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【装丁】Local support Department シマダヒデアキ

このエントリーをはてなブックマークに追加 カテゴリ:デザイナー  »2010年07月21日 更新

デザイナーINDEX

■Local support Department (L.S.D. ローカルサポートデパートメント)

●メンバー:シマダヒデアキ/代表
●仕事先 :集英社、講談社
●主な装丁:へうげもの
●雑誌デザイン:ジャンプSQ
●リンク :twitter
●記事作成:2010/07/21

へうげもの

戦国の時代、「物欲」で突っ走る武将・古田織部を主人公に、わび・さびや骨董などの美的観点から歴史を面白おかしく描いた作品『へうげもの』。歴史漫画と一言では片付けられない一風変わったその作品のイメージを一目で伝えるべく、英文字和文字を取り混ぜ、毎回鮮やかなデザインで作品らしさを演出しているのが、デザイン事務所・ローカルサポートデパートメントを率いるシマダヒデアキ氏です。シマダ氏の名前を検索して真っ先に出てくるのが『へうげもの』のオフィシャルサイトで、その活動はコミックの装丁に留まらず、グッズや広告、イベントなど深く『へうげもの』に関わっておられるのをサイトで確認することができます。


シマダヒデアキ1

雑誌としては、ジャンプSQのアートディレクションを行っていたりして、確認している範囲ではその
主な仕事の舞台は集英社と講談社。ジャンプコミックの装丁を行ったり、マガジンコミックの装丁を行ったりと、
でライバル感漂う2社間でピンポイントに精力的に活動を行っているのがなんとなく印象的です。


シマダヒデアキ2

集英社『ドラゴンボール』、『スラムダンク』、そして講談社『寄生獣』、これらの完全版デザインもこちらのお仕事。例えばジャンプ作品の完全版については集英社系の作品メインのデザイン事務所Freiheitが数多く担当しており、またシマダ氏によるものはそう多く確認していませんが、そこで担当していた上記3作。やたらすごい作品をピンポイントに手がけておられます。


さて、ここからシマダ氏の装丁の傾向について。
特定の作品について、強く見られる傾向、それは「遊び」。
そのデザインに「遊び」が強く見られる作品、その一つが野中英次『魁!!クロマティ高校』です。

クロマティ高校

悪の巣窟クロマティ高校を舞台に、マスクマン・ゴリラ・ロボット・・と不良を差し置きやたら増殖する変な登場人物と終始漂う脱力感が笑いを誘う本作品。こういうギャグ系の作品については、シマダ氏はとにかく遊びます。主人公が出る割と普通の表紙は最初の1巻を含めて極わずか。実写だったり落書きだったりCGだったり、何漫画だよ!っと突っ込みを入れるような表紙、しかし本編のノリはいつでも変わらない安定感。本全体が野中英次らしさを面白おかしく体現しています。


次は西本英雄『もう、しませんから。』

もう、しませんから。

作者本人が体当たり取材を行い、それを笑いと独自の自虐的タッチで伝えるルポ漫画。ご覧の通り、かなりフリーダムです。もっとも、これっらの表紙のはっちゃけ具合には本編の企画中に表紙のデザインに関する話が盛り込まれていることが深く関係していますが、それにしてもあの手この手のアホなネタを、毎回表紙デザインに上手く落とし込むその手腕には恐れ入ります。ちなみに、その単行本デザイン企画の回にはシマダ氏本人が登場しておられるので要チェックです。


そして次に紹介するのは久保保久『よんでますよ、アザゼルさん』。
上記2作に比べると落ち着いているように見えますが、その遊び具合は決して引けを取っていません。

よんでますよ、アザゼルさん。

まず最初に突っ込みをいれたくなるのが3巻。1、2巻と白装丁でまとめてくると思ったところにいきなりの背景込みデザイン。背表紙は無難に統一してほしいと願う購入者をあざ笑うかのごとく、袖まで描き込まれたカバー1枚絵系の表紙でがらっと雰囲気を変えてきました。そして何ごともなく白系に戻る4巻。そんな感じにぱっとみ3巻が目立ちますが、その他の巻でにもふんだんに自由な遊びが盛り込まれています。わかりやすいのが各巻で全然違うロゴや巻数表記。またその都度UV加工(つるっと出っ張った表面の処理)やラメっぽい加工、またホログラムといい意味で連続性を崩す続刊アイディア。ここまでされると次の巻はどうくるかと楽しみになってきます。また、カバーの袖や裏や下、はたまた目次、奥付まで面白く埋めてやる的な気配りがそこかしこと盛り込まれていて、アザゼルさんの本は全体として本当に面白く仕上がっているので、お手元にある方は是非チェックしてみてください。


と、ここまで「遊び系」を紹介してきましたが、これらの特徴に引けを取らないくらい
印象的なシマダ氏のデザインタイプがあります。
適切な言葉がイマイチ思いつきませんが、「ポップ系」、「カラフルレイアウト系」、
そんな感じのデザインタイプです。

A-BOUT!.jpg

市川マサ『A-BOUT!』。
ポップやカラフルという言葉を使ってどういう風にくくりたいかはだいたいわかりますでしょうか。
スプレーのような効果を駆使しながら、イラストの線関係なしに配置されたカラーが
破天荒で茶目っ気たっぷりのヤンキー漫画の表紙としてよくマッチしております。


DON`T TRUST OVER 30

TAGRO『DON'T TRUST OVER30』。
白地に青や赤、黄色で構成されたキャラ絵や文字。
非常にさわやかでポップな美しい仕上がりです。
また、よく見るとはっきりとしたピンク他に、
カバーの奥にぼんやりとピンクの模様が浮かんでいるのですが、
こちらは薄いカバーの下から透けて見えるカバー下の模様がその正体。
実物は、手にとって貰わないと伝わないほど手が込んでいます。
漫画家の瀬口たかひろ氏もその装丁について、どういう過程を踏んでいるのか
 不思議に思っていたり
。デザインの道筋はいろいろあるようですね。)


さよならフットボール

新川直司『さよならフットボール』。
先に挙げた2作と比べると大分色的に抑えているようにも見えますが、
この赤と青と白の組み合わせ、本棚に入れて背表紙だけ見えるようにした
ときを含め、結構目立ちます。
おそらく2巻で完結するであるこの作品、次巻の色が気になります。


<おまけ>

もう、しませんから。シマダヒデアキ

西本英雄氏によるシマダヒデアキ氏(もうしませんから4巻)

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2010年07月21日 | デザイナー | コメント 0件 | トラックバック 0件 | TOP

【装丁】名和田耕平デザイン事務所

このエントリーをはてなブックマークに追加 カテゴリ:デザイナー  »2010年07月13日 更新

デザイナーINDEX

■名和田耕平デザイン事務所

●メンバー:名和田耕平/代表(5名)
●仕事先 :白泉社、講談社、双葉社、祥伝社、一迅社、スクエニ、宙出版、ソフトバンク
●主な装丁:こうの史代作品、シギサワカヤ作品
●リンク :公式サイトブログ過去の求人情報
●記事作成:2010/02/03 リニューアル:2010/07/13 追加:2011/04/16

NAWATA1.jpg

2009年に表紙の気になった「星が原あおまんじゅうの森」「中央モノローグ線」、2009年のマイベスト「この世界の片隅に」、2008年のマイベスト「まつのべっ!」、装丁が良くなったため改めて買った「愛人・特別愛蔵版」等、コミックの装丁元を調べた始めたときに思い入れが深い数々の作品が行き着いたのが名和田耕平デザイン事務所。青年誌系、4コマ系、BL系のコミック装丁にマンガ雑誌デザインと、コミック関係のお仕事に特化しています。

サイトを見てみると女性向け漫画、4コマ漫画の実績が多いですが、青年誌系についてもアフタヌーンやアクションなどあらゆる出版社、レベールに顔を出して幅広く手がけていて、思わぬところで名前を目にすることも。ネットで「気がつけば名和田デザイン作品が手元に集まっていた」などという意見を見かけるこちらのデザインですが、クレジットを確認したときの「ああやっぱり」、そういう感覚がどこからくるか少しでも迫れるよう、いくつかのタイプにわけでデザインを紹介してみます。

まず上に集めてみたのが大バストアップ系。腰から上のバストアップ絵から、頭が画面がらはみ出すぐらいのキャラズーム絵が、文字を挿入する背景も無いぐらいに面積を占めるものを、表紙としたものを多数確認しています。このタイプのデザインでは下3列目真ん中、『アキバシュート』のように、ロゴが映像作品のタイトル画面で使われるようながっちりとしたものになっていることは少なく、左上『モテキ』や右下『罪と罰』のように細めのロゴが多く採用されている印象がります。この細めで大きなロゴが、キャラに大胆にかぶせている表紙があれば、名和田デザインである確率が高いかもしれません。


NAWATA2.jpg

こちらに集めたのは、キャラを全身がちょうど収まる程度、またはそれに近い大きさで配置し、ロゴをキャラの体を横断するように載せたタイプのデザイン。ロゴをかっちり水平に、というルールはなく、むしろキャラのポージングに合わせて角度を調節し、上手く調和を取ると同時に表紙に良いアクセントを生んでいます。また、異なる巻でロゴの構成すら調節しているという例が図右の『となりの怪物くん』2冊、そして『好きっていいなよ』2冊。これらの作品ではロゴの構成が完全に固定しておらず、キャラの配置に応じてその都度文字同士の位置関係や角度を調節。白背景+キャラの全身絵というフォーマットで単行本全体の統一感を出しつつ、こういった細やかな調節が1冊1冊に個性を与えております。


NAWATA3.jpg

白装丁+ロゴによる隙間埋めタイプ。若干偏って開けられた無地空間を埋めるようなロゴ配置多し。また、白装丁の多いよつばスタジオのものと比べると、比較的女性向けな作品が多い、ロゴに角度がつけられている、作品が「あずまんが」ぽくない、そういう感じで区別できる、ような気もします。


NAWATA4.jpg

単色 or 簡易背景+ロゴによる隙間埋めタイプ。縦左右配置が集まりました。


NAWATA5.jpg

ロゴの広範囲配置系。シンプルな背景に、時に大胆にキャラにかぶせながらロゴを広く大きく載せるこのタイプ。タイトルがまず始めに作品の雰囲気を大きく語ります。


NAWATA6.jpg

極小文字配置系。ロゴというより情報と言ったほうが正しいくらい簡潔で小さい文字により、タイトルや作者名がイラストに添えられるこのタイプ。文字が小さいと寂しかったり漫画っぽくなくなったりするかというとそんなことはなく、しっとりと品がある仕上がりになります。個人的に、こちらのデザイン事務所の色が最も出ていると感じるのがこれらのタイプ。そしてこれらのシンプルな特徴は背表紙にも反映されるため、名和田デザインの中で、最も認識が容易な種のデザインだと思っています。


NAWATA7.jpg

描き込み背景系。景色の中にいるキャラというより、キャラのいる景色、そんな風に感じるこのタイプ。キャラの配置の仕方は背景ありきでデザインされているためで単色背景のものとは違ってくるのものの、文字の入れ方には他のタイプのものと特徴が共通しているものも多く(極小やシンプル系)、おなじみの匂いを感じられたりすることも。


NAWATA8.jpg

単一色調系。全部赤にしたり全部青にしたりと、単色背景の色をキャラの塗りにまで合わせたこのタイプ。キャラ絵はアップ率高し。これに白または黒の非ロゴチックなタイトルがちりばめられている場合は高確率でこちら。極小文字配置系と同じくらい判別しやすいタイプになっています。さらに厳密に分けるとこれらのタイプは塗りで2パターンに分けられる気もしますが、そこは割愛。


NAWATA9.jpg

枠(看板)を作り、そこにタイトルを入れる系統。単純に、枠があるスッキリとしたデザインというだけで名和田デザインである可能性は高いですが、ここでは表紙の右側に注目。表紙の枠が背表紙に掛かっていて背表紙内でも枠の中にタイトルが入っている構成や、表紙の枠と同じものが背表紙に構成され、その枠がちょこっと表紙側にはみ出していたら、名和田デザインである可能性がさらに高まります。


NAWATA10.jpg

ちりばめ系。白色やクリーム色といった無地の背景に、キャラや物を隙間を開けて配置していくタイプです。ディフォルメキャラ系や、エッセイ系の作品にも相性が良い様子。カバーの端では、あえてキャラを見切れさせたりする傾向が見られます。


という感じにまとめてみた名和田装丁。
いくつか個別作品をピックアップしてみます。
まずは大庭賢哉『トモネン』。
事務所公式サイトの装丁紹介で最初に位置づけられている作品です。

トモネン

トトロあたりの初期・宮崎駿の雰囲気を感じさせるこの短編、
その装丁は児童書や絵本のようなやわらかさを持った窓装丁。
カバーをかけたときの、スポット的なキャラの着色が目を引く構成、
そして外してみろといわんばかりのカバーの下には、
作者のカラーを堪能できるロゴのない1枚絵。
デザインも中身もほっこりとした作品に仕上がっております。


次に紹介するのは、こうの史代氏のいくつかある名和田デザイン作品の中の一つ、
『街角花だより』。上のデザイン分類に当てはめると「極小文字配置系」になりますが、
注目のポイントはその背景。

街角花だより

白い背景には薄っすらと花の模様が浮かび上がっていますが、
カバーを外してみるとその意味がわかります。
この作品は街の花屋を舞台に描かれており、カバーの裏側はその花屋の包み紙になっている、
という仕掛けなのでした。
カバーの紙は薄く、裏にはっきり印刷された花柄は表では絶妙な色合いでやわらかく浮かび、
表紙は控えめに飾られています。

そして同系統の工夫が施されているのが、天堂キリン『恋愛アナグラム』。

恋愛アナグラム

こちらではカバー裏に青空が仕込まれているため、
表紙は薄っすらと青に包み込まれています。
本が青空そのものをを内包しているようなこの仕掛け、
見た目以上に味わい深い何かがあります。
ちなみに、『街角花だより』もこちらも、
仕掛けの都合上カバー下が真っ白という点も共通しております。


お次は小坂俊史『中央モノローグ線』。

中央モノローグ線1

8人の女性達がそれぞれの中央線暮らしをモノローグで語るこの漫画、
そのカバーの色使いはクリーム色の紙に
オレンジと焦げ茶を印刷した3色仕様となっております。
表紙手前、主人公の女性だけが優遇されて、
そのスカートがトーン的な色使いで別色みたいになっているのが乙なポイント。
この主人公と合わせて、表紙の裏表には6人の登場人物が紛れています。
物語を語る人物は計8人いたはずですが、残り2人は…。

中央モノローグ線2

袖に一人いました。
ちなみに表紙をめくると小坂氏のカラーイラストが目に飛び込んできますが、
表紙とのギャップでやけに鮮やかな色使いに感じます。

中央モノローグ線3

本編の前には目次、ではなく主人公達と、主人公達が住む沿線の紹介。

中央モノローグ線4

奥付には、堂々と「名和田耕平デザイン事務所」のクレジット。
そして袖にはもう一人、これで8人。
変わった色構成が目を引く独特のカバーデザインですが、
例えば背表紙だけ見てみるとこちらのデザインそのものといった印象。
背表紙だけで判断した方がわかりやすい場合もあったりします。


ラストは、作品の装丁と、それに関する素材のお話。

空

田中ユタカ『愛人(アイレン)特別愛蔵版』上下巻、そして戸田誠二『ストーリー』。どちらも空の写真を背景に取り込んだ美しい装丁であることは共通していますが、もう1つこれらの作品には共通項が存在します。これらの作品には背景写真の提供元がクレジットされていますが、どちらもその提供元がamanaimages(ストックフォト・写真素材のサイト)になっているのでした。なので、クレジット情報からサイト内を探してみると、元の写真が見つかったりします。

●愛人(上)⇒空と雲と飛行機
●愛人(下)⇒夕焼け空と雲
●ストーリー⇒上野のビルと青空 台東区 東京都

元の写真と出来上がった装丁を見比べてみると、どういう風に味付けされたか垣間見ることができてちょっと興味深いかもしれません。

とまあ色々紹介してきた名和田デザイン。今回分けた分類以外でも細くて特徴のあるロゴで共通していたり、1文字2文字色を変えて浮かせるパターンがあったりと、細かい見分け方は沢山あると思いますので、そういうところを見つけて判別率を上げてみるのも面白いかもしれません。


以上、名和田耕平デザイン事務所でした。

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2010年07月13日 | デザイナー | コメント 3件 | トラックバック 0件 | TOP

2010年 8月コミック新刊チェック

このエントリーをはてなブックマークに追加 カテゴリ:コミック発売日  »2010年07月09日 更新

2010年 8月購入予定。
BOOKS INDEXまんが王倶楽部参照)

(注)リンク先はamazonの作品検索結果です。



4  ブラッドラッド 2  児玉 有起
4  あしたのファミリア 2  樋口 彰彦
6  ヘレンesp 2  木々津 克久
6  ヒレフシ 2  銅☆萬福
10 忘却のクレイドル 3  藤野 もやむ
12 信長協奏曲 3  石井 あゆみ
12 大正野球娘。 4  伊藤 伸平
17 さよなら絶望先生 22  久米田 康治
17 四稲家の人々 4  志賀伯
17 どうぶつの国 3  雷句 誠
19 群青シネマ 2  都戸 利津
19  ぎんぎつね 3  落合 さより
20 犬マユゲでいこう 新刊(仮)  石塚2祐子
21 魍魎の揺りかご 1  三部 けい
23 オクターヴ 5  秋山 はる
23 刻刻 3  堀尾 省太
23 シマシマ  10  山崎 紗也夏
26 デッドマン・ワンダーランド 8  片岡人生+近藤一馬
28 鈴木先生 10  武富 健治
28 うちの妻ってどうでしょう? 3  福満 しげゆき
30 SARU 下  五十嵐 大介
30 土星マンション 6  岩岡 ヒサエ
30 アイアムアヒーロー 4  花沢 健吾
30 おいでませり 3  大石 まさる



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2010年07月09日 | コミック発売日 | コメント 0件 | トラックバック 0件 | TOP