っているようなロゴデザインが共に英語版に継承されています。

私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!(2) (ガンガンコミックスONLINE)





 ここからは海外版でロゴのデザインが変わっている作品を見ていきます。


JP.png宇宙兄弟【JPN】
Space Brothers【FRA】
Uchu Kyodai. Fratelli nello spazio【ITA】


宇宙兄弟(4) (モーニングKC)Space Brothers T04Uchu Kyodai. Fratelli nello spazio

 小山宙哉『宇宙兄弟』。伊語版はイラストを枠に嵌めてロゴを枠外に配置していますが、シンプルな黒い文字に青い巻数表記を添えたロゴデザインは元のデザインに寄せています。大きく違うのが仏語版。宇宙飛行をイメージさせるマークの上に、角ばった元のロゴと対照的に曲線が目立つ文字を載せています。また、ブルースリーのようなポーズを決め込んだ主人公の姿勢が、仏語版で背筋を伸ばすように調節されているのが何気に気になるところです。(ロゴの赤い斜めのラインと手を合わせたのかもと少し思いました)



JP.pngゆめの底【JPN】
Yumenosoko【FRA】


ゆめの底Yumenosoko

 岩岡ヒサエ『ゆめの底』。ふわっと中に浮いて揺らめくようなロゴが、仏語版では作者名と一緒に二人のキャラを分断する層を作るように直線的に配置されています。こちらは、名和田耕平さんが「楓studio」と名乗っている頃の作品で、思わぬところが翻訳されているなと意外でしたが、岩岡ヒサエさんの作品は他にも『土星マンション』や『ハナボーロ』の翻訳版が出版されているようです。



JP.pngはじめの一歩【JPN】
IPPO【FRA】


はじめの一歩(47) (講談社コミックス―Shonen magazine comics (2673巻))Ippo

 森川ジョージ『はじめの一歩』。この作品はマガジンの看板を務める長寿作品なので、1990年の1巻発売から今まで、その頃の少年漫画!というタイトルロゴでやってきているわけですが、仏語版ではタイトルを『IPPO』と縮め、ざらついた金属のようなロゴをあてがって、日本版よりも大人びた雰囲気を形成しています。何より、ロゴに対戦中のボクサーのシルエットをつけているのがカッコイイですね。電光掲示板のような巻数、白抜きの作者名など、他の要素もタイトルの雰囲気に合わせて設計されています。

 ちなみに日本では47巻なのに仏語版は1巻となっていますが、これは仏語版は単行本がシーズン分割されているため、47巻がちょうどシーズン3の1巻になっているためであります。シーズン1、シーズン2とそのロゴも少し違っていました。

Ippo, saison 1, la rage de vaincre t.1Ippo, saison 2, destins de boxeurs t.1

iPPO」と最初の1文字だけ小文字を使っているが目に付きます。これは力強いロゴに、主人公の未熟と成長性を持たせているように感じました。そして、シーズンが変わるごとに、ロゴが頼もしく変わっています。



JP.png 狼と香辛料【JPN】
Spice and Wolf【USA】


狼と香辛料(2) (電撃コミックス)Spice and Wolf, Vol. 2 (manga) (Spice and Wolf (manga))

 小梅 けいと、支倉凍砂『狼と香辛料』。各文字を四角を抜いて形作った日本版、上下に分割した「Spice」と「Wolf」に「&」を被せた英語版。英語版のロゴは縦に幅を取るため、元のイラストのトリミング範囲を変えて下のベッドエリアを広くしたところに配置しています。ちなみに原作小説の方にも、もちろん英語版が存在します。

狼と香辛料II (電撃文庫)Spice and Wolf, Vol. 2

 元の日本版も英語版も、ロゴのデザインを原作小説に合わせているようです。



JP.png無限の住人【JPN】
L'habitant de l'infini【FRA】


無限の住人(20) (アフタヌーンKC (430))無限の住人(21) (アフタヌーンKC (455))無限の住人(24) (アフタヌーンKC)



 沙村広明『無限の住人』。「侍」から「SAMURAI」へ。色の付いた題字が、スタイリッシュな白か黒の仏語タイトルになり、巻数も作者名も小さく近くに集められました。タイトルの力強さが抑えられた分、イラストが静かに、その凄みを増しているようにも感じられました。ちなみに『L'habitant de l'infini』をフランス語として翻訳してみると『不滅の刃』、カタロニア語として翻訳してみると『無限の住人』になったので、これはカタロニア語のタイトルなのでしょうか。『不滅の刃』でもアリですね。



Blade of the Immortal』(英語版)、『L'immortale』(伊語版)もありましたが、やはり断トツでクールなのが仏語版です。


印象の変わるタイポグラフィ系



JP.png 星守る犬【JPN】
Stargazing Dog【USA】
Le chien gardien d'toiles【FRA】


星守る犬Stargazing Dog

 村上たかし『星守る犬』。見渡す限りに広がるひまわり畑と子犬。イラストが普遍的な美しさや懐かしさを持っているので、英語版のタイトルデザインのように大きく変わらずとも、日本語が別の言語に置き換わることでイラストが文字のイメージに染まり、それが海外のものらしくなると感じたのが仏語版です。

JP.pngほしのこえ【JPN】
The Voices of a Distant Star【USA】


ほしのこえThe Voices of a Distant Star: Hoshi no Koe

 佐原ミズ, 新海誠『ほしのこえ』大きく配置された日本語タイトルはどう変わるか、その1。英語タイトルには内容をより適切に表す「Distant」が挿入されて、5文字のひらがなが一気に23文字まで増えました。結果、文字を小さくして、元のタイトルよりも大分こじんまりさせたものになりました。とは言っても英語でもタイトルを大きく出来ないわけではないので、このように変わったのは英語版をデザインされた方、もしくはターゲットの好みの問題かもしれません。



JP.png邪眼は月輪に飛ぶ【JPN】
Lo sguardo sinistro della luna【ITA】


邪眼は月輪に飛ぶ (ビッグコミックス)Lo sguardo sinistro della luna

 藤田 和日郎 『邪眼は月輪に飛ぶ』大きく配置された日本語タイトルはどう変わるか、その2。その1は横書き等間隔配置だったので合わせようと思えば合わせられたかもしれませんが、こちらは縦書きで大きさもバラバラ、ベースラインもない、加えて作者名まで踊っている、ということで、伊語版はだいぶ落ち着きました。



JP.pngリストランテ・パラディーゾ【JPN】
Ristorante Paradiso【USA】


リストランテ・パラディーゾRistorante Paradiso

 オノ・ナツメ『リストランテ・パラディーゾ』。大き目の文字で体に重ねるように2行で配置されていたタイトルが、英語版ではロゴとして固められ、下に移動しました。海外版では、人物と文字が重なっているときに、人物がより見えるように再構成されていることが多いかもしれないと今回の記事で思いました。

Ristorante Paradiso

なかなかおしゃれなロゴに仕上がっています。
苗字の大きさと間隔を調節して、名前と端を合わせた
作者名の見せ方も素敵です。



JP.pngさらい屋五葉【JPN】
House of Five Leaves【USA】


さらい屋五葉 8 (IKKI COMIX)House of Five Leaves, Vol. 8

 オノ・ナツメ『さらい屋五葉』。毛筆の質感を継承しつつ、縦書きの日本語は横書きの英語へ。翻訳版は大胆さが抑えられ、すっきりと落ち着きを持ったデザインに調節される傾向があるように思います。



JP.png シドニアの騎士【JPN】
Knights of Sidonia【USA】
Knights of Sidonia【FRA】
Knights of Sidonia【GER】
Knights of Sidonia【ITA】


シドニアの騎士 1 (アフタヌーンKC)Knights of Sidonia, volume 1Knights of Sidonia Vol.1

Knights of Sidonia 01Knights of Sidonia

 弐瓶勉『シドニアの騎士』。こちらは特に元のデザインが文字の大胆な配置で特徴を出しているため、雰囲気を合わせにくいのか、各国版を並べてみたらロゴデザインの見本市状態になってしまいました。元のデザインに忠実な英語版、空いたスペースに小さくてシンプルなロゴを配置した仏語版、背面に赤いラインを引いて液晶版のようにタイトルが流れそうな独語版、同じく液晶版系と言うかドットのようなデザインの伊語版。仏語版のシンプルさが際立っています。

Knights of Sidonia Vol.1

 「SIDONIA」の文字と一緒にサークルで囲まれた巻数表記と、
タイトルに添えられた作者名、これでワンセットになっています。
もちろん通巻でこのデザインになっていて、一番作者イラストを堪能できます。

翻訳に伴う諸所のデザイン変更



JP.png惡の華【JPN】
Flowers of Evil【USA】
I fiori del male【ITA】


惡の華(1) (少年マガジンKC)Flowers of Evil, Volume 1I fiori del male

 押見修造『惡の華』。海外版があったら「クソムシ」がどうなっているのか気になって調べたわけですが、伊語版はフキダシ部分未加工、そして英語版はフキダシにタイトルが入っていました。「クソムシ」がどう翻訳されているのか期待していたので少し残念です。特に英語版はデザインの意味合いが変わって、普通にフキダシ形タイトルになってしまいました。

惡の華(4) (少年マガジンコミックス)Flowers of Evil, Volume 4I fiori del male vol. 4

 4巻からのデザイン変更については、これまでのタイトルデザインが使われるという点で足並みが揃っています。



JP.png 聖☆おにいさん【JPN】
Les vacances de Jesus et Bouddha【FRA】
Saint young men【ITA】


聖☆おにいさん(1) (モーニングKC)Les vacances de Jesus et Bouddha t.1Saint young men vol. 1

 中村光『聖☆おにいさん』。『Saint young men』と、直訳したようなタイトルの伊語版は、「」のマークをそのまま使用し、日本語の部分を横書きのローマ字にして上手く組みこんでいます。一方、仏語版は『Les vacances de Jesus et Bouddha』と内容を直接的に表したタイトルに変更されており、「」が「」になってタイトル部分も黒字から赤いラインへの白抜きになるなど配色を合わせつつおきなアレンジが加わっており、タイトルの順番と合うようにブッダとイエスの位置も入れ替わっています。

と言うか『イエスとブッダの休日』という作品が普通に海外で売られているのが何気に驚きですよね。

Les vacances de Jesus & Bouddha t.3Les vacances de Jesus et Bouddha t.5Les vacances de Jesus et Bouddha t.6

以降の巻はアレンジが小さい仏語版ですが、タイトルのデザインは1巻のものが引き継がれ、元のデザインよりも大きくはっきりと配置されていました。

Les vacances de Jésus & Bouddha t.3

 また、仏語版には、例えば3巻には路線図、5巻には雨というように、
薄っすらと模様が仕込まれているようです。



JP.pngひよ恋【JPN】
Hiyokoi【FRA】


ひよ恋 1 (りぼんマスコットコミックスDIGITAL)Hiyokoi Vol.1

 雪丸もえ『ひよ恋』。余白が広く、タイトルの3文字の配置が面白さを出しているため、これをいじると雰囲気が大きく変わってしまいます。仏語版はこの問題を、日本語のロゴを残しつつ、振り仮名を付ける要領でローマ字読みタイトルを配置することで解決しました。以前まとめたタイトル背景に近いかもしれません。



JP.pngテルマエ・ロマエ【JPN】
Thermae romae 【USA】[H]
Thermae romae 【FRA】


テルマエ・ロマエV (ビームコミックス)Thermae Romae, Vol. 3Thermae romae t.5

 ヤマザキマリ『テルマエ・ロマエ』。作者名が大きな巻数表記に入っているなどの違いはあるものの、仏語版のデザインは概ね日本のものと同じ。一方、英語版は背景の無地化と、彫像に重なったプレートのようなロゴが違いとして際立っています(巻数が違うのは英語版がハードカバー仕様で1巻あたりの収録数が多いことに起因していますが、そこは置いておきます)。特に彫像の一部を見えなくしてしまうプレートのようなロゴにはどういう意図があるのか疑問に思いましたが、それは他の巻を見て解決しました。

テルマエ・ロマエ III (ビームコミックス)Thermae Romae, Vol. 2Thermae Romae t.3

 彫像が腰にタオルを巻いている時にははプレートが下にずれていました。彫像と言えど、リアルな股間をNGとしたようです。フランスではOK、アメリカではNG。禁止か自主規制か分かりませんが、さりげなく文化の違いが現れています。



JP.pngBTOOOM!【JPN】
BTOOOM!【USA】
BTOOOM!【GER】


BTOOOM! 1巻BTOOOM!, Vol. 1Btooom! 01

井上淳哉『BTOOOM!』。DXBOX720というマークと黄緑色の枠。Xbox360のパロディデザインでゲームパッケージのような雰囲気を出しているわけですが、さすがにそのまますぎたのか、英語版では黄緑色が水色になっています。また、ゲームらしさを演出するマークにも変更がありました。

BTOOOM! 1巻BTOOOM!, Vol. 1Btooom! 01

元のデザインは「DXBOX720」。これが英語版、独語版共に作中に登場するゲーム会社のマークになっているようです。また独語版では元のデザインでタイトルの下に添えられた振り仮名の部分に作者名が来ていて妙なアレンジをするなとも思いましたが、作者名が何かにまぎれていた方がよりゲームソフトのパッケージらしいと言えるかもしれません。


別物?デザインが大きく変更された作品



JP.png 百姓貴族【JPN】
Nobles Paysans【FRA】


百姓貴族(1)Nobles paysans t.1

 荒川弘『百姓貴族』。元のデザインでは黄色の背景に仕込まれたコミカルな線画がピンク色で目立て百姓成分が高め。仏語版ではこの背景色と線画が近い色になって一歩引き、貴族風の自画像が大きくなって、貴族成分が高くなっています。牛乳パック、と言っていいのかわかりませんが、仏語版は枠も加わり引き締まって、パッケージのような印象を受けました。

Nobles paysans t.1

ロゴは北海道付き。作者名も枠で囲まれて小さな自画像付き。
また表紙が枠に囲まれたことで、赤い出版社マークもデザインに馴染んだりと、
なかなか丁寧なお仕事が確認できました。

ちなみにこの作品が翻訳されているということで、もちろん『鋼の錬金術師』や
『銀の匙 Silver Spoon』についても、しっかり翻訳版は出ています。



JP.png月光条例【JPN】
L'editto della luna. Moonlight act【ITA】


月光条例(1) (少年サンデーコミックス)月光条例 6 (少年サンデーコミックス)月光条例 14 (少年サンデーコミックス)



 藤田和日郎『月光条例』。元のデザインが、『オールカラー版 世界の童話』をモチーフにして児童書らしく表紙を仕上げていていますが、伊語版はこの児童書デザインはなし。枠が無くてタイトルも独自の形状をしています。まず元のイラストがわかって、そこにどれくらい手を加えるかによって雰囲気が大きく変わるのが見れて面白いんですが、枠が無くないと結構『からくりサーカス』っぽくなっている気がします。



JP.png 予告犯【JPN】
PROPHECY【FRA】


予告犯 1 (ヤングジャンプコミックス)Prophecy t.1

 筒井哲也『予告犯』。切り抜きを集めた脅迫状のごとく、文字ごとのフォントと大きさを変えたタイトル、背景の新聞紙など、アナログ媒体をデザインに絡めたのが元の日本版。対して仏語版は、右下に「REC」と付けて表紙を録画シーンに見立てイラストをノイズ加工し、きっちりしたタイトルにデジタルな巻数表記を入れるなど、デジタルや電子機器をデザインに組み入れてまとめています。元のイラストのトリミングにも違いが出ていて、元のデザインではスマートフォンのアイコンが印刷されたTシャツ部分を大胆にそぎ落とし、新聞紙のマスクを大きくしてインパクトを出しているようです。

どちらも方向性を変えつつスリリングな雰囲気を出した格好いいデザインに仕上げていますが、仏語版がサスペンス作品を、それに合った蔵さで手堅くまとめているため、インパクトのあった元のデザインが、例えば巻数表記を顔を出していたり全体が黄色く染まっていたりと、どうインパクトを持たせているか相対的によくわかる事例になっています。



JP.pngケロロ軍曹【JPN】
Sgt. Frog 【USA】
Sergent Keroro 【FRA】


ケロロ軍曹 (20) (角川コミックス・エース 21-33)Sgt. Frog Volume 20 (Sgt. Frog (Graphic Novels))Sergent Keroro Vol.20

吉崎観音『ケロロ軍曹』。英語版は、ポップなタイトルロゴは硬質なものに置き換わり、白と水玉サークルのシンプルな背景は椰子の木の生えた海外の風景になって、日本版のイラストを流用しながらもかなりアメリカナイズされています。『Sgt(sergeant)Frog』。聞けば何の翻訳版か分かるタイトルになっていますが、可愛さはない、この差は小さくありません。一方、仏語版はイラストもデザインも別物になっていました。



JP.pngシスタージェネレーター 沙村広明短編集【JPN】
Hiroaki Samura's Emerald and Other Stories【USA】


シスタージェネレーター 沙村広明短編集 (アフタヌーンKC)

 沙村広明『シスタージェネレーター 沙村広明短編集』。収録作品がシリアスギャグに残酷系、サブカル、青春、西部劇とごった煮状態になっているため、元の本では表題作を設けず、ある種とらえどころの無いポップなデザインに仕上げています。対して英語版は西部劇『エメラルド』を表題作にして、アメリカ人を狙い撃ちにしています。想定するターゲットに合わせたタイトルやデザインを変更した一例です。



JP.png 寄生獣 完全版【JPN】
PArASytE【USA】


寄生獣(完全版)(1) (アフタヌーンKCDX (1664))寄生獣(完全版)(2) (アフタヌーンKCDX (1665))寄生獣(完全版)(3) (アフタヌーンKCDX (1680))

Parasyte 1Parasyte 2Parasyte 3

 岩明均『寄生獣』。比較対象として完全版が適切なのか悩みますが、シンプルな背景にインパクトのある寄生生物達の1カットを載せたのが英語版。大文字と小文字を交えてゆがませた、不気味さの強いロゴが印象的です。



JP.png 愛蔵版 機動戦士ガンダム THE ORIGIN【JPN】
Mobile Suit Gundam: THE ORIGIN【USA】[H]


愛蔵版 機動戦士ガンダムTHE ORIGIN vol.1 始動編愛蔵版 機動戦士ガンダムTHE ORIGIN (2) ガルマ編愛蔵版 機動戦士ガンダムTHE ORIGIN III ランバ・ラル編 (3)

Mobile Suit Gundam: THE ORIGIN volume 1: ActivationMobile Suit Gundam: THE ORIGIN vol. 2: GarmaMobile Suit Gundam: THE ORIGIN, Volume 3: Ramba Ral

 安彦良和、矢立肇、富野由悠季 『機動戦士ガンダムTHE ORIGIN』。英語版のデザインは一枚絵に透過型の文字用BOXエリアを載せたシンプルイズザベスト。堂々のハードカバー仕様です。



JP.png ノ・ゾ・キ・ア・ナ フルカラー版【JPN】
Nozokiana【FRA】


ノ・ゾ・キ・ア・ナ フルカラー 1 (ビッグコミックススペシャル)Nozokiana t.1

 本名ワコウ『ノ・ゾ・キ・ア・ナ』。こちらのフルカラー版のカバーは穴あき構造になっていて美麗なイラストが顔を覗かせる、まさしくノゾキアナと言ったデザインが採用されています。このノゾキアナのイメージを鍵穴で表現したのが仏語版。鍵穴の形をした境界でイラストをエリア分けして、外側をぼかして別の色を重ねることで、イメージ的なノゾキの空間を構成しています。

Nozokiana Vol.3Nozokiana t.6Nozokiana t.7

タイトル、作者名、巻数表記、出版社名は通巻で定位置に配置されいます。
統一感あり、巻ごとの個性あり、そして何より作品の内容を
美しくデザインに落とし込んだその個性的な発想。
これはすばらしい。



JP.pngテラフォーマーズ【JPN】
Terra Formars 【USA】
Terra Formars 【FRA】


テラフォーマーズ 1Terra Formars, Vol. 1Terra Formars Vol.1

 貴家悠、橘賢一『テラフォーマーズ』。元のデザインでメインのロゴが英語表記になっているので、英語版は、日本語の作者名をローマ字に直して日本語の小さなタイトルを消すぐらいで、元のデザインをかなり忠実に再現しています。対して、全然違う!と衝撃を受けたのが仏語版。しかし実際によく観察してみるとタイトルが縦置きから横置きになったもののその形は継承されており、イラストも右端が切れたものをやや左に持ってきて顔全体が見えるようになっただけ。背景が白から宇宙空間のようなエフェクトがかった黒になっただけ。ものすごく構成が変わったわけでないのですが、別物になっている印象を受けましたシンプルに言うと、ものすごくかっこいい!

Terra FormarsTerra Formars Vol.5

実は、ツイッターでこの仏語版に関するツイートと書影を見かけたときこの企画を思いついたのでした。仏語版のにはゴキブリがいませんが、この作品がゴキブリSFだということは広く浸透しているのでなくてもオッケーということで、日本版もこのデザインで売ったら案外今以上に売れるのではないかと少し思ったりします。



JP.png さんかれあ【JPN】
SANKAREA: adorable zombie【FRA】
SANKAREA【GER】


さんかれあ(2) (少年マガジンコミックス)Sankarea T02: Adorable zombieSankarea 02

 こちらでラスト、はっとりみつる『さんかれあ』。独語版のタイトルは日本版のローマ字読みになって、ロゴもデザインと色を合わせて作られています。仏語版は、ローマ字読みのタイトルにさらに副題「adorable zombie」が付いています(直訳:愛らしいゾンビ,「愛しのゾンビちゃん」くらいのニュアンスでしょうか)。ロゴにも西洋のお墓やネコのシルエットが入って、ゾンビ要素を可愛く伝えています。



SANKAREA -undying love-【USA】


Sankarea 1: Undying LoveSankarea 2: Undying LoveSankarea 3

Sankarea 4: Undying LoveSankarea 5: Undying LoveSankarea 6

 そして英語版、『SANKAREA -undying love-』。使用するイラストを変えて、他の言語版では隠したり匂わす程度に留めていたゾンビ要素を全面に押し出した、ほぼホラーな表紙。これには衝撃を受けました。タイトルロゴも継ぎはぎだらけになっています。この大きな違いについて調べてみると、どうやらアメリカのゾンビブームが背景にあることが別マガの編集さんにより語られていました。

参考:『別マガ』班員は今日も困っている。(インターネットアーカイブ)
 ※ブログが閉鎖されているため、元の記事には現在アクセスできません。

さてさて、何故アメリカ版の表紙カバーがあーも違うのかという理由なのですが、なんでも現在アメリカでは空前のゾンビブームのようで、向こうのエージェンシーさんが日本版のように可愛らしいものより、おどろおどろしい方が売れるだろうという読みからみたいです。

とのことで、可愛いよりゾンビ!と国の情勢がモロに反映された結果であったようです。やけにアメコミの匂いを感じるイラストの塗りにも言及されており、

アメリカ版の表紙ではモノクロの本編中からイラストを切り取り、それに現地のデザイナーさんが着色しているんです(勿論はっとり先生許諾のもと)。

という解説を聞いて日本版と英語版の雰囲気の違いがより明確に理解できました。基本的に表紙のデザインは、漫画家さんのイラストの個性と、それを整えたり文字を付けたりするデザイナーさんの個性の掛け算でできていると思っています(細かく言うと、そこに編集さんの好み、レーベルの特色、流行、予算など色々な要素が入り混じっていて、多分数式は複雑です)。日本版のデザインを踏襲した仏語版・独語版とは違い、イラストの塗りもロゴも現地のデザイナーさんが手がけられている英語版には、日本のデザイナーさんの要素が抜けた、まったく新しい掛け算が発生しているわけですね。この掛け算が実に面白い方向に働いていて、5巻のように海外のゾンビ映画のパッケージを連想させる表紙が出てくることもあれば、6巻ようにアメコミ的な色彩感覚と日本受けしそうな可愛さが融合した表紙も出てきたりしています。6巻、かなり良いですね。

さんかれあ(7) (少年マガジンコミックス)Sankarea 7

最後に『さんかれあ』と『SANKAREA -undying love-(永遠の愛)』を並べて締めにしたいと思います。

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2014年03月23日 | 特集 | コメント 0件 | トラックバック 0件 | TOP

ジャケ買いの種(2014年3月前半)

このエントリーをはてなブックマークに追加 カテゴリ:最近の気になる装丁  »2014年03月15日 更新

前回次回

最近装丁の気になった、発売中/発売予定のコミックを、
アマゾンの特大書影を使って無造作に並べておく個人用メモです。
順不同。

※ページが長いです。続きを読むからご覧ください。



【続きを読む】

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2014年03月15日 | 最近の気になる装丁 | コメント 0件 | トラックバック 0件 | TOP

33のエピソードあり!MdN4月号付録「漫画のタイトルデザイン」が熱い

このエントリーをはてなブックマークに追加 カテゴリ:ニュース  »2014年03月08日 更新

月刊MdN 2014年 4月号(特集:タイポグラフィの現在)[雑誌] 3月6日発売のグラフィックデザイン専門誌
『月刊MdN 2014年4月号』にて、「漫画のタイトルデザイン」という
漫画装丁ファン要チェックの別冊が付属しています。

別冊でピックアップされた作品は33タイトル。
「進撃の巨人」を皮切りに、レトロでオシャレなカバーが目立った
『さよなら絶望先生』、市川春子先生自身が装丁を手がける
『宝石の国』など人気作や注目作について、
大きな書影と共に、タイトルの使用フォントやデザインの要点、
デザイナーによる装丁のコンセプトやアイデイアの裏話など、
1作品につき見開き2ページで丁寧な解説が載っていました。
また、同別紙にはデザイン事務所、コードデザインスタジオと
ボラーレのインタビューも収録されて全79ページ。
雑誌のオマケにしては気合いが入りすぎています。

漫画のタイトルデザイン

▲漫画のタイトルデザイン・甘々と稲妻1巻解説ページ

【特別付録小冊子・漫画のタイトルデザイン】

>>気になる33作品の漫画タイトル文字
>>コードデザインスタジオに聞くタイトルデザインの考え方
>>ボラーレに聞くタイトルデザインの考え方
  • 火輪花の丘 [この装2013]
  • 凪を探して:『猫がいない』短編集

 この装:この装丁がすごい!(上:上位または特別枠)
 種:ジャケ買いの種 通巻:通巻の表紙デザイン200作品


掲載作品のリストに、うちのブログで名前を出しているページを並べてみました。「この装丁がすごい!2013」で紹介した作品など、装丁に目を奪われた作品のタイトルがいかにしてデザインされていたかを知ることができ、何となく手に取っていた、その何となくの部分が言語化して見えてくるため、ブログを読まれているカバーデザイン好きの方はかなり楽しめるのではないでしょうか。また、個々の解説にはベースとなったフォントの情報、もしくは「使用フォントなし」、といった情報があるのも重要です。『僕らはみんな河合荘』には「バースデイ19」というフォントが使用されているという情報が、個人的に大きな収穫となりました。

僕らはみんな河合荘 3 (ヤングキングコミックス)吐息と稲妻 (りぼんマスコットコミックス クッキー)ぼくらは4月を夢見てる (クイーンズコミックス)


『吐息と稲妻』、『ぼくらは4月を夢見てる』でも使われていて気になっていたフォントなのですっきりしました。しかも、近いうちにこの情報は使いどころがあるんですよね(余談)。ちなみにこちらのフォントの販売ページにて、知りたい文字をプレビューで確認することがきます。  【参考:バースデイ19


本誌特集は、深夜の熱血アニメ『キルラキル』の極太文字演出。また左開きの漫画作品『Levius』のロゴタイプ解説と共に、気になっていたデザイン担当、gift unfolding casuallyさんのお話も載っていました。

MdN (エムディエヌ) 2014年 04月号

充実の1+1冊です。

月刊MdN 2014年 4月号(特集:タイポグラフィの現在)[雑誌] MdN (エムディエヌ) 2014年 4月号

出版社: エムディエヌコーポレーション
ASIN: B00IKABLDW
発売日: 2014/03/06


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2014年03月08日 | ニュース | コメント 0件 | トラックバック 0件 | TOP