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べっちんとまんだら | 松本次郎

このエントリーをはてなブックマークに追加 カテゴリ:コミック感想(2009発売)  »2010年01月15日 更新



生と死の中継点である河川敷には、死んだ杉並区民の霊魂が集められる。とあることから、女子高生のべっちんとまんだらは、管理人助手としてゾンビ退治をするようになるが――。

これは帯の紹介文。これだけ読むとゾンビ漫画。決して嘘を言っているわけではなく、ゾンビ退治シーンは本作の絵的な見せ場にもなってはいますが、中身はゾンビ退治というより、そういうものが出てくる世界での「べっちん」と「まんだら」の噛みあわないやりとりがメイン。

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▲拳銃を持っている方がべっちん、「やんすか?」がまんだら

河川敷に住み着いたべっちんと、彼女につきまとうまんだら2人の会話や交遊が作品のほとんどを占めていますが、特にまんだらの方が色々と危うく、この2人のコミュニケーションがとにかく噛みあっていません。精神破綻したやりとりが面白おかしく描かれていてそこが楽しむポイントなのかもしれませんが、これは読んでいて結構疲れます。わけがわかりません。ふわふわしている松本作品の中でも特段頭がおかしく仕上がっていると思われます。

世界観は荒廃した街、爆撃する戦闘機、実態の掴めない戦争、とお馴染み。しかし、何故か今回は登場人物が直球なジブリネタを口走ったり作者の自虐ネタを喋ったりするおかげで作品の世界が「松本次郎の漫画の中」というメタっぽい雰囲気になっているのも本作の特徴。

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▲何故か直接的なジブリネタが多発

本当に読んでいて精神的に疲れる作品だったのですが、荒涼感をリアルに感じさせる河川敷の描写、中盤の大量ゾンビ退治シーン、切なくまとまったラスト、そしてイメージ力溢れるラストシーン、そこらへんは大変良かったポイント。

なんだかまとまりがなくなってしまいましたが、結局これはオススメなのかと言うと、定価(1280円+税)で買うのはちょっと冒険。ファンの中でも好みが分かれる予感です。でも某オフ等で100円で売っていたら迷い無く確保してください。


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2010年01月15日 | コミック感想(2009発売) | コメント 0件 | トラックバック 0件 | TOP

ピコピコ少年 | 押切蓮介

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ピコピコ少年

押切 蓮介

太田出版




ゲームソフト購入のために開店前のお店に並んだり、ゲーセンで他校の生徒に絡まれるといった押切蓮介氏のコンピュータゲームに纏わる思い出を綴った自伝的青春グラフィティ。氏がゲームを通じて手に入れたもの、失ったもの、その全て。

内容は実話とのことですが、押切氏独特の妙な語彙によるおかしな掛け合いの面白さは健在。ゲームレポート的な側面はほとんどなく、ゲームうんちくも少な目。代わりに駄菓子屋ネタや秘密基地ネタなど少年時代お馴染みの風景が溢れていて、ゲームに思い入れがなくとも楽しめる部分がある作品にはなっていると思います。

もちろん、いちばんオススメできるのはある程度以上ゲームに慣れ親しんだ経験のある方。ゲーム知識語り的なものを期待して読むと肩透かしを受ける可能性はありますが、ゲーム好きのある種の通過儀礼やあるあるネタなど絶妙な共感ポイントが散りばめられており、押切氏(1979年生まれ)と近い世代のゲーム好きのノスタルジーが心地よく刺激してくれること受け合い。

短編「おばけのおやつ」にも2話ほど先行版?として2話ほどピコピコ少年が掲載されており(今回の単行本には未収録)、そちらを読んで購入検討するのもありです。


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2009年11月09日 | コミック感想(2009発売) | コメント 0件 | トラックバック 0件 | TOP

★ひみつの階段 全2巻 | 紺野キタ

このエントリーをはてなブックマークに追加 カテゴリ:コミック感想(2009発売)  »2009年10月01日 更新



歴史ある女子高校とその寄宿舎を舞台にした、少女達の不思議と青春の学校生活。
最も好きな漫画の1つです。

古びた校舎や寄宿舎にはそこを通った人の数だけ想いが詰まっていて、その想いに触れた少女達がちょっとした不思議を経験することで、励まされたり、気付かされたり、背中を押されたり。不思議な現象事態に物語が引っ張りまわされることなく、悩める少女達が前へ進むのをちょっとしたファンタジーが後押しする、そのバランス感覚が絶妙。

1話完結で全てのエピソードは基本的に独立。複数回登場する主人公のなっちゃんを皮切りに、さまざまな時代にその学び舎にいた16・17の少女達の青春が描かれます。沢山の時系列が存在するので、時系列を整理してキャラ同士の繋がりを読み解く楽しみもあり。学園ファンタジーのわりに恋愛成分が少ないのも特徴で、どのエピソードも後味よくまとまっていて、温かかったり、ちょっぴり切なかったりほど良い読後感。

見事なくらいに乙女な絵柄ですが、癖が無くすっきりと透明感があって男性でもかなり読みやすい部類に入ると思います。この作品は1995年から2002年にかけて描かれていますが、絵柄と、寄宿舎というある種の非日常空間を舞台にしていること、普遍的な内容を扱っていることで、
今読んでも古臭さをほとんど感じさせません。

2度目の復活にしてA5判のひみつの階段1、2巻とB6判「ひみつのドミトリー/乙女は祈る」がまとめられ、オークション等で高値で取引されていた同人誌『秘密のひみつの階段』収録の「学園祭に行こう」、『コミックFantasy vol.1』 収録の「MAZE」も加えられ、描き下ろしまで収録された正真正銘の完全版。

少女漫画に抵抗がなく、学園モノが好きだったり質の高い連作短編系を欲していたりする人に強くオススメします。

LINK:~年表・名簿など~
作者サイトに以前存在していたちょっとしたまとめ(web archiveより)。
目を通しておいて損はないと思われます。


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2009年10月01日 | コミック感想(2009発売) | コメント 1件 | トラックバック 0件 | TOP